男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ああ~あの】

熱海殺人事件

★★★ 1986年6月15日(日) 友楽劇場 終始ハイテンションで繰り広げられる誇張芝居は、それだけ充分に吸引力を持つ。滅法面白いとは思いつつも、この演出でこれだけ面白いんだったら…との疑念を持ち続けた。小賢しくもないが冒険もなさ過ぎ。(cinemascape)

アウトレイジ

★★★ 2010年6月12日(土) 梅田ブルク7シアター2 群像劇の形骸化した骸。深作・笠原が10倍に凝縮し広大な背景を垣間見せたジャンルを10倍に希釈した模造品。語るべきドラマが無いから殺しの趣向に依存する怠惰。わけても終盤の既視感には心底うんざりし…

あのこは貴族

★★★★ 2021年2月27日(土) テアトル梅田2 「あの子は貴族」という物言いの裏には当然に「私は平民」という立場の思いが隠れているわけだが、映画はそういった格差について切り込もうという意図はない。どっちに属して生きたって楽しいこともしんどいことも…

アデル ファラオと復活の秘薬

★★★ 2010年7月9日(金) 梅田ブルク7シアター6 冒頭の叙述的語り口から19世紀ロマン主義的展開を見せ始めるあたりが悪くもなく、米映画の低位な取り込みも目を瞑る。ギャグかと思えるオチが結構マジそうなのもベッソンの天然たる所以で今更何も言うまい…

悪人

★★★★ 2010年10月8日(金) TOHOシネマズ梅田10 排他的に個人主義な満島・岡田の世代と対峙する旧世代柄本・樹木。そして、両者から排除される妻夫木・深津がいるわけだが、やはりこれは『パレード』のように並立配置されるべき。力作だが閉じた世界の…

赤ひげ

★★ 1984年12月1日(土) 梅田スカラ座 煮詰まって袋小路に入った黒澤イズムは『七人の侍』を超える2年の撮影期間の果てに、独裁者の孤立と最善共闘者三船との別離と自殺未遂を含む4年の空白をもたらした。似非ヒューマニズムの臭いの裏側に垣間見える災厄へ…

あしたのジョー

★★★ 2011年3月6日(日) MOVIXあまがさき8 原作がそうなのだから言っても詮無いが、ファイト場面がノーガードのクロス狙い一辺倒で芸無く、決めもCG塗れのケレンを強要され不快。だが、それ以外の世界のトレースは巧緻で、キャストも香川を筆頭に敢…

愛情物語

★★★★ 1983年3月1日(火) 伊丹ローズ劇場 陳腐化を免れて輝きを持続する奇抜は希なのであって、豊穣な資本に裏打ちされた王道な通俗ドラマは永遠性を保持する。ジョージ・シドニーの奇を衒わない作風と物語に対する確信の強度は並ではない。趣味ではないが認め…

アウトサイダー

★★★ 1983年9月9日(金) 梅田スカラ座 ミュージカル・暗黒街・戦争とコッポラは意図的にオーソドックスなジャンルを踏襲してきたのだから、この内容的陳腐さには確信的だった筈。なのに『ワン・フロム』の人工世界の形骸を引きずり描法が半端で弛緩している。(…

秋日和

★★★★ 1983年12月16日(金) ビック映劇 『晩春』から10年の歳月を経て一巡した原節子の役回りが物語構造と同期した侘びしさが胸を打つ。3人組サラリーマン親爺のコンビネーションと岡田茉莉子の艶も完璧な配合度合いだが、結局笠の枯淡世界へと回帰する小津…

アジアの純真

★★★★ 2011年12月10日(土) 第七藝術劇場 全肯定には躊躇するが、少なくともマスで醸成された言説を全否定し、且つ強固な自己反省を携えつつ世界に牙を向くという正しい在り様には賛同。大島・若松的な気骨はキューブリックなアイロニーに至る。全般粗いがロ…

アジョシ

★★★ 2011年12月10日(土) 新世界国際劇場 主人公と少女の関係が表面上ベタついていないのが救いなのだが、結局、心根ではメロウな野郎であることが嘘臭い。ゲスな兄弟とその配下の超プロなタイ人傭兵という敵キャラ配置も最早見飽きた感がある。警察の介入…

朝が来る

★★★★★ 2020年11月6日(金) TOHOシネマズ梅田10 今まで河瀬直美のことを、どうしても斜め上からしか見れない感じがしていて、それは、女性というアイデンティティをあまりに前面に出してそこに依拠した作風であることから、やたらな海外での高評価も、…

愛と哀しみのボレロ

★★★ 1982年1月16日(土) 新世界国際 全く連関の無い並立的な4つの挿話を強引にクライマックスに収斂しようとするのが粋とも思えず強引の印象になったのは、ノンジャンルに音楽界ビッグネームを並べ立て伝記然とした括りをつけたが為だろう。闇雲なパワーは認…

アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!

