男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【こ】

恋のためらい フランキーとジョニー

★★★ 1992年5月9日(土) 高槻セントラル ファイファーの諦観は穏当なのだがパチーノに疲弊が過剰にあり、為に本来の設定がもっている片隅感が減殺される。目の下に隈を作る疲れた風情は天下一品だが一転ことが起こるとハードにやりすぎる。そういう狂気すれす…

コーヒー&シガレット

★★ 1992年5月9日(土) テアトル梅田2 癖あるロベルト・ベニーニをおもろいと思うかどうかが全てなのだろうが、言葉のギャップがあって今一ニュアンスしかわからない。仲間内だけで受けて盛り上がってる感に手前勝手な傲慢を覚える。単体であれこれ言うのも徒…

コラテラル

★★★ 2004年11月12日(金) 梅田ブルク7シアター1 プロ中のプロが心許してしまうにしては、タク運ちゃんは単なる夢見野郎に過ぎず、それをトムに看破される件が実は最も物語ヴォルテージが昂揚するのに構造をも破綻させるというパラドックス。設計図の描き方…

ゴジラ FINAL WARS

★★★ 2004年12月10日(金) ナビオTOHOプレックス3 「東宝チャンピオンまつり」テイスト復刻の出来レースと割り切ったサバケ方は方法論としては有りとも思うが最後を謳うのなら矢張り王道でいって欲しかった。何より北村の志向が怪獣よりミュータントの肉…

恍惚

★★★★ 2005年2月12日(土) シネリーブル梅田2 小悪魔が色香で間接的に翻弄するのが、怖いもん見たさと見たくなさが絶妙に鬩ぎ合う倦怠期金持ち主婦というのが新味で、アルダンとベアールの腹芸による攻防が見応え充分。それを深みある撮影とフェイドアウト反…

恋をしましょう

★★★ 1992年9月13日(日) シネマアルゴ梅田 アクターズスタジオ経由で洗練と疲弊を得たモンローからトリックスターとしてのオーラは消えた。だから脳天気とはお世辞にも言えないモンタンとの調和は逆説的にあるのだが何か地味。キューカーとの親和もチグハグで…

木枯し紋次郎 関わりござんせん

★★ 1992年9月27日(日) トビタ東映 文太の紋次郎は良いが市川崑監修のTVが劇場映画と比しても遜色のない作家性を持っていたのに比べて凡庸なTV時代劇並のクオリティ。しかも、粘着な市原悦子が話の辛気臭さ倍加させ文太をも冥府に引きずり込む。全く救わ…

紅夢

★★★★★ 1992年10月4日(日) 大毎地下劇場 藝謀第1期の色と構図への過剰な拘泥は下手すれば偏狭世界のドツボ閉塞を招きかねないのに、あろうことか1から4へと右往左往する超形式的な配列に準拠する物語に依ってマイナス2乗=超絶プラスへと転化し得わけであ…

こうのとり、たちずさんで

★★★ 1992年10月26日(月) テアトル梅田2 国境地帯というシンボリックな舞台で流浪と漂泊を散りばめたカオスより何を抽出し得たのか俺には見えなかった。ビデオの中の2大スターが背負った映画史の邂逅は感銘を呼ぶが物語の構造とは遊離している。難民たちの…

氷の微笑

★★★ 1992年10月24日(土) 池田映劇 陽光のサンフランシスコの倦怠下の腐臭を描くにバーホーベンのベクトルは微妙にずれて、そのズレが快感とも言えない。ダグラスとストーンが頃合の疲弊感を漂わせただけに惜しい。取り調べ室のシーンだけが鋭角のコンテで図…

コックと泥棒、その妻と愛人

★★★★★ 1991年3月31日(日) 祇園会館 吐瀉物もよく見りゃあいろんな色が混ざって綺麗だろ的グリーナウェイのゲス性根が欧州の衣食住文化の先鋭と幸福な融合を成した稀代の傑作。装置と化する衣装とはったりナイマンの音楽もツボだがエロティシズムもかなり来る…

今宵、フィッツジェラルド劇場で

★★★★★ 2007年4月7日(土) テアトル梅田2 ギャリソン・キーラーの業界人としての身ごなし・佇まいが素晴らしく、彼を軸にした芸達者のアンサンブルは最早神業レベル。何より思いやりと暖かみが全篇を被う。緩やかなズームとパンを併用したカメラにさえ愛が…

コブラ・ヴェルデ

★★★ 1991年5月4日(土) 天六ユウラク座 それ程上昇志向があるとも思えぬ書き込みのキャラをキンスキーが髪を振り乱して自己陶酔しつつ自走し演じたとしても勝手にどうぞとしか思えない。狂気を産み出す閉塞的な密林は、ここでは開放的な沿岸王国に取って代わ…

ゴッドファーザーPARTⅢ

★★★★★ 1991年5月8日(水) 北野劇場 新世代を担うガルシアの弱さとバチカンを相手に設定し無力感が横溢する点を割り引いても、キートンやシャイア始め出演者達各様の風月を思わせる歳のとり方が14年の歳月の重みをドキュメンタルに表出する。そしてオペラの…

喜劇 ここから始まる物語

★★ 2007年6月9日(土) 日劇会館 題材は悪くないが、二重構造にした意味が殆ど無いので冗長な展開にイライラさせられる。植木も宍戸も自己模倣の斜陽感が漂い見てていたたまれない。最悪なのは安易な自己再生。松竹イズムと気障なニューシネマ映像は負の相乗…

