男の痰壺

映画の感想中心です

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

福福荘の福ちゃん

★★★★ 2014年11月29日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 壊れた者を世界に取り込む理想郷は母性的であることが要件と思われ、リアクター福ちゃんは男と設定されても大島が女であることは皆知ってるから成立する。ノンケ山田が察知して去るジェンダー混沌…

砂漠のシモン

★★★ 1980年10月12日(日) SABホール 珍奇なイメージが散発され小振りにまとまっているが、ワンアイデアだけの中篇で、脂の乗りきった60年代ブニュエルのものとしては物足りない。悪魔の誘惑は面白く愉しいのだが更なる絶望や恐怖をこそとも思う。ラスト…

検察側の罪人

★★★★ 2018年8月26日(日) MOVIXあまがさき6 大作が続いた原田眞人だが、彼にはこれくらいの規模のバジェットが相性がいい。 例によって、通常の1.2倍速くらいの台詞回しやフィルムの刻みこみを施している。 そのおかげかどうか知らんが、必要とも…

ゲッタウェイ スーパースネーク

★★★ 2014年12月6日(土) 新世界国際劇場 いきなり渦中に放り込まれる展開が、その後も行って来い的に場当たりで気持が乗り損なう。数台の車載カメは設定上仕方ないが、他のマルチカメラもデジタルな即物性が横溢しフェイクドキュ的な方向違い感を募らせる。…

死刑台のエレベーター

★★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 撮影と音楽の先鋭に加え時間芸術たる映画の本質にも肉薄するその天才が或る意味完璧過ぎて寧ろ嫌らしい。ロネとモローの能面演技の深層に虚飾の下のパッションが焔の如く垣間見える瞬間は終ぞ無い。無…

1999年の夏休み

★★★ 2018年8月18日(土) シネリーブル梅田3 女性漫画家の描いた少年同士の愛憎。 っていえば典型的やおい系で、それに対して門外漢である俺はどうこう言うすべもないのだが…。 そもそも、女性がボーイズラブに興味を覚える心理は不可解である。 だって、自…

天才スピヴェット

★★★★★ 2014年11月22日(土) シネリーブル梅田1 こましゃくれガキの奇想紀行ジュネ風な前半に無邪気に喜ぶほどな少年親爺でもないのだが、ワシントンに着いてからの展開には打たれる。少年のトラウマの真摯とジュディの邪な画策とヘレナの全てに打ち勝つ母…

遙かなる走路

★★ 1980年10月28日(火) 伊丹ローズ劇場 さすがに新藤の脚本は卒がない。やたらテンポが良いため退屈はしないのだが、約束された結末に向かうドラマは暗部に触れることが許されるはずもない。所詮は御用映画と思い始めると印象は平板化していく。豪奢な社史編…

吸血鬼

★★★ 2018年8月18日(土) プラネットスタジオプラスワン カール・テオドアドライヤー。 映画史的に評価が高い監督だが、どうもしっくりこない。 俺と相性が悪いんだろう。 ずいぶん昔に「裁かるるジャンヌ」と「奇跡」を見てるが、どっちもしっくりこなかっ…

ゴーン・ガール

★★★★★ 2014年12月14日(日) MOVIXあまがさき9 想定の範囲を遥か凌駕した転がりを見せる傑作脚本に対し徹底した即物描写に終始するフィンチャーの枯淡と言えなくもない境地は悪くない。だが、映画史に刻印されるファムファタールをスッピンと決めメイ…

ローマの休日

★★★★ 1980年8月1日(金) 毎日文化ホール 不可触人だが超可愛く、幼気な処女でオキャンで明るい。全オヤジが夢見る女の子との出会いの理想郷。漲るエロ願望は1度のキスで無理に充足させ、分別ある保護者的立場に身を窶す。ラストペックの万感の屈託と充足のオ…

カメラを止めるな!

★★★★ 2018年8月18日(土) TOHOシネマズ梅田1 知人が書いていたが、確かにこの300万足らずの製作費のインディーズ映画が、大阪は最1等地の旗艦館であるTOHOシネマズ梅田のスクリーン1(席数737)に掛かってることは事件だろう。 興業レベル…

ジゴロ・イン・ニューヨーク

★★★★ 2014年12月6日(土) 新世界国際劇場 変化する何かを描きたいのではなく、しがらみや惰性に揺蕩う中でまったりと小さな喜びや哀しみを慈しむという謙虚さが滲み出ている。多分、ジゴロとしての稼業で成功するしないは「誠意」の持ちようなのだと言う寄…

悲しみよこんにちは

★★★ 1980年9月2日(火) 梅田コマシルバー 少女の仄暗い葛藤を描いたにしても所詮地獄まで行く訳でもないお嬢サガンの 自己弁明に興が乗らない。セバーグが素晴らしいという他に何が必要だというのかと 開き直るほどとも思えないが、英国臭に違和感あるニヴン…

グリース

★★★ 2018年8月11日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 この映画を公開当事に高校生だった俺は見ていない。 のだが、受験期でラジオから流れる主題歌はイヤというほど聞いた覚えがある。 終盤、似合わぬアイビーを身にまとった(しかし髪はリーゼント)ト…

