男の痰壺

映画の感想中心です

2020-06-01から1ヶ月間の記事一覧

凶弾

★ 1982年9月15日(水) 梅田グランド 悲愴なる(筈だった)ラストに向けてこれ以上無いご都合主義で組み立てられたストーリー。そういう映画は山ほどあるのだが、負って立つ主役が感情移入のしようもないトホホな野郎。こういうマイナス要素は掛算ならプラスに…

夜は短し歩けよ乙女

★★★★★ 2020年6月12日(金) TOHOシネマズ梅田4 湯浅政明、初見です。 この映画、3年前の公開時に見に行って開始数分前まで席に座ってたんですが、やむを得ない電話が入って退席しました。 もし、あの時見ていたら「ルーのうた」とか「きみ波」とかも見…

おもひでのしずく (2005年2月22日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 すわりしょんべん 他人との比較のチャンスに恵まれない或る種の行為は積年の時を経るにしたがい、優れてオリジナル且つ特異性を帯びたものへと、又は逆に歪曲されたものへと進化するのであろうか。 今…

鍵泥棒のメソッド

★★★ 2012年9月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 作を重ねるごとに際どさが失せ生ぬるくなっていく。当代のアドリブ巧者を2枚揃えて尚弾けない演技の相乗が、狙いじゃないとしてもダメな気がする。入れ替わりの作劇とヤクザ騙しのコンゲームで十…

さらば愛しき大地

★★★★ 1982年9月17日(金) 梅田ロキシー 後半が一本調子でふくらみに欠けるが墜ちてゆく男と女を正攻法で描いて迫力がある。それでも特筆は冒頭30分。映像への確信と信託が圧倒的な強度を産み出す。中盤以降を牽引する秋吉の役へのアプローチも服装や髪型等…

デッド・ドント・ダイ

★★★★ 2020年6月14日(日) MOVIXあまがあき2 全体的にダウナーな澱んだ空気が横溢してるので好悪わかれそうだ。 これは、ぜんぜん傑作でもないのに、ジャームッシュの総括的な役割を当てがわれてしまったトホホなジャンルムービー。 間延びしてるのが…

おもひでのしずく (2005年1月30日 (日))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 宇宙戦艦ヤマト パンパパパーパパパッパパーずんずんずん…「面舵いっぱい!」「ヨーソロー」ずんずんずん…「取り舵いっぱい!」「ヨーソロー」「捕獲目標までの所要時間は?」「推定1分15秒です、…

ライク・サムワン・イン・ラブ

★★★★★ 2012年9月22日(土) 梅田ガーデンシネマ2 互いの言葉が頭上を素通りするディスコミュニケーションの時代と都市に於いて、その事にさえ無自覚な人々を撃つでもないキアロスタミの虚無や諦念さえ今更な冷えた世界への認識力。これは「絆」とかほざく空…

八月の濡れた砂

★★ 1982年8月20日(金) 毎日ホール 若者の倦怠や反抗心は何も「太陽族」や「ヌーベルバーグ」の専売特許ではなく普遍の題材なのだとは思うが、海やギラつく太陽や車や金持ちのお嬢さんや鼻持ちならない大人等の最早陳腐化した記号で彩っても何の感興も涌かな…

オー・マイ・ガアッ!

浅田次郎 集英社文庫 本を読まなくなってしまったのは、この本のせいだ。 何年間も古本屋の100円コーナーでしか本を買わなくなっていて、ときおり10冊くらいまとめ買いしては、ちびちび読んでいたのだが、この本を読み出して止まってしまった。 たぶん…

おもひでのしずく (2005年1月14日 (金))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 甦れ!STOMCH (ⅰ)雪山で遭難し運良く発見した雪洞で寒を凌ぎ飲まず喰わずで1週間。天国からのお迎えが瞼にちらついたその時奇跡的に救助隊に発見される。(ⅱ)客船で太平洋クルーズに出かけ…

ホーボー・ウィズ・ショットガン

★★★★★ 2012年10月13日(土) 新世界国際劇場 限度を超えた人体破壊の延々たる羅列なのだが、タメが無い分乾いた突き抜け感がある。物語に善悪の規範さえ言うのも今更だが、その単線さに飽きがくるころ「地獄の死者」が黄泉の国と寓話世界を直結させる。一気…

コールガール

★★★★ 1982年9月19日(日) 伊丹グリーン劇場 陳腐な筋立ての完全無比の幕間繋ぎ企画だが裕也・ひろみ・竜童等を配した脇役陣が無類のヒリヒリ感を醸し出し裏街道の匂いを発散して世界観を担保する。しかも安藤庄平のカメラが絶妙のフレーミングと色使いでそれ…

趨勢に流される安寧が本質を見誤らせる

菊地成孔の映画本新著「映画関税撤廃」を本屋で立ち読み&流し読みしてて思った。 この人の言ってることジーツにしっくりきます。 読んだのは主に2つの章。 「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」と「グリーンブック」についてのものです。 前者はテニスのキン…

おもひでのしずく (2004年12月7日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 ULTRA PUNK BULUES LIKE A ROLLING DICE ULTRA PUNK BULUES LIKE A ROLLING DICE 作詞 悪悠 作曲 包強兵 歌 MAD今林 All Right! A…

