男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【かは~かん】

寒椿

★★★★ 2013年11月16日(土) トビタ東映 大映の伝統を汲む美術の内藤昭が今回効いた。陽暉楼のセット美術など大したもので、愚直なだけの降旗と大味な体育会系木村ペアも気合乗りが覗える。南野の乳出しもコマーシャルな意味付けに留まらず流転の悲哀を演出す…

仮面 ペルソナ

★★★★★ 1980年3月5日(水) 毎日文化ホール 神の不在という命題から解き放たれベルイマンは「女」を描くことに、のたうつ様な快楽で臨んでいる。アンデルセンからウルマンへ過渡する冷徹がニクヴィストのトリッキーでシャープなアイデアで最尖鋭化する。『沈黙…

華麗なる賭け

★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 柄じゃないの一言で済ませたいが、加えて過剰なナル汁に咽せ返りそうだ。犯罪ゲームを巡る暴き合いや騙し合いはロクにないくせにしたり顔のラストは最早どうにでもしてくれ状態。唯一チェスシーンのダナウェイの指使い…

渇き。

★★★★ 2014年7月14日(月) 大阪ステーションシティシネマ10 善悪・正邪はともかくとして登場人物皆ロジックが一貫してるのだが、一貫しすぎて物語が単線的にしか転がらないのがつまらなく、ましてやあの帰結はないやろ思うのだが、そこを補うべく投入され…

彼が愛したケーキ職人

★★★★★ 2018年12月16日(日) テアトル梅田2 これは、cinemascape のある方の評点をみて見に行ったが、本当に傑作であった。 今でも、俺の脳裏に異郷のアパートの部屋で孤独に打ち震える、がたいのデカい男の姿がよみがえるのだ。 【以下ネタバレです】 この…

監視者たち

★★★ 2014年9月6日(土) シネマート心斎橋2 オリジナルより犯行グループの描写が熾烈になり温さは解消されたのだが、それでも所詮は手出し御法度の監視専門班というダイナミズムを封殺された設定が枷と感じられる。上司(ギョング)・部下(ヒョジュ)コン…

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー

★★★ 2014年9月14日(日) MOVIXあまがさき10 1人カラオケしつつのオーブ奪取の掴みが良く、面子が揃うまでは流れも快適だが、揃ってからは毎度の悪の枢軸VS連合軍的定番戦争の善良サイドの尖兵と化して新味も失せる。惑星ザンダー上空の陽光下の…

華麗なる一族

★★★★ 1981年7月31日(金) 湊川温泉劇場 大時代な紙芝居たることを自己認識しつつも軽重数多の役者陣を自在に操って紡ぎ上げた文字通りのピカレスク。山本の作劇は闊達そのもで、冷静に考えたら馬鹿らしいと思うだろう隙を時代認識の先鋭さで覆い一瞬たりとも…

紙の月

★★★★ 2014年11月16日(日) MOVIXあまがさき6 境界を踏み越えてしまう女心が十全に描かれぬのは良しとしても、どうにもりえの疲弊が出すぎて痛々しい。だから単なるバカ女に見えてしまう。一方、相変わらず演出はキザで随所で小粋な画をみせるのは一応…

カメラを止めるな!

★★★★ 2018年8月18日(土) TOHOシネマズ梅田1 知人が書いていたが、確かにこの300万足らずの製作費のインディーズ映画が、大阪は最1等地の旗艦館であるTOHOシネマズ梅田のスクリーン1(席数737)に掛かってることは事件だろう。 興業レベル…

紙屋悦子の青春

★★★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ 何十年に及ぶ日々を、あの数か月の彼奴があの人が残したものを心の中で反芻しながら生きてきたのだということを、永遠かとも思える無為な病院屋上の時間が反映画的故にこそ表すのだという黒木の達観と確信。その…

カプリコン・1

★★★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 未だ陰謀説も敷衍せぬ時代にこのアイデアがあれば前半はもって当たり前なのだが、後半になり展開がSF色を脱色されても全くダレないのが驚嘆。ローアングル主観カースタントや眼前ヘリ浮上の望遠近接効果。ハイアム…

南瓜とマヨネーズ

★★★★★ 2017年11月12日(日) MOVIXあまがさき4 何が良かったのかって言われて答えようがない。 どうしようもないダメ人間のダメ衝動にもとづいてのダメ行為の果てのダメ顛末。 【女】 才能があると思い込んだバンドマンに尽くし糟糠の妻よろしく風俗で…

カンタベリー物語

★★ 1978年4月9日(日) SABホール 徹底的に修正が施されたものを見て汚いと思ったが無修正版を見てもそう思いそうな気がする。それがリアルな中世だと言うなら結構だがパゾリーニの願望が多分に入り混じったそれは男色とスカトロの色彩が濃い。となれば艶め…

からみ合い

★★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ 相続をめぐる女たちの確執と言えば、63年の大映映画「女系家族」が真っ先に思い浮かぶ。 京マチ子と若尾文子のがっぷり四つは「ザ・女」とでも言うべき粘度と吸引力の絡み合いであった。 比べて、今作は松竹映画。 …

がんばれ!ベアーズ

★★★ 1977年7月31日(日) 伊丹グリーン劇場 実際にそれなりの球を投げるテータムのクールなリアリズムが全般ゆるい作劇を辛うじて随所で引き締めるのだが、それがなけりゃどうということもない児童映画だ。ルーティーンどっぷりの役柄を新味なく演じるマッソー…

カンバセーション 盗聴

★★★ 2016年3月27日(日) プラネットスタジオプラス1 匿名性に固執する孤独キャラは良いのだがサックス吹いたり柄じゃない違和感。ポランスキー&ヒッチ風味で作風を一気に変えたコッポラだがアントニオーニに行き着く手前で息切れした。世界が卑小で冒頭…

カフェ・ソサエティ

★★★ 2017年5月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 ずーっと熱心なアレン信者であったわけではない。 多分、3本のスカヨハ時代から欠かさぬ感じになった。 現在、エマ・ストーンも2作登用してるが高打率だ。 これらの5本に共通するのは、一種の批評…

彼らが本気で編むときは、

★★★★ 2017年3月1日(水) 大阪ステーションシティシネマ9 結局は育ての何とかより産みの何とかに落ちつく展開なのだが、凡庸とは思わなかった。 そこに至るまでに充分なドラマ上の軋轢が展開されたし、示唆に富んだ細部が豊穣だからだろう。 ミムラ扮するネ…