男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あこ】

悪魔の教団 レッド・モンクス

★★ 1991年4月6日(土) 新世界国際劇場 不必要な残虐趣味は好みではないが、こうも何も無いと厳しいものがある。とにかく見せ場が無いうえに捏ねくり回した意味不明の展開でついていく気力も失せる。あとは、ひたすらにララ・ウェンデル嬢を見続けるしかない。…

アイダよ、何処へ?

★★★★ 2021年10月2日(土) シネリーブル梅田3 ボスニア紛争は映画でも再三題材とされてるみたいで、いくつか見てはいるんだろうけど、紛争自体のこと真剣に考えたこともなかった。なんか、東欧でいざこざがあったんやな程度です。俺に限らず日本人の世界認…

赤毛

★★★ 1991年5月19日(日) 日劇シネマ 一途な純情キャラというのが、この頃の三船ではもうこそばゆい。岡本一家総出の脇芸の競い合いが楽しく、何とかそれを補完しているが、終盤では、凡庸な展開が全てを飲み込み、何もかもが哀しいまでにしぼんでしまった。(c…

赤い文化住宅の初子

★★★★★ 2007年6月16日(土) テアトル梅田2 絶望的な状況でも過度に悲観的にも攻撃的にもならないで淡々と日々を全うしていく美しさとでも言おうか。醒めた諦観ではなくノーブルな直視のスタンスだから脇キャラの過剰もあざとくない。技法への拘泥の無ささえ…

愛の予感

★★★★ 2008年1月5日(土) シネヌーヴォ シネマヴェリテ的手法に於いてカサヴェテスの豊穣に、反復のエクリチュールに於いてカウリスマキの巧緻には及ばない。がともかく、愛の萌芽に向けての全篇を牽引するサスペンスフルな緊張は傑出している。あとロケ選定…

アウトポスト

★★★ 2021年8月8日(日) 新世界国際劇場 いったい何を描こうとした映画やねん。 と思えてしまうのは、起こったことへの批評や考察が見受けられないから。 アメリカのアフガニスタン制圧によるタリバンとの闘いで最も苛烈だったらしい「カムデシュの戦い」を…

赤い風船

★★ 2008年7月30日(水) 梅田ガーデンシネマ1 少年と風船のドリフのコントめいた寸劇も、我慢してれば何時かはシュールな地平に誘われるか、或いは破壊や虚無や悔恨や何かの実に接し得るかと思えば、結局場当たり的な逃避的帰結で茶を濁す。そんなのは本気…

藍色夏恋

★★★ 2008年7月26日(土) ホクテンザ2 丁寧な描写の積み重ねは悪う筈もないのだが、所詮優等生の破綻もしない調和世界を見せられる味気無さ。ただ、そういう世界を穿つ瞬間もあった。夜の体育館と屋上での焼却。特に後者では彼女の肢体の伸びやかな解放感が…

愛と野望のナイル

★★ 1990年3月4日(日) 長崎東映パラス 秘境ものに2人の男の関係性を『ロレンス』的な屈託と葛藤を付与し描きたかったらしいが余りに舌足らずで結局B級のチープな探検譚が出来上がった。ラファエルソンの取り残され感に気を取られ乗り損なうと信頼と誠意の話…

あ・うん

★★ 1990年2月25日(日) 八木館2 秘めた想いを胸にストイックに生きる男なら健さんでいいのだろうが、門倉というキャラは決してストイックなだけではないので無理してるって感じが拭いがたい。社長と一介の給与取りの間に阿吽を見出すには坂東では重さが釣り…

紅いコーリャン

★★★★ 1990年8月4日(土) アクア文化ホール 明確な色彩設計と剛腕な筆致が融合し苛烈な生き様を際立たせる。見たこともないようなものを叩き付けられた感じはしないが、後に形式に拘泥しゆく藝謀の未だ荒削りな原初の資質が剥き出しの情念とマッチング。只管に…

アイアンマン

★★★ 2009年1月31日(土) トビタシネマ 平和なんか糞食らえの享楽主人公がアフガンで拉致されトンカントンカン手作り工芸するあたりまではマーベル最高作かとさえ思えたサバけぶりだったが、後半は全く凡庸に堕した。ダウニーの胡散臭さ、ブリッジスの余裕、…

赤いハンカチ

★★★★ 2009年3月21日(土) 日劇会館 格好つけて結局未練タラタラやったんかいという展開が真ノワール的感興から遠ざけるかと思うそばから揺り戻すニヒリズム。最強なルリ子も展開の穴を補強した。豊穣で強靱な漲る画面の充実度は滅多にない見物で初源的モン…

茜色に焼かれる

★★★★ 2021年6月9日(水) TOHOシネマズ梅田5 とんでもない傑作だと思わせる側面も多々ある。特に、尾野真千子は今年演技賞のど本命に躍り出たと思われる入魂の演技だし、片山友希は掃き溜めに降りた薄幸の聖母を体現し得ているし、和田庵はあり得ないよ…

愛を読むひと

★★★★★ 2009年7月8日(水) TOHOシネマズ梅田9 『青い体験』かと思えば『私が棄てた女』だったという展開に予想外に心を射られた。サイクリングシーンの唯一の煌めきは残像として後半も支配する。筋を通す強靱さをウィンスレットは文字通り体現。ファイ…

