男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【え】

エリザとエリック

★★★ 1994年4月9日(土) ACTシネマテーク 隔絶された世界を客観的にどう認識するかの視点を欠いてるので、他人のオナニーを見てるような味気なさしか感じない。嫉妬はあるが肉欲はない姉と弟の「おままごと」遊びは、何故に2人が充足しているのが理解しか…

悦楽

★★★ 2022年7月28日(木) シネヌーヴォ 大島渚のフィルモグラフィでマイルストーンとなった作品を敢えて3作挙げるなら「日本の夜と霧」「絞死刑」「愛のコリーダ」なんじゃないかと思う。それは、彼の創作の志向が政治から性へと向かいながら各局面に於いて…

エルヴィス

★★★ 2022年7月13日(水) 大阪ステーションシティシネマ10 前半1時間はバズ・ラーマンのクドいまでのケレンが時間の解体と相まって傑作かもとの思いもあった。 佳境が2つある。メンフィスのマイナーレベルのライブでトム・ハンクス扮する大佐が初めてエ…

エネミー・ライン

★★★★ 2002年3月14日(木) OSシネフェニックス2 斬新さ無いキャラと設定とストーリーだが可視界100%の山嶺や不穏な廃工場や崩壊した町等の風景が卓越したロケハン力とでも言うべき良さ。破壊された女神像が地獄の始まりを予感させる秀逸さがとりわけ冴…

エイジ・オブ・イノセンス 汚れなき情事

★★★ 1994年10月9日(日) 祇園会館 ミシェル・ファイファーが確かに、この女ならと思わせる哀しみを湛えた表現を見せ圧巻だが、これは50年代的正調メロドラマであり、その復刻を試みたにしてはスコセッシの80年代的体質が否応無く滲み出て統一感と安定を阻…

越後つついし親不知

★★★ 2002年8月19日(月) 日劇シネマ 三國→佐久間→小沢と物語の主軸が変遷する様が計算ではなく成り行き任せでそうなったような構成のばらつきが惜しいが、終盤の3分の1は泣けた。水上ものとして前年の『越前竹人形』とかなりカブるが佐久間は若尾に比肩し得…

es[エス]

★★★ 2002年9月9日(月) テアトル梅田1 アイデアは良く撮影もシャープだが、この映画の肝であり生命線であり、それを観る者に納得させ得ないと最後まで釈然としないであろう一線を越えてしまう瞬間の動機付けが弱い。女の存在も説明不足と言うより独りよがり…

クライヴ・ドナー Clive Donner

生年:1926/01/21没年:2010/09/07 kenironkun.hatenablog.com kenironkun.hatenablog.com

N号棟

★★ 2022年5月3日(火) MOVIXあまがさき8 何かの折にポスターを見て女房が「これ見たい」と言ったのはわからんでもなかった。数ヶ月前に引っ越した築50年超の公団住宅は、住人の大半が老人で饐えた臭いと死の影が蔓延している。廊下ですれ違って挨拶…

英雄の証明

★★★★★ 2022年4月22日(金) シネリーブル梅田1 アスガー・ファルハディの映画を「別離」を見て衝撃を受けて以来見続けているが、だんだん調子が落ちてる感があった。そりゃあそうで、オリジナル脚本であんだけ人の心理の機微を捉えつつ、錯綜する作劇のダイ…

栄光のル・マン

★★★★ 2003年3月17日(月) みなみ会館 年に1回フランスの片田舎で開催される世界的な祭に持ち込まれたカメラの特A級の臨場感が全てでドラマなぞどうでもいい。その風景にマックイーンを立たせて違和感のない高度に静謐な融合が果たされている。(cinemascape)…

XーMEN2

★★★ 2003年5月7日(水) 梅田ブルク7シアター6 ミュータント対人間との対立構図を前面に出し前作では微かにでも感じられたマイノリティであることの哀感が消失し個の対決に矮小化。更に安直なヒロイズムは心を醒めさせるだけだ。『LOTR』を経たイアン・…

PNDC エル・パトレイロ

★★★★ 1993年10月16日(土) みなみ会館 主題としては珍しくもないが主人公が決してスーパーマンでないところが良い。女房の尻に敷かれて思い悩みながら黒く染まっていく過程がヒューマンだし切実。不穏な予兆を孕みながらも、一方で独特のユーモアのセンスに彩…

Aサインデイズ

★★★ 1993年10月30日(土) 第七藝術劇場 安奈の成功も凌の没落も或いはその対比もズバリそこを描ききるという口八丁で物語る気概が見えず締まらない。が、このジャンルの日本映画としては比較的違和感無く見れ小っ恥ずかしくない。主役2人も良さもあるが日本…

エレファント

★★★★ 2004年5月18日(火) テアトル梅田2 背景音と等価に置かれた無味なダイアローグの羅列や単に歩く人物を背後から追い続ける長回しによって浮き上がる等身大の日常。降りかかる凶事に対し善悪論や運命論は全く無意味で恣意性のみに支配される。確かにそん…

エル・コロナド 秘境の神殿

★★★ 2004年6月7日(月) 天六ユウラク座 汎用キャラオンパレードのお子様ランチ革命劇ではあるが、怪奇や神秘を持ち込まない点に好感を持った。少なくとも序盤のチェイスと中盤の橋での攻防は80年代的冒険譚モチーフに節度あるCGを融合させ才気を感じさせ…

