男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【か】

神々と男たち

★★★ 2011年4月9日(土) 梅田ガーデンシネマ2 「神々と」と言う割には高次な命題ではなく、曳かれ者の小唄的に矮小な世界観にしか立脚していない。それでも、「白鳥」の余りにと言うしかない自己陶酔なセンチメンタリズムの強引な押し付けには若干捻じ伏せ…

家族ゲーム

★★★★★ 1983年7月21日(木) 三番街シネマ3 盛り込むではなく削ぎ落とすアプローチで60年代ゴダール的ポップへの回帰が図られた上でボソボソ声の優作が止めを押す。十三・さおりの硬軟助演の妙もハマり全てが理想的な上、ブニュエルな晩餐から終末示唆の午睡…

帰って来たヨッパライ

★★★★ 1983年12月17日(日) 伊丹ローズ劇場 軽佻が底知れぬ痛みに根ざす『地下鉄のザジ』的スラプスティックをクタール的ポップな色使いとゴダール的コラージュで彩る。全きトレースだとしても大島なりの才気ほとばしった希有作。バカ話にも『絞死刑』を経た者…

哀しき獣

★★★★ 2012年1月14日(土) 梅田ブルク7シアター5 ラストで民族哀史とでも言うべき『ディア・ハンター』的構造に気付かされたりするが、メルヴィル的殺人顛末からローリングして『ターミネーター』的破綻に至る韓国シークェンスの力技。無謀と思える展開を…

陽炎座

★★ 1982年2月20日(土) 梅田コマゴールド 『ツィゴイネルワイゼン』が10年以上寝かせた特上のワインだとすれば、こいつは即席のカストリ酒だ。ペラい役者が織りなす清順歌舞伎というより紙芝居。余裕の無い優作は木偶の坊にしか見えなく、陽炎座の部分も冗…

ガントレット

★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 撮ることへの意識過剰なき衒い無さは芸がないこと紙一重であり、数多あるB級アクションの領域に留まる。ファーストシーンのジャジーなムードが最高。前段と終盤に用意された弾幕過剰が作家性というより自棄のやん八的本能…

鵞鳥湖の夜

★★★★ 2020年9月27日(日) シネリーブル梅田1 この監督の前作「薄氷の殺人」は、どうにも表層的な感じがして好きになれなかった。これも相変わらず気障ったらしいポーズが鼻につく部分がある。 のであるが、中国アンダーグランドに於けるグループ間の抗争を…

風にそよぐ草

★★★ 2012年3月17日(土) 梅田ガーデンシネマ1 ど変態を曝け出すのは結構だが言いたいことは見えてこないレネ節。悪意や愚昧、憐憫や諦観といった感情の寸止めばかりが綿々連なる、可愛げの欠片もない爺さんと自意識過剰ハイミスの恋愛駆け引きもどき劇。終…

カッコーの巣の上で

★★★ 1982年3月27日(土) ビック映劇 後半は一応盛り上がりを見せるが、軽度にせよ精神病院ってこんな普通の連中ばかりか?という疑問。体制へのプロテストも余りに捻りが無い。しかし、今更の知れた題材を名優たちを誂えて真正面から十二分な押し出しで語り名…

風とライオン

★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 ルーズベルトとの対立軸は申し訳程度の扱いで、物語はひたすら女目線と子供目線で男コネリーを描くことに奉仕する。正直つまらん。異文化との邂逅は『アラビアのロレンス』を踏襲、馬の描写はミリアス信奉の黒澤チック。新…

海燕ホテル・ブルー

★★★★ 2012年4月21日(土) テアトル梅田1 象徴には遠い安価なホテルのロケセットの寂寥感が意外に棄て難く、吸引力の無い片山瞳の木偶人形ぶりも案外に好ましい。そういう紙一重な未達感が、解ったようで解らん世界を心地よく覆う。今の時代、こんなもんは…

怪描トルコ風呂

★★★★ 2020年8月23日(日) 新世界東映 監督の山口和彦ってあんまり取り上げられない人だが、デビュー作の「ずべ公番長 夢は夜ひらく」を数年前に見て佳作だった覚えがある。ってことで期待して見ました。 これも、佳作といっていい。 買春禁止法施行の前夜か…

崖っぷちの男

★★★★ 2012年7月8日(日) MOVIXあまがさき3 正直、野次馬を巻き込んだ劇場型犯罪としての緻密な構成には遠いし、ワーシントンのキャラ設定もクールと緩さの間で今いち半端。が、一方で実行部隊のベル&ロドリゲスコンビが絶妙なダサ格好良さで随所で映…

かぞくのくに

★★★★ 2012年8月11日(土) シネマート心斎橋1 300%の理不尽が罷り通る現実に、遣る瀬無い怒りと、憤怒の彼方に到達した諦念と、心の揺れを圧殺する服従とで向き合う3人。そして、その家族・友人の押さえても噴き出る感情の吐露の慎ましさ。この日本的…

科学者の道

★★★★ 2020年6月28日(日) プラネットスタジオプラス1 炭疽病や狂犬病の治療薬を発見したパスツールの伝記映画で、監督のウィリアム・ディターレほ後年、「ゾラの生涯」と「偉人エーリッヒ博士」を撮り伝記3部作を成すのである。と俺が勝手に言ってるだけ…

