男の痰壺

映画の感想中心です

2017-03-01から1ヶ月間の記事一覧

ボディ・スナッチャー 恐怖の街

★★★★ 2016年6月7月2日(土) プラネットスタジオプラス1 釈然としない入れ替わりシステムだが気にする間もない簡潔なテンポ。難を逃れた翌朝の街の広場の俯瞰ショットが良い。ロングのみのワンショットの長回しが街の変容を怜悧に映し出す。総じてマスの人…

ゴッドファーザー PARTⅡ

★★★★★ 1976年3月20日(土) 伊丹グリーン劇場 1980年8月7日(木) 大毎地下劇場 信義則を重んじファミリーが形成されるビトーの時代と功利な冷徹がそれを瓦解させゆくマイケルの時代。その交錯を彩る時代の空気の再現とシシリーとNY、タホ、マイアミからキュー…

哭声 コクソン

★★★★ 2017年3月11日(土) シネリーブル梅田4 一応はリアリズムな世界で立脚していた前2作に比して急転回ではある。 しかし、喪失への身悶えするような哀惜感は一貫している。 終盤、これでもかと引っ張る誰を信じたらいいのかの1点張り。 わからぬまま…

64 ロクヨン 後篇

★★★ 2016年6月26日(日) MOVIXあまがさき11 「刑事はそんなことも解んねえのか」との浩市の嗚咽は友和他の頭上を上滑る。映画はそこに収斂するようには仕組まれてない。『砂の器』的な情への浸り方が出来ぬのならいっそ言わせぬ方がいい。機構側の男達の多…

のらくら

★★★ 1975年4月2日(水) 北野劇場 お決まりの浮浪者チャーリーの部分よりアル中ブルジョワに扮した部分の方が笑えるのは、明朗ギャグで最底辺から権力を穿つポーズより権力層内でのヒエラルキーをシニカルに露呈してみせる方が間尺に合ってるからだろう。これ…

牝猫たち

★★★★★ 2017年3月6日(月) シネリーブル梅田4 日活ロマンポルノでなく、今村や浦山が一線で頑張っていたころの映画のよう。 女に対する視線が冷やかそうに見えて、しぶとく探求的なのだ。 3人の女の3様な顛末という図式は陳腐ではあるが、内実が豊穣。 脳…

二重生活

★★★ 2016年6月25日(土) シネリーブル梅田3 透徹された冷えた情感が良い。が、彼女が行為を通し何を得て何を失したかはホテルでの告白でも所詮わからぬ三百代言で長谷川に仮託された爆裂も寸止めで雲散霧消。代わりに付加されたリリー・西田パートの孤独地…

サンチャゴに雨が降る

★★ 1977年10月22日(土) ビック映劇 『アルジェの戦い』に自戒を篭めた仏映画人達の叩き潰された南米左派政権への共振。なのだろうが多分に時流追従めいている。叙情過多のスローモーションの垂れ流しはセンチ過ぎでポリティカルなことの本質から映画を遠ざけ…

お嬢さん

★★★★★ 2017年3月4日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 どんでん返しな構成も吸引力を牽引するのだが、勿論それだけではない。 ①清順仕様かと見紛うキッチュでお下劣な意匠。 ②どこかの国の頭でっかちポルノを嘲笑うかのような具体性をもった濡れ場。 ③…

エクス・マキナ

★★★★ 2016年6月25日(土) テアトル梅田1 殊更な意外性は無いが1点突破のアイデアを視覚的に磨き上げた工芸品のような強度がある。極めてオーソドックスで古典の風味を携えつつ十二分に扇情的というマーケッティングされた如何わしさもサーリング『ミステ…

姿三四郎

★★ 1977年11月13日(日) 伊丹ローズ劇場 単なる荒技小僧が求道者としての風格を身につけていく変遷が三浦友和には表現し得なかった。最大の弱点はそこだが、手持ちカメラも殊更事象に迫ってリアルな何かを切り取るでもなく安い印象にしかなってない。今更の題…

彼らが本気で編むときは、

★★★★ 2017年3月1日(水) 大阪ステーションシティシネマ9 結局は育ての何とかより産みの何とかに落ちつく展開なのだが、凡庸とは思わなかった。 そこに至るまでに充分なドラマ上の軋轢が展開されたし、示唆に富んだ細部が豊穣だからだろう。 ミムラ扮するネ…