男の痰壺

映画の感想中心です

2017-10-01から1ヶ月間の記事一覧

バンクジャック

★★★ 2015年10月25日(日) プラネットスタジオプラス1 最悪の窮地でも軽やかに笑みを浮かべ続けるベイティとキュートなゴールディが「ルパン三世」の元ネタめいてる。犯行シークェンスはともかく後半の大半を台詞無しで費やす延々たる逃避・追跡行が異様な…

黒いオルフェ

★★★★★ 1978年4月1日(土) SABホール 時代を又舞台を置き換えて再解釈される古典は後を絶たないが、最高峰の1つと思われる。狂熱のリオを舞台に増幅される対比は狂騒と静寂、愛と憎悪に留まらず生と死をも炙り出すだろう。死の仮面の呼び寄せる刹那の火花…

ユリゴコロ

★★★★ 2017年9月27日(水) 大阪ステーションシティシネマ3 原作未読。 【ネタバレがあります】 冒頭10分で主人公の少女時代が描かれるが、その凡庸さに観るのやめたくなった。 「頭のネジが外れてる」と自己分析する異常者を、ああいう如何にもな演出でし…

グラスホッパー

2015年11月7日(土) 梅田ブルグ7シアター1 無自覚な悪意が跳梁跋扈し腐敗し行く日本の片隅で飽くまで個人主義的行動原理に沿い仕事を行う殺し屋たちは世界から隔絶され清清しい。浅野も山田も虚無感十全。複層のストーリーラインは底浅にシンクロし結局…

未知との遭遇

★★★★ 1978年3月31日(金) OS劇場 1981年2月10日(火) 伊丹グリーン劇場 メキシコの砂漠から幕を開けた映画は世界各地の異変を大スケールで点描し続けるのに結局、物語は局地的なマニア集団に収束される。所謂普通の人々は殆ど登場しないという超絶に閉じた世…

チキン

★★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 クロード・ベリってよく知らんが、調べるとゲンズブールが監督した「スタン・ザ・フラシャー」ってのを俺は見ていて、その映画の主演を演った男で、まあドヘンタイの役でした。 あと、「愛と宿命の泉」…

3泊4日、5時の鐘

★★★★ 2015年11月7日(土) シネヌーヴォ 犬も食わない女同士の喧嘩というか、そもそもこの2人大概に性格悪いので怖いもの見たさ的興趣しか覚えないものの、けっこう単純で可愛いところもあるのが笑えるし、シネフィル的小賢しさとも無縁だ。取り繕いな和解…

カンタベリー物語

★★ 1978年4月9日(日) SABホール 徹底的に修正が施されたものを見て汚いと思ったが無修正版を見てもそう思いそうな気がする。それがリアルな中世だと言うなら結構だがパゾリーニの願望が多分に入り混じったそれは男色とスカトロの色彩が濃い。となれば艶め…

幼な子われらに生まれ

★★★★ 2017年9月23日(土) テアトル梅田2 バツイチ同士の再婚家庭で連れ子との関係がうまくいかないという、何の奇矯な設定もない話。 なのだが、終始不穏な緊張感が持続する。 キャスティングに因るのだろう。 「淵に立つ」の限りない悪意を飲んで潜めた男…

マイ・インターン

★★★★ 2015年11月8日(日) MOVIXあまがさき4 生きてくうえでの居場所作りの物語として見たが、総務畑で会社勤めを全うしたかのような地味で実直なデ・ニーロのキャラ付けが隘路のピンポイントを突いた。出張のホテルの一夜の腹一物な視線の交錯が微温ドラマ…

オルカ

★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 『ジョーズ』便乗企画を巨大シャチで勝負するラウレンティスの映画屋魂はありとしても無機的な殺人魚に対して情てんこ盛りの擬人化親子愛ダダ漏れでは古めかしすぎる。北海の景観は情緒を味わうまえに寒々しくて辛気く…

野性の少年

★★★★★ 2017年9月18日(月) プラネットスタジオプラス1 産まれてこの方、社会的関係性を断絶された少年の関係性を回復させる試みという点で「奇跡の人」と相似。 なのだが、スパルタのサリバンに対しイタール博士のやり方は冷静で実直で慈愛にあふれる。 い…

マッドマックス

★★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 最初の悪党カップルのひたすらな「やったるゼー」とか「ヒャッホー」リフレインに芸無さすぎと萎える。今となっては「2」前史としてしか見れないのだが、未だ孤高でも虚無的でもないマックスはともかく、敵キャラ造形…

俺は田舎のプレスリー

★★ 1978年8月7(月) ダイニチ伊丹 勝野・鮎川ラインのドラマが弟子筋仕事で気の無い山田イズムに乗った微温の極みでどうしようもない。いっそ毒を食らわばでカルーセルで押しまくってほしかった。所詮は混入した異物は弾き出され異化作用を及ぼすことなく日々…

奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール

★★★★★ 2017年9月23日(土) TOHOシネマズ梅田8 極めて普遍的な感情を描いて、文字通り絵に描いたように映像に定着させる…ってことは結構に壁が高い。 漫画でよくある男子が可愛い娘ちゃんを見て目がハート心臓ドッキュンみたいなのはリアルな映像に定着され…

裁かれるは善人のみ

★★★★★ 2015年11月7日(土) テアトル梅田2 利権亡者の首長と斗う個人という王道的体裁が家庭の崩壊予兆という不穏なエッセンスを内包しつつ重厚な風景リアリズムを伴い圧倒的。だが、映画はそこからサディスティックに更なる連鎖へ突き進む。真冬の海に垣間…

サンシャイン

★★ 1976年3月29日(日) ビック映劇 彼女には気の毒だが言うてみたら茶番な生き様とでも言おうか。ヒッピームーブメントの最悪形での結露だろう。言葉尻に囚われた抵抗のための抵抗や自由のための自由の形骸。若くして死ぬということだけで意味があると思われ…

ゲルニカ

★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 単体としての作品「ゲルニカ」でなく、ピカソの他の作品も適宜使用してモンタージュしている。 それが、惨禍を描くに具象から抽象へと変転するのだが、表層的な感じがする。 もっと言うなら子供じみてる…

グローリー 明日への行進

★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 キング牧師の演説を幾つかピックアップし、その間を表層の教科書的事象で繋げただけの代物に思える。マルコムXからJ・エドガーまで総花的に登場人物を動員するが要るかって感じで底浅。エンドクレジットのニュースフィ…

獄門島

★★★ 1977年8月27日(土) 伊丹ローズ劇場 前半に関しては快調な市川節も後半になるにつれテンポが落ち、ただ単に物語を語るに終始していく。興行的戦略だけに眼目を奪われ、無理矢理の別犯人を仕立て上げて、物語の本質を蔑ろにするとこうなってしまうのだ。(c…

オン・ザ・ミルキー・ロード

★★★ 2017年9月18日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 冒頭の30分くらいは凄い。 動物君たち大集合の生きとし生ける生業と無常が炸裂。 人もまた何時終わるやも知れぬ戦闘状態下で疲弊し自棄のやん八で生ける生業と無常が滞る。 ミルク売りの娘の家では…

ミケランジェロ・プロジェクト

★★ 2015年11月20日(金) TOHOシネマズ梅田5 贔屓筋が雁首揃えたが救い難い弛緩ぶりだ。生死と臨界にある前線の後方で悦楽任務に勤しむ彼らのその是非に無自覚な作り手が仲良し倶楽部で垂れ流した残骸。クルーニーは好漢だが謙虚になるべき。ケイトとデイモ…

007/私を愛したスパイ

★★★★ 1978年10月19日(木) 伊丹グリーン劇場 物語のタメを廃して見せ場の釣瓶打ち的構成は後のスピルバーグ達に影響を与えたのは間違いないと思う。『007』のと言うよりアクション映画の或る意味エポックメイキングな作品。徹底的に楽しませてくれる。ロマ…

コンクリート作業

★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 ゴダールの処女作である短篇ドキュメンタリーであるが、その歴史的価値のみで何ら見どころは無い。 見たところに相当な大規模ダム工事であり、映像のスペキュタリティを追及するに過不足ない題材だと思う…

ノスフェラトゥ

★★★★ 2015年11月15日(日) シネヌーヴォ 多分に比喩的な「海を渡って災厄が来る」というモチーフを「どや!」とばかりに仰々しくやるところがキュート。リアル廃墟な古城やそこに至る路程の描写がヘルツォークエッセンス満載。古典に敬意を表した静止画チッ…

オレンジロード急行

★★ 1978年4月29日(土) ダイニチ伊丹 1982年11月3日(水) 関西学院大学1号別館1号教室 モラトリアムが意味を失った時代にファッションとしてそれを仮装するダメさを。或いは苛烈な旅路の果てに迎えた老境をコンテンポラリーな可愛い年寄り像へと封殺する愚を…

ナベシンのこと

「水面のあかり」上映後の舞台挨拶 九条の商店街を駅から歩いてきて脇に折れ少し歩いたところにシネヌーヴォという映画館がある。俺は期待と不安を胸に歩いていく。渡辺シン監督の「水面のあかり」という映画を観るために…。 もう、30数年以上前のことだが…

水面のあかり

★★★ 2017年10月1日(日) シネヌーヴォ 最初にお断りしておくが、この映画の監督、渡辺シンは知人です。 なので、出来る限り身贔屓はしないようにと思いますが…何ぬかしとんじゃと思ったら、そういうこってご容赦を。 まず、タイトル、ポスター等の宣材、シ…