悪夢のエレベーター

★★★★ 2009年10月19日(月) シネリーブル梅田1 話が返るたびに段階を追って無限地獄に誘われる徹底した「悪意」が快感で、だからこそ、打破したいという主人公の心象風景たる「球場」は肝なのだ。ポイントゲットな笑いに粉飾されたサイコな深淵。描かれた世…

アイ・アム・レジェンド

★★★ 2009年12月19日(土) トビタシネマ 前半の孤独ライフの点描が余りに鮮やかで一種快楽リズムに乗っかってるので、共闘生存者を疎む主人公の本心を計りかね、言わんや自己犠牲な人類救済へ至る整合性は見えてこない。アンチモラルへの覚悟が無いから半端…

赤と黒

★★★★ 2010年1月23日(土) テアトル梅田2 パノラミックな歴史的視座は無く冗長とも言えるが、何時しかそのテンポが癖になりそう。屋敷の廊下を行きつ戻りつのダリューの逡巡とルアルディの近代的お嬢キャラの2分された展開の異なる味わい。主客が転倒する…

アウトレイジ

★★★ 2010年6月12日(土) 梅田ブルク7シアター2 群像劇の形骸化した骸。深作・笠原が10倍に凝縮し広大な背景を垣間見せたジャンルを10倍に希釈した模造品。語るべきドラマが無いから殺しの趣向に依存する怠惰。わけても終盤の既視感には心底うんざりし…

悪人

★★★★ 2010年10月8日(金) TOHOシネマズ梅田10 排他的に個人主義な満島・岡田の世代と対峙する旧世代柄本・樹木。そして、両者から排除される妻夫木・深津がいるわけだが、やはりこれは『パレード』のように並立配置されるべき。力作だが閉じた世界の…

赤ひげ

★★ 1984年12月1日(土) 梅田スカラ座 煮詰まって袋小路に入った黒澤イズムは『七人の侍』を超える2年の撮影期間の果てに、独裁者の孤立と最善共闘者三船との別離と自殺未遂を含む4年の空白をもたらした。似非ヒューマニズムの臭いの裏側に垣間見える災厄へ…

愛情物語

★★★★ 1983年3月1日(火) 伊丹ローズ劇場 陳腐化を免れて輝きを持続する奇抜は希なのであって、豊穣な資本に裏打ちされた王道な通俗ドラマは永遠性を保持する。ジョージ・シドニーの奇を衒わない作風と物語に対する確信の強度は並ではない。趣味ではないが認め…

アウトサイダー

★★★ 1983年9月9日(金) 梅田スカラ座 ミュージカル・暗黒街・戦争とコッポラは意図的にオーソドックスなジャンルを踏襲してきたのだから、この不良ものの内容的陳腐さには確信的だった筈。なのに『ワン・フロム』の人工世界の形骸を引きずり反動からか描法に…

秋日和

★★★★ 1983年12月16日(金) ビック映劇 1992年2月16日(日) 日劇シネマ 『晩春』から10年の歳月を経て一巡した原節子の役回りが物語構造と同期した侘びしさが胸を打つ。3人組サラリーマン親爺のコンビネーションと岡田茉莉子の艶も完璧な配合度合いだが、結…

愛と哀しみのボレロ

★★★ 1982年1月16日(土) 新世界国際 全く連関の無い並立的な4つの挿話を強引にクライマックスに収斂しようとするのが粋とも思えず強引の印象になったのは、ノンジャンルに音楽界ビッグネームを並べ立て伝記然とした括りをつけたが為だろう。闇雲なパワーは認…

あゝ野麦峠 新緑篇

★★ 1982年2月6日(土) 伊丹グリーン劇場 初期プロレタリ運動勃興を描き1作目よりもスケールアップすべきところがショボくなり貧相さが際だつ。傍観者三原のニヒリズムと後半の主軸となる石田の対比が序盤から設計されぬので場当たり的でドラマトゥルギーが生…

アウトランド

★★★★ 1982年3月10日(水) 伊丹グリーン劇場 SF的意匠を塗した形而上設定ではなく『真昼の決闘』焼き直しの地に足着いたアンチSFストーリーが寧ろ新鮮である。そして、にもかかわらず美術など画面を彩る仕掛けは手抜き無くハイブロウ。多くのグッドジョブ…

悪魔の部屋

★★ 1982年4月24日(土) ダイニチ伊丹 ガラス窓1枚隔てた外は大都会の喧噪というのが映画を「監禁もの」の刹那感から遠ざけた。そんなことを抜きにしても密室で続く男と女の関係が変質していくドラマが淡泊でペラペラ。ただただ中村れい子が美しい。それしか…

アクシデント

★★★ 2012年5月26日(土) 新世界国際劇場 彼らの仕事の徒に複雑化した阿呆らしさが映画的趣向だと認めるものの、やっぱ阿呆らしい。その阿呆らしさが肝心の疑心暗鬼劇を矮小化させてしまい、主人公がピエロに見える。ただ、4人の人物設定の背景世界をも垣間…

愛と誠

★★★★ 2012年6月17日(日) MOVIXあまがさき9 今時「ブルジョワ」対「不良」のお笑い構図をやる為の納得コンセプトではあるが、にしては終盤結構マジ涙腺を刺激され、嘗ての三池が必ず陥った破綻を回避するネバリ腰。ただ、その一歩手前を線上で維持し…