男の痰壺

映画の感想中心です

2020-01-01から1年間の記事一覧

ザ・ソルジャー

★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 世界を股に掛けたプロフェッショナル部隊の対テロリスト戦と言えば聞こえが良いが、開巻30分の掴みは兎も角、サウジ油田爆破の駆け引きにモスクワを核攻撃で対抗と話が無茶な割にショボすぎで白ける。米ソの対立構図…

益荒男の卵かけご飯 或いは人類の希望

俺はこの歳になるまで卵かけご飯をほとんど食べない人間だった。 あのいくらかき混ぜてもドローンとした白身がご飯と親和せず、口中に入ったそれがズルリと喉を通過するとき気持ち悪さは吐き気さえ覚えるのであった。 団体旅行とかで旅館に泊まった翌日、二…

ミッション・クレオパトラ

★★ 2011年7月9日(土) トビタシネマ モニカは何処?サギやー!アホンダラ~と今更言う気もおきぬデブ親爺とヒゲ親爺のしょうもないコント。無理難題をクリアするに魔法でチョイで済むならドラマは不要。お座成りな攻防と大団円には欠伸しか出ない。(cinemas…

★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 所詮は女視点か男視点に搾らないと見る者は戸惑うばかりだろう。増村版で出尽くしたであろう原作エキスを現代劇として再構築する気概は、あったかも知れぬが悲しいまでに上滑りしていて低俗化。見るのも痛ましい。リメイク…

青島要塞爆撃命令

★★ 2011年7月9日(土) トビタ東映 懐旧的大らかイズムを感じさせるには対比し批判する匙加減が要るんであって、埋没し全肯定されたら退くしかない。気合乗り今いちな東宝ルーチンキャストの刺激の無さと円谷特撮の噴飯。浜美枝が出るシーンのみ目が覚めた。…

エイブのキッチンストーリー

★★★ 2020年12月8日(火) テアトル梅田1 ニューヨーク在住のパレスチナ人男性とイスラエル人女性が結構して子どもができました。どうなるでしょうか。 というお題目で考えたんだろうが。 ひとこと、陳腐であります。この程度なら俺でも考えれそう。 両親と…

フルーツ・バスケット

★ 1983年6月4日(土) 大阪府立文化情報センター 少なくとも俺は映画内世界に於いて誰がどういう嗜好を持とうとも寛容に受け止めようというくらいの心構えは持ってるつもりであるが、こうも相容れない趣味の世界を確信的に繰り広げられると狭量な我が身を呪い…

英国王のスピーチ

★★★★ 2011年8月13日(土) 新世界国際劇場 大戦前夜の好戦非戦の悲喜交々も、王位継承への骨肉の軋轢も、吃音解消問題の前では背景音。それがアジテートこそ必要資質たる英国王の必須要件だとしてもミニマム世界に拘泥した感が拭えない。演技陣は抑制された…

質屋

★★★ 1983年6月15日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 撮影・音楽など完璧な布陣だが、それでもカサヴェテス以後ニューシネマ以前の立ち位置ゆえの煮え切らなさは拭えない。人間性の回復とまではいかぬプチドラマを重厚な一人芝居でスタイガーが演じるが空回…

ヱヴァンゲリヲン 新劇場版:序

★★★ 2020年12月15日(火) 梅田ブルク7シアター2 今更のエヴァ初見でございます。 思い起こせば10数年前、エヴァンゲリオンなるものを初めて知ったのはパチンコででした。CRエヴァンゲリオンは当時かなりやってましたので、この映画「序」のクライマッ…

大鹿村騒動記

★★★ 2011年7月21日(木) 梅田ブルク7シアター2 時宜を得た老キャスト連が醸す好コラボのまったり感に身を委ねてたゆたう至福はあるが、まったり過ぎてドラマチックな感興も無いのが物足りない。脇ストーリーに至っては、どれも半端な付け焼刃。故原田の声…

ロサンゼルス

★★★★ 1983年6月21日(火) 伊丹ローズ劇場 直情的でヒネリの無いストーリーだが、それだけに2作目という監督・主演のコンビが気取りもてらいもなく見せる職人芸が頃合いの安定感。パンチの効いた描写も充分に堂に入って飽きさせない好篇。(cinemascape) kenir…

ツリー・オブ・ライフ

★★★★★ 2011年8月27日(土) 梅田ブルク7シアター5 頑固親爺に反撥した程度の問題を兄弟の死は脇に置いて大宇宙の俯瞰からDNAの極微細への往還と太古から現在への時間の流転でベルイマンもどきに神実存を問いフェリーニ的祝祭へ至る。マリックはとんでも…

泣く子はいねぇが

★★★★★ 2020年12月18日(金) 大阪ステーションシティシネマ7 ダメ人間かダメなままで終わることをモラトリアムな遣る瀬なさに包んで提示した点で高純度な達成であり、ジャームッシュや山下敦弘の系譜に連なる新たな才能だと思う。 佐藤快磨。覚えておこうと…

の・ようなもの

★★★ 1983年6月29日(木) 毎日ホール 台詞の独特の新味と伊藤のヘタヘタが相乗する以外これといってどうってことないのだが安易とも思えるラストでは泣かされるのも確か。終電を逃し夜通し歩いての道中づけは行き場なきモラトリアムの悶々の表出で秀れて擬似体…