エンゼル・ハート

★★ 1992年5月24日(日) パルシネマしんこうえん 確信的にムードに埋没して自走すれば開ける地平もあろうが計算尽くの小手先で表面ずらをなぞっただけの薄皮めいたペラさに全篇被われてる気がする。であるから悪魔なんですと言われた時点で「さよか」で終わり…

エクソシスト ビギニング

★★★ 2004年10月27日(水) 梅田ピカデリー4 何もかも整合性をつけようとし過ぎるから、わけの解らない恐ろしさが薄まるのだ。悪魔バズズの最大の武器は人の心の弱みにつけ込む巧みな対話というオリジナルコンセプトを踏襲してるのに部分的に今風ケレン描写を…

エンジェル・アット・マイ・テーブル

★★★★ 1992年7月5日(日) みなみ会館 作者のリアルタイムに近似となる成年期よりも幼年時代が輝くのは年代記ものの宿命なのだろうが、ノスタルジイにオブラートされただけでなく、演出は文句無くオリジナルな個性を感じさせた。とりわけロングはどのショットも…

エターナル・サンシャイン

★★★★★ 2005年6月15日(水) 新世界国際劇場 失われたものに対する記憶は切ない追憶としてなら永遠に煌めき続けるとしても、それを引き戻すにはリアルな現実に直面しないといけない。カウフマンの脳天気なだけじゃない現実認識と圧倒的構成力。演出と撮影も精緻…

エイリアンVS.プレデター

★★★ 2005年4月13日(水) CINEMAしんげき1 そもそも遙か人類を凌ぐ文明の保有者と宇宙蜥蜴の対決では勝負は端から見えており苦肉の策で設定された「通過儀式」が物語を茶番に堕させ著しく本気汁を減殺した。圧倒的勝者の殺戮ゲームに絡む主人公は予定調…

エイリアン3

★★★ 1992年9月29日(火) 北野劇場 構築された冷温多湿な世界はフィンチャー次作へ継承され『セブン』の礎となったにしても、不要な虱害設定でオールスキンヘッドのむさ苦しくも修道院的辛気臭さが全篇に横溢ししんどい。4足で疾走するエイリアンのスピード感…

M:i:Ⅲ

★★★★ 2006年7月8日(土) ナビオTOHOプレックス1 釣瓶打ちの見せ場の連鎖は近年の常套とも思うが、冒頭のシーンが山葵の如くに効いてくる構成は端折るという意味が入念に考慮されてると思う。バチカンと上海のシークェンスに流れる濃厚な『カリオストロ…

X-MEN ファイナル ディシジョン

★★★ 2006年9月9日(土) ナビオTOHOプレックス1 終盤はジーンと「キュア」の源泉たる「アキラ」少年が中心になるべきだろう。ウルバリンを主にするためメロドラマ的に妥協し、前振りが全く死んでいる。更に人間対ミュータントの図式が消えては被虐感が…

エンター・ザ・フェニックス

★★ 2006年9月19日(火) 新世界国際劇場 意味もなく主人公をゲイという設定にした為に感情の流れは彼をすり抜け拡散していく。全篇に散りばめたコミックシーンも安いもんばかりで乗れない。そして、約束通りのショボいワイヤーアクションがクライマックスも…

エターナルズ

★★★★ 2021年11月8日(月) 梅田ブルク7シアター3 リアルワールドから遠く離れて、創造主がどうとかいった領域に風呂敷おっ広げた段階でマーベルへの興味は終わってしまったと思ってるし、直近の「ブラック・ウィドウ」を見て拭い難い黄昏臭を感じ惜別の思…

炎上

★★ 1991年1月26日(土) 毎日文化ホール この薄暗い画面の連続の中に反俗世の象徴たる主観的絶対美としての驟閣寺は一片たりとも垣間見えないので、主人公の懊悩がどうにも説明不足で薄っぺらい。結果、それを消滅させ自らも消えるという滅びの美学は陰々滅々…

エンパイア・オブ・ザ・ウルフ

★★★ 2007年3月24日(土) トビタシネマ 自分捜しの前半は好悪半ばでナオンの演出は相変わらずサディスティックに女性を追い込んで情感を垂れ流し一応泣かせるのだが、反面チープなメディカル解読は興醒め。後半は普通のアクションに堕したが変容のインパクト…

エイリアン VS ヴァネッサ・パラディ

★★★★ 2007年9月29日(土) 新世界国際劇場 小汚い集落のこれ以上なく小汚い男どもの間を舞うヴァネッサだけでも価値はあるが、何ものをも一切語ろうとしない演出には『マーズ・アタック!』が本来行くべきであった地平を見た。ショボいが強固なコンセプトが…

永遠のこどもたち

★★★ 2009年1月17日(土) シネリーブル梅田2 ショッカーな技法を封印したのは悪かろう筈もないが、心理の深淵に到達する何かがあるわけでもない。結局は『シックス・センス』から『アザーズ』を経た彼岸と此岸の物語の1変奏曲に過ぎない。終盤の謎解きのフ…