男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【おは~おん】

俺っちのウエディング

★★★★ 1983年5月10日(火) 伊丹ローズ劇場 散文的な丸山の資質が冷徹でも炎を秘めた根岸演出と融合し日本映画としては希な本質で欧米的なライトコメディを現出させた。C調な時任・宮崎を配し尚刻印された青春は叙情性無くモラトリアムな混迷がある。前田撮影…

女の顔

★★★ 2020年9月21日(月) プラネットスタジオプラス1 ヒッチコックが舌舐めずりして撮りたそうな題材だと思った。後段にあるロープウェイと馬車による2つの大構えな見せ場はテイストもヒッチコック的だ。 スウェーデン時代のイングリッド・バーグマン主演…

思い、思われ、ふり、ふられ

★★★ 2020年8月29日(土) TOHOシネマズ梅田9 この手のジャンルムービーを撮り続ける三木孝弘浩が、ある高みに達したみたいな評を読んで興味を惹かれたが、全然凡庸だった。 同じ巨大マンションに住む高校生たちが主役です。 っていうと昨年の山戸結希「…

オン・ザ・ロード

★★★ 1982年4月22日(木) 伊丹グリーン劇場 男と女が疾走を続けながら追いつ追われつ南下すると言うコンセプトなら20年前の『憎いあンちくしょう』の方が他者の為の行為が自己に訴求するという点で100倍高踏的だ。良くも悪くも直截だしベタなのである。全…

女の都

★★★ 1982年7月2日(金) 大毎地下劇場 女性への憧憬というよりマゾヒズム願望に思える。何れにせよ『8 1/2』『魂のジュリエッタ』系譜の夢か現かのゴチャマゼ世界の成れの果てが、こういう幼児的願望をさらけ出す帰結とは…老醜とも思うが、それも又ええやんと…

女ドラゴンと怒りの未亡人軍団

★ 2012年10月13日(土) 新世界国際劇場 宝塚もどきの熟女連のチャンバラカンフー学芸会ごっこを見せられ続けることで、怒り→諦念で本来済む感情バイオリズムが揺り戻し、頂上的不快領域で高位安定してしまった。大体が優等生ジャッキーが絡んで未亡人のエロ…

音楽

★★★★ 2020年4月2日(木) シネリーブル梅田2 ズバリ「音楽」というシンプルなタイトルが表すように、人類の初源的な音楽との出会いみたいなのを描こうとしている。 のだと思います。 喧嘩くらいしかやることない不良の3人が、ひょんなことから手に入れたベ…

オブリビオン

★★★ 2013年6月13日(木) TOHOシネマズ梅田3 まあ、一応ビジュアルは良しとしても、フリーマン以下の面々が物語的に機能せずで寧ろ妻への想いの純度を薄め切なさを拡散。で、彼らがいないとしても、このネタは余りに近年で多く語られハードルが高い。そ…

おんなの細道 濡れた海峡

★★★ 1981年6月4日(木) 毎日ホール ただただ流される主人公に次から次へと降りかかる新展開に飽きる間もない脚本が最大の功績だろうが、石橋と草薙の助演男優2人が男の優しさを滲み出させて出色である。演出的にはエッジが効いてるわけではないがロマンポル…

俺とあいつの物語

★★ 1981年8月9日(日) 伊丹ローズ劇場 大体、こういう民青めいた集団農営に対して戦略の瑕疵を追及するでもなく、男と女のなあなあ主義に埋没するだけでは何をか言わんやであって自己矛盾も甚だしい。いくら蘭ちゃんが可愛いっても、女房が働くのどうのってだ…

俺達に墓はない

たち★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 『遊戯』シリーズ系譜上のパターン演技を踏襲する優作のアドリブ的ヘタウマ演技のために、べらぼうなテキトー設定も釈然とさせる映画王国のマジックなのだが、どうも、その王国から志賀勝が浮いている。真面目すぎ…

女っ気なし

★★★★★ 2013年12月14日(土) 梅田ガーデンシネマ1 そんな上手いこと行く訳ねえよがあるのがバカンスだということを来りて去りゆく母娘の寓意性に仮託し納得させる終盤の神話性。覚束ない手つきの硬直が解れる訳でもなく一度限りの悲哀を漂わす。折に触れ海…

オンリー・ゴッド

★★★★ 2014年1月25日(土) 梅田ブルク7シアター7 原色に濡れたアジアが異界めいてるのだが、そこに理解を超越した倫理が跋扈し通り一遍のノワールを遥かに逸脱している。堪らなくゴアでクールだがギリシャ悲劇のようでもあり吉本新喜劇のようでもあり香港…

おもいでの夏

★★★★ 1981年9月5日(土) 毎日文化ホール 泡沫の如くに過ぎ去るひと夏の淡い思い出が人生に何を呈するのかなぞと野暮は言わずに浸りきろうという割り切り。ズームやスローモーションの多用がかなり煩いが、ここまで戦略的にやられると諦めがつく気もする。ベ…

オーメン 最後の闘争

★★★ 1981年8月31日(月) 新劇会館 天使にも準える幼気な子供が悪さするのがシリーズのキモだった筈なのに、おっさんになってしまったのでは妙味を欠く。しかも一大コンツェルン総帥にして政界進出を目論むと大風呂敷広げた割には追われて防戦一方なのが竜頭蛇…