毛皮のヴィーナス

★★★★ 2014年12月20日(土) テアトル梅田1 開巻から取り敢えず充満する予兆は十二分に消費される。三文女優に見えたセイヤーが深層教養とドS魂を顕にするにつれ翻弄され凋落するアルマリックが爆笑もんだ。期待通りの逆転劇だが散りばめられた夢幻的仕掛け…

アルジェの戦い

★★★ 1980年9月14日(日) SABホール 散発する局地的テロが仏軍の本格介入により全面戦争に至る。カスバ市街が爆破されヘリが空中を舞い数千人規模のモブシーンが展開されるのは凄いとしてもドラマチックじゃないのでしんどい。ドキュメントフィルムの壮大な…

ミッション:インポッシブル フォールアウト

★★★★★ 2018年8月12日(日) MOVIXあまがさき11 冷静に考えれば出来すぎやんと思ったりもする。 しかし、肉体を酷使することを厭わず誠心誠意のマックス値をスクリーンに刻もうとする意志。 それが、不可能作戦の遂行を茶番に見せないのだ。 CGに依…

0.5ミリ

★★★★ 2014年12月20日(土) テアトル梅田2 内輪映画的安寧がシネフィル的偏狭を微塵も感じさせない親爺譲りの大味作風を桃子に獲得させたのか。一見ダラな散文紀行が叙事詩のような巨大感を醸し出す…かのように見える。いっその事、物語の回収やトリックス…

ジュリア

★★★ 1980年9月11日(木) 梅田ロキシー どうにも外側の安全地帯から見ていた女の戯れ言の感が拭えない。フランスでの抵抗運動の描写がなまぬるく、ジュリアも偶像化された虚像みたいだ。現代シーンのジェーソン・ロバーズははまってるが逆にはまりすぎで安易。…

ハリケーン

★★★★ 2018年8月11日(土) プラネットスタジオプラスワン 昔の映画だし、ハリケーンの描写もどの程度のもんだろうと思って見た。 が、想像以上であった。 水量が半端ない。 風の強さが半端ない。 そして、人々の命が半端なく奪われる。 我々は、東日本大震災…

バンクーバーの朝日

★★★★ 2014年12月28日(日) MOVIXあまがさき5 鬱積を晴らす術もない抑圧の移民族史の束の間の晴れ間を描くにこの低体温が相応しい。ましてやバント戦術というショボい勝ち方ではゲームが盛り上がろう筈もないが、それでも必死だった彼等の思い…

女と男のいる舗道

★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 2001年2月20日(火) 動物園前シネフェスタ 娼婦であるというリアリズムが、ドライエルを見て涙し哲学者と会話するゴダール脳内醸成された「女性」と乖離しまくる。見てて恥ずかしくなるような青臭さ横溢…

Bao

★★★★ 2018年8月4日(土) TOHOシネマズ梅田5 よくある子育ての回想譚で子供可愛いやの変奏バージョンかと思っていた。 「ファインディン・グドリー」の併映作であった「ひな鳥の冒険」とかそうだったし。 でも、これは子の反抗期から独立期まで描いて、…

超能力研究部の3人

★★★ 2014年12月6日(土) 梅田ブルク7シアター7 構ってもらえる才能の無さが羨ましいと宣う絵梨花の独白がドキュメンタリーとしてフィーチャーされない山下の毒不足と半端な気構えが不快だ。総じて茶番だが、フェイク部分の山本剛史の満座を圧するような渡…

犯す!

★★★ 1980年10月14日(火) 関西学院大学学生会館大ホール レイプを契機に最初はイヤよでもやがて淫乱街道まっしぐらな八代に哀感はなく、かといって爽快でもない。寧ろ胡桃とかナイフとか勿体ぶって象徴性を暗示させてしまうとこが内向的に淫靡。長谷部の資質…

BLEACH

★★★ 2018年8月11日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 先般、英BBCが選ぶBBCが選ぶ21世紀最高の100本ってのがあって、日本映画で唯一選ばれたのが「千と千尋の神隠し」(第4位)であったのだが、これを快挙とするか、たったの1本しか選ばれん…

夜霧の恋人たち

★★★ 2015年1月6日(火) 第七藝術劇場 自伝的なるものから飛躍し描く青年期のドタバタが喜劇として突き抜けてるわけでもなく教養小説的に真摯に内省的でもない。煎じ詰めればドワネルものが性に合わないだけかも知れないのだが。一方クレルヴァルの撮影はク…

愛のメモリー

★★★ 1980年10月3日(金) 毎日文化ホール デ・パルマタッチと言うのは、どうでもいいような部分でも偏執的なまでに情緒過多になるから、そこに面白味があり見てられるのであって、こういう真っ当に切ない物語で、輪をかけて情緒を垂れ流されまくると正直見てて…

ジュラシック・ワールド 炎の王国

★★★ 2018年8月6日(月) 梅田ブルク7シアター2 恐竜飽きた。 ってことで済ませてもいいのだが、それでも2~4作はそれなりに評価してきたのだ。 毎度、なにがしかの新機軸を導入してきたから。 しかし、今作は、どうにも、新種恐竜にせよ、米本土で展開す…