男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【か】

海峡

★★ 1982年10月25日(月) 伊丹グリーン劇場 一生を或いは己が命を何かに懸けた男達のドラマであるべきなのに健さんが例によって寡黙にスタイリッシュなポーズで通すので盛り上がらないこと甚だしい。興行上の理由としても吉永は全く不要であり、おかげでトンネ…

合衆国最後の日

★★★ 2013年1月17日(木) 第七藝術劇場 命を賭して暴き秘匿する極秘文書とやらが、そんなん皆わかってるやんレベルであり、モンタナ基地に行くことがイコール死と確定でもないのでは?と釈然とせぬ感が横溢。甘い作劇のメソッドを無理くり分割画面で疾走する…

化石の荒野

★★ 1982年12月13日(月) 新世界国際地下劇場 原作自体が寿行の作品中たいして面白味のない部類なのに、はったりより虚無感上等な丸山に脚色させてどうなんって感じだ。それをエロ&バイオレンスの牙を抜かれた長谷部が見事に駄作に仕上げてくれた。為にする設…

カサノバ

★★★ 1981年1月4日(日) コマゴールド 放蕩の果ての虚脱や狂乱が行き着く諦念といったフェリーニのお手盛りモチーフだが今更なので対象への無共感が滲み出る。サザーランドは原型を留めぬまでに上塗りされ、贅の限りのセット美術と人工世界の構築にのめりこ…

カリフォルニア・ドールス

★★★★★ 2013年2月11日(月) 第七藝術劇場 北米のド田舎をポンコツ車で流れ行く寂寥感が堪らない。凶暴と好色といかがわしい優しさを併せ持つフォークのキャラはニューシネマ経由の正統アメリカンガイの末裔。溜めた幾何かの屈託を吐き出すラストバトルは時間…

神々の深き欲望

★★ 1981年2月15日(日) SABホール 徹底した取材を通して叙情を浮かび上がらせることに長けた今村が壮大な叙事詩を紡ごうとして破綻した。そういう意味で『ええじゃないか』と双璧かも知れない。一種の日本人論なのだろうが主題もつまらないし、姫田無き…

架空OL日記

★★ 2020年4月1日(水) 大阪ステーションシティシネマ5 正直、バカリズムの笑いをオモロイ思ったことがないので期待もしてなかったのだが、やっぱりダメでした。TV版も当然見てません。 OLの更衣室や給湯室での明け透けな会話ネタは、まあ、古来より伝…

カルメン故郷に歸る

★★ 1981年1月31日(土) SABホール 歴史に残ることが確定された日本初総天然色映画の祝祭的記念碑に敢えてストリッパーを主人公にしたことに偽善的な臭いを感じる。だから、彼女たちがバカ陽気にお人好しぶりを発揮すればするほど、あざとく思え嫌悪感が…

帰ってきた若大将

★★ 1981年2月25日(木)伊丹グリーン劇場 バブル勃興前夜の停滞期に高度成長時代のコンセプトを何の再考察もなく復刻しようという過ちもだが、何よりええ歳こいたおっさんが若大将だ青大将だと脳天気に浮かれてる様に如何様にすれば興味を持てるのだろうか。…

彼女と彼たち なぜ、いけないの

★★★ 1981年1月4日(日) コマゴールド こういうことがアンチモラルであった時代に淡々と肩肘張らずに物語るという点だけが身上なのにタイトル「何故いけないの」ってのは野暮というもんだ。同衾する男女のインモラリズムを表層の社会的ジェンダー論でかわし…

風の電話

★★★★★ 2020年1月26日(日) MOVIXあまがあき5 諏訪敦彦の映画は最初期の「2/デュオ」を見たっきりで、その後見ていなかった。 フランス資本との提携らしい近年の作にも関心はあったのだが、ミニマムな私的世界を題材にする彼の作風が、見る側の一種…

ガキ帝国

★★★★★ 1981年3月10日(火) ニューOS劇場 1981年6月28日(日) 伊丹ローズ劇場 少なくとも、この映画にはマイナーなゴッタ煮的混沌の地平から何かを覆そうという気概が厳然として存在していた。西梅の地下街をそぞろ歩く横移動の臨場感もTVから流れる「ザ…

カツベン!

★★★★ 2020年1月7日(火) 梅田ブルク7シアター4 あんまり評判は芳しくないみたいで、確かに何か新機軸を打ち出したかというと無いというしかない。コメディという分野で「ファンシイダンス」や「シコふんじゃった」みたいなソリッドな切れ味を叩きつけてく…

華麗なる相続人

★★ 1981年4月5日(日) ビック映劇 この何の芸当もないオードリーの復帰第2作を止める者は誰もいなかったのだろうか。薹が立った爺婆スタッフ・キャストに囲まれ安住するだけの彼女に年相応の枯淡も色香もない。無惨なだけで、つくづく『ロビンとマリアン』…

華麗なるギャッツビー

★★★★ 2013年6月29日(土) MOVIXあまがさき7 逐一絵面で説明したがるラーマンに語らずに語るの極意なぞ言っても無駄なのであって、原作文を得意げに画面に貼る恥知らずにはキッチュの本質をさえ窺わせる。ともかく画面を虚構で充実させる努力は大した…