★★ 1982年8月13日(金) SABホール どうにも視野が近親相姦的に内向きに閉じているので希望が無く息苦しいし、トリッキーな作劇を凝らしている割には錯綜がロジカルに紐解かれる醍醐味も薄いのだ。何より社会主義的プロパガンダ臭が濃厚であり、それが迎合…

鍵泥棒のメソッド

★★★ 2012年9月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 作を重ねるごとに際どさが失せ生ぬるくなっていく。当代のアドリブ巧者を2枚揃えて尚弾けない演技の相乗が、狙いじゃないとしてもダメな気がする。入れ替わりの作劇とヤクザ騙しのコンゲームで十…

蒲田行進曲

★★★★★ 1982年10月10日(日) 伊丹ローズ劇場 被虐と嗜虐を往還する展開の不条理は一応「映画王国」の特異現象として言い訳されてるが、そこから純愛を抽出する作為は本来泥臭い。しかし幸か不幸か、そういうことに斟酌しない深作怒涛のハイテンションが胡散臭…

海峡

★★ 1982年10月25日(月) 伊丹グリーン劇場 一生を或いは己が命を何かに懸けた男達のドラマであるべきなのに健さんが例によって寡黙にスタイリッシュなポーズで通すので盛り上がらないこと甚だしい。興行上の理由としても吉永は全く不要であり、おかげでトンネ…

合衆国最後の日

★★★ 2013年1月17日(木) 第七藝術劇場 命を賭して暴き秘匿する極秘文書とやらが、そんなん皆わかってるやんレベルであり、モンタナ基地に行くことがイコール死と確定でもないのでは?と釈然とせぬ感が横溢。甘い作劇のメソッドを無理くり分割画面で疾走する…

化石の荒野

★★ 1982年12月13日(月) 新世界国際地下劇場 原作自体が寿行の作品中たいして面白味のない部類なのに、はったりより虚無感上等な丸山に脚色させてどうなんって感じだ。それをエロ&バイオレンスの牙を抜かれた長谷部が見事に駄作に仕上げてくれた。為にする設…

カサノバ

★★★ 1981年1月4日(日) コマゴールド 放蕩の果ての虚脱や狂乱が行き着く諦念といったフェリーニのお手盛りモチーフだが今更なので対象への無共感が滲み出る。サザーランドは原型を留めぬまでに上塗りされ、贅の限りのセット美術と人工世界の構築にのめりこ…

カリフォルニア・ドールス

★★★★★ 2013年2月11日(月) 第七藝術劇場 北米のド田舎をポンコツ車で流れ行く寂寥感が堪らない。凶暴と好色といかがわしい優しさを併せ持つフォークのキャラはニューシネマ経由の正統アメリカンガイの末裔。溜めた幾何かの屈託を吐き出すラストバトルは時間…

神々の深き欲望

★★ 1981年2月15日(日) SABホール 徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き…

架空OL日記

★★ 2020年4月1日(水) 大阪ステーションシティシネマ5 正直、バカリズムの笑いをオモロイ思ったことがないので期待もしてなかったのだが、やっぱりダメでした。TV版も当然見てません。 OLの更衣室や給湯室での明け透けな会話ネタは、まあ、古来より伝…

カルメン故郷に歸る

★★ 1981年1月31日(土) SABホール 歴史に残ることが確定された日本初総天然色映画の祝祭的記念碑に敢えてストリッパーを主人公にしたことに偽善的な臭いを感じる。だから、彼女たちがバカ陽気にお人好しぶりを発揮すればするほど、あざとく思え嫌悪感が…

帰ってきた若大将

★★ 1981年2月25日(木)伊丹グリーン劇場 バブル勃興前夜の停滞期に高度成長時代のコンセプトを何の再考察もなく復刻しようという過ちもだが、何よりええ歳こいたおっさんが若大将だ青大将だと脳天気に浮かれてる様に如何様にすれば興味を持てるのだろう。加…

彼女と彼たち なぜ、いけないの

★★★ 1981年1月4日(日) コマゴールド こういうことがアンチモラルであった時代に淡々と肩肘張らずに物語るという点だけが身上なのにタイトル「何故いけないの」ってのは野暮というもんだ。同衾する男女のインモラリズムを表層の社会的ジェンダー論でかわし…

風の電話

★★★★★ 2020年1月26日(日) MOVIXあまがあき5 諏訪敦彦の映画は最初期の「2/デュオ」を見たっきりで、その後見ていなかった。 フランス資本との提携らしい近年の作にも関心はあったのだが、ミニマムな私的世界を題材にする彼の作風が、見る側の一種…

ガキ帝国

★★★★★ 1981年3月10日(火) ニューOS劇場 1981年6月28日(日) 伊丹ローズ劇場 少なくとも、この映画にはマイナーなゴッタ煮的混沌の地平から何かを覆そうという気概が厳然として存在していた。西梅の地下街をそぞろ歩く横移動の臨場感もTVから流れる「ザ…