今年の恋

★★★★ 2021年5月23日(日) シネヌーヴォ 俺は木下恵介の描くプチブルが性に合わない人間で、彼の現代コメディが苦手なのだが、これはスピード感があって良かった。 他愛無いお話で、彼と彼女は一目惚れなのだが、思い込みと行き違いが重なって互いを牽制し合…

ゴー・ファースト 潜入捜査官

★★★★ 2009年10月24日(土) 新世界国際劇場 通常このジャンルで行われるであろう常套的サスペンスの醸成には制作者は殆ど関心を払わないので、平板な感が無くもないが、一方で即物的展開はドキュメンタルな興趣を呼ぶ。大したクラッシュも無いアウトバーンの…

こちら葛飾区亀有公園前派出所

★★★ 2009年11月21日(土) 日劇会館 麗子も本田も未だ居ないとしても市井の人情劇としてのバイタリズムの表現に増村的ハイテンションを深作的行って来い手法でブン回す前半はかなり良い。意味不明な婦警ストリップも了承するが終盤がタルいのだ。アホになら…

ゴールデン・チャイルド

★★★ 1987年3月14日(土) 友楽映劇 香港映画的場当たりさを否定する気はないが、単なる市井の子捜し屋が世界の命運を握る謀略に対峙できるには、やはりそれなりの整合性は欲しかった。ネパールの風靡な景観を贅沢に見せるハリウッド・コンセプトは吉。素直に金…

今度は愛妻家

★★★★ 2010年1月18日(月) 梅田ブルク7シアター3 多くの仕掛けが機能もせずに現出する展開には正直新味は無い。が、この豊川・ひろ子の掛け合いの至宝とも言える役者力。全く惚れ惚れする空気の存在。そして、悔恨地獄の果てに、それでも人は生きていく…し…

(500)日のサマー

★★★★ 2010年1月23日(土) シネリーブル梅田2 時制の往還が意味あるとも思えず、弾け不足な似非ミュージカルも半端で、結局は身も蓋もない展開なのだが、兎に角乗りがいい。そして、主演2人。わけても大して可愛くない不思議ちゃんキャラのズーイー。彼女…

好色一代男

★★★ 2010年1月5日(火) 梅田ガーデンシネマ2 チャラな生き様が何時しか権力に抗しチャラだから命をも平気で賭す。そこにこそ全てを注いで物語を構築して欲しい。前半の世之介は不動のポリシーを持ってはいるが自己完結してる。解き放たれよ!と熱く説くの…

恋文

★★★★ 1986年2月8日(土) 観光会館地下劇場 この物語に全面的な共感を覚える訳ではないが、ある局面に対しての男と女の心理的葛藤を技巧を凝らした精緻さでしみじみと描き切ったものとして、ターニングポイントに至った後期神代の代表作と言えるのではないだろ…

恋するベーカリー

★★★★ 2010年2月25日(木) 梅田ブルク7シアター4 メリルとアレックの弛緩した肢体を晒すことへ何の躊躇いもない自信に激しく勇気づけられる。俺もそうありたい…まあ、機会も無いが。全篇手練れの余裕で心地よいが、主人公の揺れ惑う気持ちの帰するところは…

攻撃

★★★★ 1986年2月23日(日) 花月シネマ シナリオが設定した極限の駄目キャラエディ・アルバートに拮抗するパランスのオリジナルな役者力。『ヴェラクルス』から来し『北国の帝王』に至る男ガチ劇の線上で、しかし、外された感のある終盤。それが、詠嘆の作劇の…

ゴーストバスターズ

★★ 1986年1月19日(日) 大毎地下劇場 初見者が「全員集合」や「欽ドン」に感じるだろう約束事に依って立つ喜劇センスへの拒否感。サタデーナイトライブを使いこなすには迎合的なライトマンでは荷が重い。かといってお化けエフェクトも大したことない。万人受…

小間使の日記

★★★★ 1986年3月8日(土) SABホール 内向する変態フェチと抑圧下の少女愛が錯綜する田舎ブルジョワの混沌を掻き回す都会の冷気を纏ったヒロイン。そういう二項対立はモローの無表情と透徹されたモノクロ撮影の良さもあり格調さえも獲得する。しかし、後半は…

コマンドー

★★ 1986年2月11日(火) 友楽会館大劇場 キャメロンにせよマクティアナンにせよシュワが異形であることに意識的であるのに対し、レスターはと言えば、そーんなこと全然考えてる風でもなく、かと言ってアクション演出が斬新なわけでもない。前後の比較から気の…

コミック雑誌なんかいらない!

★★★ 1986年6月1日(日) 塚口ロマン 裕也自身のアイデアは最高だが、それでも神代・若松レベルの剛腕でないと当時の彼を使いこなせなかった。演出がお追従の域を出ず殆どの挿話が本人を出しただけに安住しており批評も無く皮肉さえも感じられない。たけしのシ…

コーラスライン

★★★ 1986年12月7日(日) 梅田ロキシー 下手に切り刻んだカットバックなんぞを使わない抑制感は買えるが、それなりにエッジの効いた連中が集まってこの程度のボヤけたもんにしかならないのはやはりアッテンボローの感覚が老衰していたからだろう。ショウビズに…