怪盗ルパン

★★★ 2019年12月21日(土) シネリーブル梅田4 ルパンっていったら今では三世しか思い浮かばなくなってしまったが、俺の子供のころは、まだ一世がルパンであって、そのイメージは主にポプラ社が刊行していた少年向けの「怪盗ルパン」シリーズで培われたもの…

家族を想うとき

★★★★★ 2019年12月21日(土) シネリーブル梅田1 まるで俺の家族の話みたいだと思った。 そしてそれは、この日本にの今においても少なからぬ範囲で当てはまる物語だと思う。 運送業に於ける過酷な実態が取りざたされて久しいが、それでもアマゾンに抗したヤ…

風立ちぬ

★★★★★ 2013年8月25日(日) MOVIXあまがさき11 恋も仕事も限定期間の最も美味しい部分のみを抽出し、人の一切の邪心・悪意は隠蔽される。水彩画のように儚い今際の際の美しいだけの思い出は、それでも黄泉の国と隣接し境界は融解してる。出会いと再会…

乾いた湖

★★ 1981年6月19日(金) 今津文化 テロリストの誕生を語るのに社会的敗者を対比させるのが青臭い。しかも寺山はファッションとしてのテロルに憧れるだけで、それをヒトラー崇拝等の形骸でしか表現し得ない。そして否応なく彼の本質が敗者の側にあることを露…

解放区

★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2 5年近くもお蔵入りになったという、この映画をめぐる背景についてだが。 そもそも大阪市が母体となって運営されているCO2という映像制作にかかわる助成団体に企画を通して製作されたが、西成のあまりにアンダー…

貝殻と僧侶

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 今となってみれば没テイクみたいなのをそのまま使ってるのが甘い。後生に残るブニュエルもメリエスもクレールもコクトーも、そういうものは排除する絶対性を持っていた。デュラックのこれは最早、教科書的歴史価値しかな…

帰れない二人

★★★★ 2019年9月18日(水) シネリーブル梅田4 2001年から2017年。 山西省から重慶、新疆ウイグル自治区から山西省。 とジャンクーが拘る時間と空間が移ろう構成になっていて、その中で劇的に変わり行く中国の様相が点描される。特に重慶・奉節の場…

寒椿

★★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 大映の伝統を汲む美術の内藤昭が今回効いた。陽暉楼のセット美術など大したもので、愚直なだけの降旗と大味な体育会系木村ペアも気合乗りが覗える。南野の乳出しもコマーシャルな意味付けに留まらず流転の悲哀を演出す…

SHADOW 影武者

★★★★ 2019年9月6日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 俺は、チャン・イーモウの熱心な鑑賞者ではない。 のだが、初期のころの「菊豆」、「紅夢」を見て、このおっさん形式主義に拘泥して早晩行き詰るわと思っていたら、「あの子を探して」でいきなり…

火口のふたり

★★★★★ 2019年8月25日(日) MOVIXあまがさき2 奇をてらった設定や人物が登場するわけでもない。 いや、最後にあるのだが、それが蛇足に思えるほどにストレートに何年振りかで再会した男と女の心の動きを精緻に追った話であって、その両者の反応や言動…

限りなく透明に近いブルー

★★★ 1981年7月6日(月) 梅田コマシルバー SEX&ドラッグの成分が希釈されて形骸的なモラトリアム青春紋様が剥き身を曝け出した。映画的表現としてもオーソドックスで破綻も無さすぎで既存論法に呑まれ丸め込まれた。それでも妥協の中に戦おうとした意志と…

かぐや姫の物語

★★★ 2013年12月14日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 ずっと『ハイジ』がチラつく。都はフランクフルトで相模はロッテンマイヤーだ。不毛な月世界対比の現世のエコ賛歌は『狸合戦』。成程高畑の集大成かもだが、ならば少女のリリシズムをこそ全面開…

海獣の子供

★★★★ 2019年6月19日(水) TOHOシネマズ梅田4 原作未読です。 女子高生の日常のミニマムな悩みとかから始まった物語が、どんどん流転・漂流して、クライマックスは「2001年」のスターゲイトのような神秘・宗教的世界に突入し、そして再び日常に戻る…

ガタカ

★★★ 2014年2月5日(水) トビタシネマ ホークの下卑た感とロウの持って産まれた感がドンピシャの『太陽がいっぱい』焼き直しだが、それだけである。寧ろ信じて念じ続けりゃ何とかなる的甘さが後退とも思える。未来社会の多くの意匠は局地的で広がらないが切…

家族の灯り

★★★★★ 2014年3月15日(日) シネリーブル梅田3 真面目なドライヤーやブレッソンを装いつつ舌を出すオリヴェイラ。凪の水面の湖底では悪意と洒落っ気が絶妙に混在する。老妻の偏狭を撃ち、善人ぶった老父の妄執を叩きのめす呵責の無さは怖いもの知らず。銅版…