スタンド・バイ・ミー

★★★★ 2011年8月27日(土) TOHOシネマズ梅田10 少年期の終末の刹那な高揚への切ないノスタルジーは鉄板題材だが若干今更。日常に違和感無く死が介在し、臨界ギリギリの暴力も茶飯事であった時代認識こそが非凡。そのキング的意匠を消さず強せずなライ…

LONG RUN ロングラン

★★★ 1982年5月1日(土) 伊丹ローズ劇場 おそらく大した内実も無いのに映画を何とか1本作ったろかという山師連中が集う製作過程が、描かれる海のもんとも山のもんとも知れん男の大陸横断野望と同期し微温的ながらもベタつかないテイストを醸し出した。撮影長…

魔女がいっぱい

★★★ 2020年12月4日(金) TOHOシネマズ梅田3 俺は、ゼメキスの映画で何が1番好きかと聞かれたら、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なんかじゃなく「永遠に美しく」と答えるヒネた人間なんで、これにも同じ匂いを嗅いで見に行きました。デル・トロと…

忍たま乱太郎

★★★ 2011年8月13日(土) 梅田ブルク7シアター7 一応は規範に沿いつつ若干の糞尿ネタで遊ぶ程度の三池調が、中盤の鹿賀の逸脱あたりから新規登場人物の釣瓶打ちが悉くハマって得意の宴会芸祭りの様相…になりそうだったのだが、所詮清史郎君を立てるしかな…

ウイークエンド

★★★★★ 1983年7月3日(日) 吹田映劇 淡彩のアパートから始まる物語が緑の沿道と青い空、白い雲と原色の車の列に巻き込まれる。ポップアートの極みにファルスとスペクタクルが混在しゆく有り得なさが、そこに留まらずモラルを蹂躙し最果てまでいっちまう。分水…

引き裂かれた女

★★★★ 2011年9月17日(土) 高槻セレクトシネマ1 アレン的爺い万歳映画かと思うそばから展開は微妙にズレ出し、ブニュエル臭漂う隠蔽されたド変態要素を垣間見せつつ、やがては行ってこいな遠い地平で詠嘆でもするのかと思えば、いけしゃあしゃあと引き裂か…

映画年間概観 2011

映画 2011 今年、映画館で見た映画が91本。案の定、100本を切り、俺の黄金時代は2年で終了した。 主なものをシネスケ採点で列挙すると 日本映画★★★★★「冷たい熱帯魚」「八日目の蝉」「弥太郎笠」日本映画★★★★「海炭市叙景」「パラダイス・キス」「…

黄昏

★★★ 1983年7月14日(木) 戎橋劇場 父娘の確執といってもムキ身で鬩ぎ合うものではない。所詮は互いの我の張り合いであって、そこに物語の真の深い感銘を見出すのは難しい。フォンダ父子の実状を映画に被せて見るのも所詮ゴシップに過ぎない。生身の老いの痛々…

エンジェル ウォーズ

★★★ 2011年8月13日(土) 新世界国際劇場 2段重ねの妄想までは抑制されたケレンとハッタリも効き傑作なのだが、3段目となる妄想が趣味世界に耽溺した幼稚世界でのバトルで、体技をCGで誤魔化すレベルに留まらずゲームのデモ画面的空虚な不快感を撒き散ら…

象のいない動物園

★★ 1983年6月10日(金) 緑ヶ丘小学校講堂 人間の都合で生殺与奪された動物たちは戦後混乱期の少年少女に希望や喜びを与えたのであれあば多少は報われるというのは製作した動物園の論理。木訥なタッチが人間の欺瞞の粉飾に荷担するなら子供たちだって見透かす…

記憶の技法

★★★ 2020年11月28日(土) シネリーブル梅田4 池田千尋。黒沢清の愛弟子にして「クリーピー」や「空に住む」の脚本に参加。 とまあ、パロディアスユニティの血脈を引き継ぐ正統嫡子ということなのだろうが、「スタートアップガールズ」と本作を見た限りでは…

一枚のハガキ

★★★★ 2011年8月27日(土) テアトル梅田1 ツンデレ大竹の硬く閉じた心の融解の過程は少々強引な感が無くもないのだが、豊川との2人芝居の濃厚は有無を言わせぬ快楽がある。怒りや哀しみを呑んで腹にためる新藤演出の定型詩的な簡潔と枯淡の心地よさ。ラス…

ネイバーズ

★★ 1983年6月21日(火) 伊丹ローズ劇場 ブラックコメディから不条理劇そして破壊のカタルシスを伴うアナーキズムへとエスカレートする魅力的なアイデアだがアヴィルドセン演出はただ筋を準えるだけで凡庸の極み。才気の欠片もなく台無しである。モーリアティ…

チョン・ウチ 時空道士

★★★ 2011年9月17日(土) 高槻セレクトシネマ1 突き抜けてなければあかんと言うつもりもないが、エッジの欠片も立っていない。丸まった鉛筆ばかりの筆箱のまったり感。恥ずかしい描写もないが、心の奥底も突いてこない。せめて、30分短ければとも思うし、…

映画年間概観 2010

映画2010 今年、映画館で観た映画が119本。しかし、転勤を機に状況は変わった。1~6月が78本、7~12月が41本であり、来年度の100本超えはまず不可能であろう。俺の黄金時代は終焉した。次の黄金時代の到来は周期説から言うとアラウンド還…