男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【さ】

★★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 極右的喜八の潜在資質が全開する桜田門外の変。導入の驚異的テンションが冷めぬままに橋本忍の手練手管の脚本を受け演出・編集が冴えまくる。『椿三十郎』と正反のキャラを好演する小林桂樹他の紛れ無きオールスター…

ザッツ・エンタテインメント

★★★ 2012年7月28日(土) TOHOシネマズ梅田10 所詮、俺は50年代MGMミュージカルが好きでないことが解った。アステアがパウェルと狂演するタップの白熱は見とれたが、ケリーの明朗はプレーンすぎる。寧ろ忘れられた水着の女王の壮大な白痴性や『シ…

真田風雲録

★★★ 2020年7月4日(土) 新世界東映 大真面目すぎる情の表出が身上の加藤泰としては、このキッチュなオフビート感は異形といっていいだろう。 で、それが上手くいってるかっていうと、どーもなんだかなーです。 ミッキー・カーチスがギターを持って登場する…

三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

★★★★ 2012年7月14日(土) 新世界国際劇場 正直この監督でミラが出てきてええかっこするとウンザリなのだが、余り知らない三銃士の面々が面構えも良く、加えて敵ミケルセンもティム・ロスばりに良い。CG過多はともかく、終盤の屋根上での殺陣は久々の見物…

さらば愛しき女よ

★★★ 1982年7月16日(金) 毎日文化ホール チャンドラーを映画化するに戦略として既存の方法を抜け出ていないから相変わらず訳わからない映画になっている。懐古調40年代のムード形成には成功したとも思えるが馬鹿丁寧にやっただけとも言える。それが悪いわけ…

さらば愛しき大地

★★★★ 1982年9月17日(金) 梅田ロキシー 後半が一本調子でふくらみに欠けるが墜ちてゆく男と女を正攻法で描いて迫力がある。それでも特筆は冒頭30分。映像への確信と信託が圧倒的な強度を産み出す。中盤以降を牽引する秋吉の役へのアプローチも服装や髪型等…

最初の人間

★★★ 2013年1月8日(火) 梅田ガーデンシネマ2 辛いこともあったにせよ少年時代の輝かしき陽光への郷愁が眼目であるなら、アルジェリア独立への半端な言及は全削除でもよかった。その及び腰がカミュの史的事実であるにせよだ。少年俳優が良く、ひたすら歩く…

サンセット大通り

★★★ 1982年12月18日(土) SABホール 魑魅魍魎と化したスワンソンをシュトロハイムと組ませる諧謔をご丁寧にデミル・キートン・ホッパーを配して補完する世界の構築力には唸るが、一方でホールデンサイドのドラマが弛緩して全く面白くない。クライマックス…

ザ・マスター

★★★★★ 2013年3月30日(土) TOHOシネマズ梅田4 劇的構成の醍醐味があるわけでもないが、映像の醸す豊穣が半端ではない。撮影と美術が渾然となり提示される情報の質量と、その中で揺蕩う演者の含蓄ある居住まい。ゲスでいかがわしい品性を達観の高度から…

さらば復讐の狼たちよ

★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ コメディベースな緩さは良いとしても、一転非情に舵切る瞬間の振り切れが半端でもっさり感がいや増す。「馬車列車」や「女太鼓」とか珍奇への異様な拘泥は好ましく、殺され方に残虐嗜好が垣間見えることも買うが、如何…

37セカンズ

★★★★ 2020年2月9日(日) MOVIXあまがあき3 見てる間、1981年の映画「典子は、今」が頭をよぎった。 あれも、サリドマイドで両腕が無い実在の辻典子さんに映画の主役を演じさせていて、この映画でも脳性麻痺で下半身が動かない佳山明さんという女…

3人のアンヌ

★★★★★ 2013年7月11日(木) シネマート心斎橋2 歩行運動の反復を繋ぎとして多用する点もあるが、俯瞰的物言いに全く嫌味がない点に於いてロメール的だと言っておこう。異郷で人は仮面を脱ぐ。当て書きされたかのような自我演技の狭間から生身の可愛い女が顔…

さよなら渓谷

★★★★ 2019年7月11日(木) シネリーブル梅田2 『砂の器』よろしく付加された「道行き」が受難と贖罪に纏わる怨恨パワーの凝結を示現して宗教的荘厳にまで至るかの見せ場なのだが、それでも、そこを敢えて描かない原作の志が高く見えてしまう。とは言え、全…

ザ・ウーマン

★★ 1981年5月18日(月) 伊丹グリーン劇場 モラルに囚われず奔放な性遍歴を重ねる主人公なのに生へのバイタリティも突き動かされる情念も感じ取ることは出来ない。かと言って、ひたすらに隠微な世界に没入し切ることも適わず凝った撮影や美術のみが虚しく浮…

裁かるゝジャンヌ

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 一旦乗り遅れてしまうと最早収拾がつかないまでに顔の接写が連続し数億光年の彼方に置き去りにされてしまい多少もう少し色っぽかったらななんてばかり思い続けてしまう。心のテンションさえ維持できれば多分傑作に違い…