思えば遠くへ来たもんだ

★★★ 1980年8月19日(火) 伊丹グリーン劇場 古生代ジュラ期の化石の如き民青イズム臭横溢する物語とニキビ汁と四畳半のスペルマを彷彿させる海援隊というマイナス要因が合体し2乗されれば何故か普通の映画になった。何かが変わる気配は微塵も無いけど、叙情性…

オール・ユー・ニード・イズ・キル

★★★★ 2014年7月6日(日) MOVIXあまがさき11 リセッタブルな運命なんて糞食らえだが、こうまで過剰にリセットしまくりだと、ギャグ臨界線上での均衡がスリリングに感じられ、反復の省略術が基本に忠実で巧緻なのも快感神経を刺激する。演出は安定感が…

女と男のいる舗道

★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 2001年2月20日(火) 動物園前シネフェスタ 娼婦であるというリアリズムが、ドライエルを見て涙し哲学者と会話するゴダール脳内醸成された「女性」と乖離しまくる。見てて恥ずかしくなるような青臭さ横溢…

喜劇 女は男のふるさとヨ

★★★★ 2015年1月17日(土) トビタ東映 美津子や魔子を巡るエピソードがそれ程に感銘的とも思えぬとっ散らかし的混沌なのだが、或る意味でのラストリゾート新宿藝能社を営々と維持する森繁・メイ子に改めて敬意と羨望を抱く。理想郷に於ける理想の夫婦像を巧…

女と男の観覧車

★★★ 2018年7月7日(土) シネリーブル梅田3 どうも、前作の「カフェ・ソサイエティ」から撮影を担当しているヴィットリオ・ストラーロが今いちに思われる。 アレン作品の撮影監督はどっちかというと硬質な画作りをする人が多かった気がするのだ。 初期のゴ…

終わった人

★★★★ 2018年6月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ4 まあ、俺にとって身近な問題を描いた映画ってことなんです。 が、貯金ゼロ・借金いっぱいの俺には悠々自適の日々なんて一生こないんだろう。 それに比べて、この主人公はたんまり退職金もらって、…

オレの獲物はビンラディン

★★ 2018年4月19日(木) 新世界国際劇場 ラリー・チャールズの映画は、「ブルーノ」しか見てないのだが、あれは傑作だった。 なんというか、胆の据わり方がハンパなくって、殺すもんなら殺してみやがれっていう開き直りがたまらんかった。 「ブルーノ」を含…

俺は上野のプレスリー

★ 1978年12月28日(木) ダイニチ伊丹 制作当時でさえアナクロであった純情男の恋がヘナチン男なのに簡単に成就してしまうのが温すぎ、しかも、それをクド過ぎる吉幾三とカルーセル麻紀をサブストーリーに配し縁取るとあっては見てるのが一種の苦行にさえ思え…

女は二度決断する

★★★ 2018年4月14日(土) シネリーブル梅田1 こういうことを言いたいなら、主人公の設定はどうにかならなかったのかって思う。 冒頭、刑務所に収監中の男と結婚。 男は出所後、悪行から手を引いたらしいが、それでも胡散臭い連中と付き合いがある。 女も体…

オール・ザット・ジャズ

★★★ 1980年11月18日(火) 大毎地下劇場 お手盛りの自画自賛映画だとしても、せめて10年早くフォシー自身の主演で撮って欲しかった。ショービズにどっぷり浸かった男の佇まいがシャイダーではどこか嘘っぽい。ロトゥンノを擁してもフェリーニの夢幻の境地に…

オン・ザ・ハイウェイ その夜、86分

★★★★★ 2015年7月11日(土) シネリーブル梅田1 愛する妻子をどん底に落とし責任を負った仕事を放っぽらかしても男には断腸の思いで果たさねばならぬ信義則がある。リミッターが振り切れそうな真夜中の疾走と孤独が皮膚感覚で迫る濃厚な86分。アウトバーン…

オペレーション・クロマイト

★★★ 2018年1月20日(土) 新世界国際劇場 安いヒロイズムと安いCGとご都合主義がテンコ盛りで食傷します。 …で、済んじゃうような映画です。 が、それでも、あらためて朝鮮戦争って何だったのかを考えてみる切欠にはなる。 リーアム・ニーソン扮するマッカ…

オリエント急行殺人事件

★★★ 2017年12月10日(日) MOVIXあまがさき5 原作未読なので、どうしたって1974年版の映画と比較してしまう。 しかも、俺は見たのが数年前なのであった(午前10時の映画館)。 まず、ポワロだが、フィニーの作り込んだ造形からすれば凡庸。 「ナ…

俺物語!!

★★★ 2015年11月1日(日) MOVIXあまがさき6 何だか進捗しないままループしてるかのような展開がどうかとも思うし、増量したから偉い訳でもない亮平に殊更な感興も湧かない。全ては永野芽郁ちゃんの1点の曇りなき性格の可愛らしさ。彼女のお蔭でこの胡散臭…

オルカ

★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 『ジョーズ』便乗企画を巨大シャチで勝負するラウレンティスの映画屋魂はありとしても無機的な殺人魚に対して情てんこ盛りの擬人化親子愛ダダ漏れでは古めかしすぎる。北海の景観は情緒を味わうまえに寒々しくて辛気く…