男の痰壺

映画の感想中心です

2017-07-01から1ヶ月間の記事一覧

ブラック・シー

★★★ 2016年1月23日(土) 新世界国際 何だか序盤から負け戦的な負のオーラが漂っており、全篇カタルシスの欠片もないまま非情に収束を迎えるのが真摯ではある。しかし、主人公の鬱積は喪失した家族へみみっちく留まり外にある撃つべき何かに向かい矢を放とう…

ヤング・フランケンシュタイン

★★★★★ 1978年12月26日(火) 大毎地下劇場 1980年9月16日(火) 毎日文化ホール 相当な下ネタ的ギャグで彩られたパロディが、品格あるモノクロ撮影と元ネタのポイントを的確に押さえた構成で神懸かり的な域に達している。ブルックス一家の面々のコラボにカメオも…

からみ合い

★★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ 相続をめぐる女たちの確執と言えば、63年の大映映画「女系家族」が真っ先に思い浮かぶ。 京マチ子と若尾文子のがっぷり四つは「ザ・女」とでも言うべき粘度と吸引力の絡み合いであった。 比べて、今作は松竹映画。 …

オリエント急行殺人事件

★★★★ 2016年2月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 貧民どもを蹴散らしブルジョワたちが乗車するプロローグが豪気で笑える。フィニーが造形したポワロのゲイ的変質味が突出し12人顔出し凡アンサンブルを統御。雪に閉ざされた情緒は『12人』の暑熱…

マイ・ウェイ

★ 1976年8月22日(日) ビック映劇 強権的な親爺がシナトラのド演歌に乗って自己陶酔に浸る映画なのだが、凡庸な演出で何一つ美点も認められない。白豪主義国家のモラリズムの遺物ぶりを笑う前に、75年の興収でそこそこ人が入っちまう名誉白人国家ニッポンを…

ジョン・ウィック チャプター2

★★★ 2017年7月16日(日) MOVIXあまがさき1 睡眠不足で酒飲んで見たので、正直あまり覚えていない。 多分、ろくなドラマもあろうはずないのだが、アクションが始まるたんびに一応目が覚める。 で、ひたすら襲われて撃退するの繰り返しを見るはめになる…

エージェント・ウルトラ

★★★ 2016年1月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 ボーンをパロっても今更なので、ややマジ路線は悪くもないが、にしてもオリジナルな付与案が無さすぎ。風聞や都市伝の類を寄せ集め加工し一丁上がり的な小賢しさ。アイゼンバーグの剣呑とマグロ女…

椿三十郎

★★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 天才は枷がある方が逆説的に良い仕事が出来る。キャラの2次使用と東宝コマーシャリズムの制約は黒澤から本来無いものを奇跡的に引き出し遊び代を拡大した。そして、上乗せされた…

ありがとう、トニ・エルドマン

★★★★ 2017年7月17日(月) シネリーブル梅田1 働く女性の否応ない孤独や等身大の周辺事情を描いているが、背伸びも嘘八百もない。 経営コンサルというエグゼクティブな職種を描いてかっこもつけない。 かと言って、批判めいたこともやらない。 父親が奇矯な…

残穢 住んではいけない部屋

★★★ 2016年1月30日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 怪異に対し実証究明を試みるってのはいいが、所詮オカルトマニアの高校自由研究レベルで爺ちゃん婆ちゃんに聞きました程度では横溝チックに修飾しても高が知れる。大体そんなん言いだせば狭い日本ど…

2001年宇宙の旅

★★★★1978年11月12日(日) 三番街シネマ3 原始の猿の道具の発見をひたすら延々と見せた果ての宇宙空間への飛躍が全てで、それだけにHALに関するサスペンスは常套の規範に堕したと感じる。とんでもない大風呂敷を広げたものの時空を越えてからの終盤は謎解…

残像

★★★★ 2017年7月10日(月) シネリーブル梅田1 信義を通すということとは何かということを謳っているのだが、教条的ではない。 戦中の日本の左翼弾圧を描いたもののような視野狭窄っぽさもない。 もっと普遍性がある。 我はらんとあんじょう上手くやったらよ…

オデッセイ

★★★ 2016年2月6日(土) TOHOシネマズ梅田2 総花的に過ぎる。地球を全カットしてジャガイモの栽培にでもセミドキュメンタルに尺を費やせば、もうちっとマシなもんになったかもしれない。定められた結末から逆算構築されたかのようなマニュアル臭。丸判り痩…

仁義なき戦い 代理戦争

★★★★★ 1978年11月23日(木) トーエイ伊丹 1991年7月21日(日) 新世界東映 代理戦争の傀儡たる腹黒親爺どもの傍らで尖兵として対峙しつつも裏取引を画策し続ける男どものめくるめくカオス。その混沌の後方から現れた旭や梅宮が知らぬ間に中心に居座る役者オーラ…

黒い河

★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ けっこう振り切れてる話なのだが、枝葉末節が多すぎてぼけてるのが惜しい。 主人公の清純なウェイトレス(有馬稲子)が2段階の変貌を遂げる。 仲代達矢のチンピラに目をつけられ強姦まがいに犯されるのだが、やむなく…

俳優 亀岡拓次

★★★ 2016年1月31日(日) MOVIXあまがさき4 スナック・居酒屋・ラウンジと飲み屋3態どれもが会話の間合いや雰囲気など男が酒を飲む遣る瀬無さが滲み出色であり「喝采」の王道的な使い方などマジ泣ける。横浜聡子は本質男なんじゃねえかと思うほどだ。ただ…

サブウェイ・パニック

★★★★ 1975年3月21日(金) 阪急会館 ショウが統帥する犯人グループの来歴など一切説明が無いし交わされる会話も乾いているのだが、一方でマッソーの人間味が随所でウィットを注入する。けれんの欠片もない原題の即物感をオールロケのリアリズムで補強してタイ…

ハクソー・リッジ

★★★ 2017年7月9日(日) MOVIXあまがさき1 3部構成となっているのだが、頻繁に比較対照される「フル・メタル・ジャケtット」を未見なので、とりあえずは2番煎じ感は覚えなかった。 いや、むしろ、従軍以前の故郷→従軍後の訓練に至る1・2部はすご…