★★ 1981年6月22日(月) 伊丹ローズ劇場
鳥の描写だけはやたら凝りに凝って海外ロケしたりして熱がこもってるのだが、肝心のサバイバルのリアリティに本当らしさが欠ける。大体、日本版「ロビンソン・クルーソー」としては生き延びる為のオリジナリティが無さすぎてシラけるのだ。熱量と気合の空転。(cinemascape)
★★ 1981年6月22日(月) 伊丹ローズ劇場
鳥の描写だけはやたら凝りに凝って海外ロケしたりして熱がこもってるのだが、肝心のサバイバルのリアリティに本当らしさが欠ける。大体、日本版「ロビンソン・クルーソー」としては生き延びる為のオリジナリティが無さすぎてシラけるのだ。熱量と気合の空転。(cinemascape)
★★★ 2019年10月6日(日) シネヌーヴォ
子供の頃にTV放映で見て、とんでもなくオモロイと思った記憶がある。
それは、多分に宇野重吉の歯抜けメイクが醸すいかがわしさと仲代のクールで怜悧な佇まいのガチ対決によるもんだったと思う。
何十年も経ってようやっとスクリーンで見る機会を得たのであったが。
正直、仲代も重吉も食傷の感があって、新味が激減していた。
ダム建設における利権をめぐっての暗闘の話であって、その対決構図は与党の総裁派閥と電力開発を担う公社の互いが推すゼネコンのどっちに発注するかっていうことなのだが、その先鋒が片や官房長官の仲代であって、一方が公社総裁の永井智夫ってことでは、役者の度量が違って、はなから結果が知れてる感じがする。
この対決が、前半を占めるのだが、入札の不正を粉飾するあれこれに、かなりに尺を費やすのがどうにもだれる。
総裁派の推す関西系のゼネコンの折衝役の副社長を西村晃が演って、関西弁で永井を篭絡しようとするあたりが絶妙であるのだが。
総じて、多くの芸達者が演技合戦の態をなして入り乱れるので、見惚れる部分も多々あるし、山本薩夫のグイ押しの語り口は絶好調とも言えるが、それでもなお冗長な感じだ。
後半になって、永井が退場し、金貸しの宇野が主戦に躍り出るが、ちょっと時期を逸した感があって、勝負は見えている。マッチポンプ議員の三國も参戦するが、どうにも手ごたえがない。
最近の「記憶にございません」みたいな腑抜けた綿飴映画に比べて、薄汚れてギラついた政治のダイナミズムが横溢しているので、本物を見た感は充足される。
しかし、これは、モデルであるモノホンの政治ってのが、浄化されてお子ちゃまの飯事になってしまったのもあるんやろね。
押し捲る薩夫節が冴え多彩な演者を縦横に使い切る闊達さだが、利権を巡る鬩ぎ合いが端から勝負見えてる感があり、入札操作に尺を費やしダレる。後半、主線上に登壇する重吉は四つに組む前にはたき込まれる。負け戦なりの描き方があったと思うのだ。(cinemascape)
★★★ 2013年9月28日(土) トビタシネマ
けっこう性欲に悶々とするあたり、「ソルジャー」として未熟なのではと思ったりするが、作り手はそこは適当に流してる。明らかに『T2』以降の寄せ集めの傍流作であり、多くの類似品と差異は無いが、カート・ラッセルの華の無い無骨が全篇を支えている。(cinemascape)
★★★ 2019年10月5日(土) 新世界国際劇場
ショートフィルムがあまりに怖いと評判になって長篇デビュー。
ってどっかで聞いたよなって、老化で記憶もままならないとこを黙考して、やっと思い当たった。「ライト/オフ」ってのがあったよなって。
でも、15分だから怖いのであって90分に引き延ばせば馬脚が顕れる。
「ライト/オフ」もそうだったが、何か得体が知れないからこその恐怖は、早々にそいつが形を成して現れたとたんに半減する。
土台、蚤の市で買った古いポラロイドカメラで撮影されたら死ぬってあまりにも普通。呪いのビデオを見たら死ぬみたいなもんです。
でも、総体的に悪くはないと思いました。
主人公の女子高生が、イケイケの連中から距離をおいた孤独の風情を漂わせているのがいい。曇天のうら寂しい雰囲気も好み。
90年代の「ラストサマー」とかSEXにしか興味がなさそうな連中が餌食になるのと違って、今の時代はそこまで能天気でいられないんやろね。
早々に実体化しちまう展開が得体の知れぬ恐怖を雲散させて後は野となれ山となれの体たらく。しかし、イケイケ高校生活に溶け込めず孤独なカメラ趣味に閉じこもる主人公の寒い心象を表象するような曇天下の街並がいい。惨禍は生き方を変える契機かも知れない。(cinemascape)
★★★★ 2013年10月12日(土) 梅田ブルク7シアター4
生きる辛さに耐える密かな愉しみがマゾヒズムでは、趣向を取り揃えてみても所詮は凡庸なのだが、渡部の登場を契機に半ばから壊滅的に流れは崩壊する。70年代パープリンアナーキズムの復刻。「丸呑み」・「サクセス」・「CEO」等小ネタも冴えてる。(cinemascape)
★★★ 1981年7月12日(日) 大劇名画座
クールなオープニングに期待は昂まったがカサヴェテスの演出には、こういう物語を転がすの為のケレンやハッタリが足りない。市井人を描いてのヒリヒリ感はアンチリアルでは可逆的に作用しワルも市井人じみては盛り上がらないのだ。(cinemascape)