★★★ 2012年1月21日(土) 新世界国際劇場 掴みからして完璧にサイコーだし、主人公2人のキャラに絡んだボケ・ツッコミ設定は総じてギャグも高度である。特にエヴァ登場時のマークのリアクションは納得もの。ただ、どうにも肝心の事件絡みが弾けないのだな。…

あゝ野麦峠 新緑篇

★★ 1982年2月6日(土) 伊丹グリーン劇場 初期プロレタリ運動勃興を描き1作目よりもスケールアップすべきところがショボくなり貧相さが際だつ。傍観者三原のニヒリズムと後半の主軸となる石田の対比が序盤から設計されぬので場当たり的でドラマトゥルギーが生…

アウトランド

★★★★ 1982年3月10日(水) 伊丹グリーン劇場 SF的意匠を凝らした形而上的設定ではなく、『真昼の決斗』焼き直しの地に足を着いたストーリーが寧ろ新鮮。そして、美術など画面を彩る仕掛けも手抜き無くハイブロウだ。多くのグッドジョブを残していくハイアム…

悪魔の部屋

★★ 1982年4月24日(土) ダイニチ伊丹 ガラス窓1枚隔てた外は大都会の喧噪というのが映画を「監禁もの」の刹那感から遠ざけた。そんなことを抜きにしても密室で続く男と女の関係が変質していくドラマが淡泊でペラペラ。ただただ中村れい子が美しい。それしか…

アクシデント

★★★ 2012年5月26日(土) 新世界国際劇場 彼らの仕事の徒に複雑化した阿呆らしさが映画的趣向だと認めるものの、やっぱ阿呆らしい。その阿呆らしさが肝心の疑心暗鬼劇を矮小化させてしまい、主人公がピエロに見える。ただ、4人の人物設定の背景世界をも垣間…

愛と誠

★★★★ 2012年6月17日(日) MOVIXあまがさき9 今時「ブルジョワ」対「不良」のお笑い構図をやる為の納得コンセプトではあるが、にしては終盤結構マジ涙腺を刺激され、嘗ての三池が必ず陥った破綻を回避するネバリ腰。ただ、その一歩手前を線上で維持し…

アタック・ザ・ブロック

★★★ 2012年6月23日(土) シネリーブル梅田2 少年達が主役なので、所詮はコード内に留まらざるを得ない生ぬるさで、かと言って友情や成長といった真摯なジャンルテーマにも感度低い。外景や遠景を駆使せぬ演出は高層住宅という魅力的空間を活かし切ったとも…

悪魔の金

★★★★ 2020年7月19日(日) プラネットスタジオプラス1 悪意に魂を売った男の話は「ファウスト」はじめごまんとあるのだが、これがちょっと異質なのは、ダニエル・ウェブスターなる実在の政治家を物語に配したとこで、まあ言うなれば彼の英雄譚だ。 なんじゃ…

悪人伝

★★★ 2020年7月17日(金) 梅田ブルク7シアター3 「新感染 ファイナル・エクスプレス」で日本でも認知され、主演映画が続々公開の運びとなったマ・ドンソク様の新作でございます。 そして、今回はシリアルキラーとノワールのジャンルミックスという新たな地…

愛と喝采の日々

★★★ 1978年8月29日(火) 大毎地下劇場 バリシニコフとブラウンという若い2人のバレエシーンの本物の前にベテラン女優の肝心のドラマが霞んでしまう。凌駕できるような圧倒のドラマトゥルギーが不足してるから。岐路での選択への屈託が女同士のつかみ合い喧…

アウトレイジ ビヨンド

★★★★★ 2012年10月7日(日) MOVIXあまがさき11 今更な西田や中尾の起用が『代理戦争』の旭や梅宮級の触媒となり化学反応を及ぼした。余りな単線いてまえ構図を小日向の介入を随所に錯綜させ複層化した巧味と終局の詠嘆。強固な顔面羅列の言葉のどつき…

AKIRA

★★★ 2020年6月7日(日) TOHOシネマズ梅田9 80年代の連載当時、ヤンマガは読んでたし、あのどでかい単行本も買っていた。で、この映画化作品をなぜ当時スルーしたのかと思うに、大友の完成され尽くした漫画が、あるべき地平まで行き着いてしまってる…

愛と青春の旅だち

★★★ 2020年5月31日(日) 大阪ステーションシティシネマ2 玉の輿を狙って士官学校の若いのをたぶらかそうとする女の話で、私は違うのと言ったりするが結局はそういうことなのである。 80年代初頭の映画だが、70年代の終わりには「結婚しない女」や「ミ…

秋のソナタ

★★★★ 1982年9月26日(日) 三越劇場 透徹された表現主義は影を潜め自然主義的表現だからこその火花散る演技合戦に圧倒され、ショッキングなディテールも冴える。そして、カメラの前後の葛藤にも。対極の映画史を背負った2人のBergman。絶望の深淵からしか得ら…

悪の教典

★★★ 2012年11月11日(日) MOVIXあまがさき6 主人公の来歴なぞ必要もないものを寸語りするので純度が落ちる。故に一方的に「モンスター」に蹂躙されまくるだけのバカ絶対映画の地位さえ失った。でも、そんな地位に意味があるとも思えない。伊藤は確か…

アナザー・ハッピー・デイ ふぞろいな家族たち

★★★★★ 2012年12月27日(木) シネリーブル梅田1 心を病むことは特別なことでもない。地続きの日常の中で他者と混じわい軋轢があってこそ少しづつでも前に行ける。宴と前後する数日の人の出入り捌きの錯綜のダイナミズムはアルトマン級で、痛さを直視する怜…