最初の晩餐

★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2 シャレのようなタイトルであるし、家族ものってことでワイワイガヤガヤのコメディチックなものかと思ったら、予想外に、これは静謐に真摯に家族の在り様を描いたものであった。 2人の子持ちのチョンガー男と1人の…

サイド・エフェクト

★★★★ 2013年9月11日(火) TOHOシネマズ梅田7 アングルやサイズのジャストミート感や編集リズムの快楽といった語り口の次元に於いて、ソダーバーグは現在進行形では最高ランクのアルチザンになった。正味、惚れ惚れするのだが、広げた大風呂敷を凡庸に…

最前線

★★★ 2019年10月20日(日) プラネットスタジオプラス1 低予算の小隊ものの戦争映画って山ほど作られてきたんやろうな。 とは思うが、第二次大戦を舞台としたものが主で、不思議とベトナム戦争や中東の戦争が舞台になるとあまりないように思う。 そうでもな…

殺人の告白

★★★★ 2013年10月12日(土) 新世界国際劇場 あれっ?…なカーチェイスに目を瞑れば、近来稀に見る展開の妙だが、演出の大半は韓国ジャンル映画の追随でしかない。だが、それでも心を撃ち抜かれるのは、尽きせぬ愛惜の想いと激烈な怨嗟の持続が心揺さぶるから…

野蛮なやつら SAVAGES

★★★ 2013年10月12日(土) 新世界国際劇場 どうにもオリバー・ストーンの中腰スタンスが半端で乗り切れない。『Uターン』の頃と変わってない生温さ。野蛮は狂気にクソはど腐れに昇華しきれない。半チクヤッピーギャングが痛い目に合いそで合わない生半可で…

サンセット物語

★★★★ 2019年9月8日(日) プラネットスタジオプラス1 ロバート・マリガンの「地名+物語」3部作の掉尾を飾る。 なんてのは嘘で、「アラバマ物語」があたら名作になっちまったので日本の配給会社がテキトーにつけたタイトルだろう。尚、もう1本は「マンハ…

サイレント・フルート

★★ 1981年8月2日(日) トビタOS劇場 やたら神妙に哲学ぶっちゃってるんだけど、所詮キャラダイン程度の野郎では本物の殺陣が見れるわけじゃなく、大体東洋へのリスペクトがあるなら毛唐ばっかりで、でっちあげる代物ではなっかったのである。草葉の陰でマッ…

サイレントヒル リベレーション3D

★★★ 2013年12月21日(土) 新世界国際劇場 演出が小奇麗になって前作にあった歪な禍々しさは半減した。ストーリーはあって無いようなもんで、お化け屋敷のようにシークェンスごとの趣向を楽しめばいいと割り切るにしても、2番煎じキャラばかりでインパクト…

ザ・コール 緊急通報司令室

★★★★ 2013年12月5日(木) MOVIXあまがさき3 設定が課す制約を殊更巧みに利したとも思えぬし、サイコパスな犯人も若干弱い。まあ、ジャンルとして中の上くらいの出来なのだが、終盤で加点した。防戦一方の試合を延々見せられた末のカウンターアタック…

ザ・ファブル

★★★ 2019年6月20日(金) 大阪ステーションシティシネマ1 冒頭の殺戮シーンで、いらん小技を効かせやがってと、一挙にテンションは下がった。 監督の江口カンは前作「めんたいぴりり」では朴訥ともいえる作風だったに、チャラくなりやがってとも。 土台、ボ…

サイド・ストリート

★★★★ 2019年6月22日(土) シネヌーヴォ 「フィルム・ノワールの世界」という企画で見た。 この企画、見たいものがそこそこあるのだが、ほとんどがデジタル上映なので敬遠していた。 今回、他に見たいのがあって、どうせならとついでに見たのだが。 アンソニ…

最前線物語

★★ 1981年12月10日(木) 伊丹ローズ劇場 戦争のポリティカルな側面ではなく末端の兵士の視点から描く…そこまでなら目新しくもないが、ここでは、それが日常の延長として提示される。極限の狂気は存在しなかったかのように、ダルな描写でダルな物語が綴られて…

さよならくちびる

★★★★★ 2019年5月31日(金) TOHJOシネマズ梅田10 【塩田明彦】 立教パロディアスユニティの黒沢清につぐナンバー2であり、当然にハスミンの薫陶を受け、「映画術」なる著作をものにする。…なんて、バックボーンの割りに、終わってるやん。 って思っていた…

ザ・フォーリナー 復讐者

★★★ 2019年5月5日(日) MOVIXあまがさき1 ジャッキーの新機軸みたいな言い方をどっかで見たが、それほど何がしかが変わったようにも見えない。 「老化」であるが、そもそも「ベスト・キッド」がエポックで、ジャッキーが脇に回ったってのが革命的であった…

ザ・バニシング 消失

★★★★ 2019年4月12日(金) シネマート心斎橋2 生前のキューブリックが、「これまでに見たなかで最も恐ろしい映画」と言ったとか。 ずいぶん前に、監督のシュルイツァー自身がアメリカでセルフリメイクした「失踪」も見たのだが、ほとんど記憶にないので、た…