アウトレイジ ビヨンド

★★★★★ 2012年10月7日(日) MOVIXあまがさき11 今更な西田や中尾の起用が『代理戦争』の旭や梅宮級の触媒となり化学反応を及ぼした。余りな単線いてまえ構図を小日向の介入を随所に錯綜させ複層化した巧味と終局の詠嘆。強固な顔面羅列の言葉のどつき…

尼僧ヨアンナ

★★★ 1982年8月13日(金) SABホール 何故に神父は尼僧たちと共に堕ちて行かねばならないのか。その反道徳性・反社会性をストレートに見せるのではなく強固に難解なスタイルでもって回ったもどかしさがある。更に残念なことにそのスタイルにも一貫性がない。…

AKIRA

★★★ 2020年6月7日(日) TOHOシネマズ梅田9 80年代の連載当時、ヤンマガは読んでたし、あのどでかい単行本も買っていた。で、この映画化作品をなぜ当時スルーしたのかと思うに、大友の完成され尽くした漫画が、あるべき地平まで行き着いてしまってる…

おもひでのしずく (2004年11月23日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 理想郷伝説 夢には2通りある。目覚たくない。不覚にも目覚めてしまっても、適うなら眠り直して続きが見たい…というやつ。もう1つは、夢なら覚めて欲しい…というやつだ。で、俺は30歳を前後する頃…

ウェイバック 脱出6500km

★★★★ 2012年10月13日(土) テアトル梅田2 新味無い題材だし、サクサク進む感も迎合的に思えたりもするが、それでも、雪原→砂漠→雪山と両極に振れ続く過酷な逃避行の幕間に挿まれた湖畔やオアシスの安らぎの妙。ウィアーにより切り取られた風景の連鎖はハッ…

暗くなるまで待てない!

★★ 1982年9月11日(土) 大阪府立文化情報センター 映画バカが映画を題材に撮ったオナニー映画で青いセンチメンタル感傷はある程度許容しても、ギャグの程度が低すぎついていけない。不遇時代の清順本人を一瞬ではあるが担ぎ出した一念岩をものプロデュース力…

たかが世界の終わり

★★★★ 2020年5月30日(土) 大阪ステーションシティシネ10 「マミー」にはカサヴェテスを感じだが、これはベルイマンを意識してると思われる。感情の妥協的な相互の寄り掛かりはビタイチない。あるのは絶望的な孤絶感だけ、兄弟・親子なのに。 そういった確…

おもひでのしずく (2004年11月17日 (水))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 ループする人生 ああ~歯が…痛い…9月にあった小学校の運動会で、森永ハ○チューなるものを喰いたくもないのに喰ったら、ポロリと歯に詰めてあったのが外れて以来、1ヶ月半。ポッカリ空いた穴に食事の…

ハスラー

★★★★ 2012年10月21日(日) TOHOシネマズ梅田10 仰角を多用するロッセンの冷めた視線は買うが、成り上がり野郎のアップダウンストーリーは今一論理的拠り所を欠く。年月を経て再浮上するのはパイパー・ローリーの造形。この地獄に生き尚涙を見せない女…

えきすとら

★★ 1982年8月10日(火) 伊丹ローズ劇場 成功の為には身を任せることも厭わない石田えりが相も変らぬ微温ドラマを破壊してくれればまだしもだったのだが、朝間の旧態なモラリズムは頑強なのであった。それでも流石に終盤の『寅さん』的作劇上のパターン演出に…

愛と青春の旅だち

★★★ 2020年5月31日(日) 大阪ステーションシティシネマ2 玉の輿を狙って士官学校の若いのをたぶらかそうとする女の話で、私は違うのと言ったりするが結局はそういうことなのである。 80年代初頭の映画だが、70年代の終わりには「結婚しない女」や「ミ…

おもひでのしずく (2004年10月26日 (火))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。 タブー 俺は人並みに年寄りは大事にしないといけないとは思っている。電車やバスで座っているときに前や横に年寄りが来れば、例外なく席を譲る。これは、小学生の頃から、ずっとそうしている。老いた…

ロック・オブ・エイジズ

★★★★★ 2012年9月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 清清しいバカップルのルーチン物語が80年代ポップスに乗り『ウエスト・サイド』張りに3重唱を奏でた序盤で射られる。カッティングは60年代ミュージカルの正統継子で、マイノリティへの共感…

いのち・ぼうにふろう

★★ 1982年9月22日(水) 新世界東宝敷島 脳内作劇ででっちあげられた無頼の徒の純情と反抗があざとさを通り越し気持ち悪くさえある。豪華なキャスティングと孤絶した「島」深川安楽亭の設定と装置の良さをもってしても脚本のシラジラしさと安住する小林のキザ…

パッシング論

先崎彰容著 新潮新書 何ヶ月か前、BSの時事トークを見るともなしに見ていて、この人の言ってることめっちゃしっくりくると感じました。 何がしっくりきたのかと言うと、メディアやネットにあふれかえる批判や攻撃のワンサイドな均質化に疑問を呈していたか…