男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【さ】

ザ・ウォード 監禁病棟

★★★ 2012年1月21日(土) 新世界国際劇場 題材といい観客を置いてけぼりにする短兵急な展開といい80年代に量産されたイタリアンC級ホラーを髣髴とさせる。真摯に撮ってそうなるナイス爺さんカーペンターの真骨頂は夢幻に揺蕩うかの如きダンスシーン。ただ…

三人の妻への手紙

★★★★ 2020年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 全篇にわたり、不在の女性“アディ・ロス”の名前が亡霊のように映画を支配する。人の口端にその名がのぼるたびに語感の良さもあって観客の脳裏に刻印される。「第三の男」のハリー・ライムや「ユージュ…

サウダーヂ

★★★★ 2012年2月13日(月) シネヌーヴォ 閉塞感が絶望や破滅みたいな高度成長やバブルの合せ鏡ではなく、ここから始める者の視点で認知されている。そのマスなカオスを描く筆力に唸りつつ、マグマがプチ噴火に終わるのが矢張りもどかしい。「鉱水」や「ライ…

最高の人生をあなたと

★★★★ 2012年3月24日(土) シネリーブル梅田1 大年増と化したイザベラの曝け出した肉体の語る年月が、設定に同期し限りなく感動的。受けるハートもプレーンで歯車はしっくり噛み合っている。過剰な物言いはしないガヴラス演出の慎ましやかと芯の通ったブレ…

ザ・レイプ

★★ 1982年5月16日(土) トーエイ伊丹 レイプされた女性が被る心的・社会的ダメージをルポルタージュすることには意義はあるのだろうが、恋人との葛藤が男側のヘタレな描写を始め普遍性があるとは言えず映画の大義を薄めてしまった。本職弁護士を使った法廷シ…

サニー 永遠の仲間たち

★★★★ 2012年6月14日(木) 梅田ブルク7シアター6 少女であれおばさんであれ、美人であれ個性派であれ、とにかく「女」であることは素晴らしいという全肯定に立脚しており、男は殆ど介入の余地すらない。いっそ清々しい。斎場ダンスの至福と粋なラストカッ…

西鶴一代女

★★★ 1982年5月29日(土) 新世界東宝敷島 墜ちゆく女の人生の幾つかの局面を櫛団子方式でつなぐ脚本は目まぐるしい展開力で飽きはこないのだが大局的な奔流は零れ落ちる。栄華の時期は華が欠け悲嘆の時代は徒に自虐的な田中絹代の演技。明確なポリシー欠く演出…

★★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 極右的喜八の潜在資質が全開する桜田門外の変。導入の驚異的テンションが冷めぬままに橋本忍の手練手管の脚本を受け演出・編集が冴えまくる。『椿三十郎』と正反のキャラを好演する小林桂樹他の紛れ無きオールスター…

ザッツ・エンタテインメント

★★★ 2012年7月28日(土) TOHOシネマズ梅田10 所詮、俺は50年代MGMミュージカルが好きでないことが解った。アステアがパウェルと狂演するタップの白熱は見とれたが、ケリーの明朗はプレーンすぎる。寧ろ忘れられた水着の女王の壮大な白痴性や『シ…

真田風雲録

★★★ 2020年7月4日(土) 新世界東映 大真面目すぎる情の表出が身上の加藤泰としては、このキッチュなオフビート感は異形といっていいだろう。 で、それが上手くいってるかっていうと、どーもなんだかなーです。 ミッキー・カーチスがギターを持って登場する…

三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船

★★★★ 2012年7月14日(土) 新世界国際劇場 正直この監督でミラが出てきてええかっこするとウンザリなのだが、余り知らない三銃士の面々が面構えも良く、加えて敵ミケルセンもティム・ロスばりに良い。CG過多はともかく、終盤の屋根上での殺陣は久々の見物…

さらば愛しき女よ

★★★ 1982年7月16日(金) 毎日文化ホール チャンドラーを映画化するに戦略として既存の方法を抜け出ていないから相変わらず訳わからない映画になっている。懐古調40年代のムード形成には成功したとも思えるが馬鹿丁寧にやっただけとも言える。それが悪いわけ…

さらば愛しき大地

★★★★ 1982年9月17日(金) 梅田ロキシー 後半が一本調子でふくらみに欠けるが墜ちてゆく男と女を正攻法で描いて迫力がある。それでも特筆は冒頭30分。映像への確信と信託が圧倒的な強度を産み出す。中盤以降を牽引する秋吉の役へのアプローチも服装や髪型等…

最初の人間

★★★ 2013年1月8日(火) 梅田ガーデンシネマ2 辛いこともあったにせよ少年時代の輝かしき陽光への郷愁が眼目であるなら、アルジェリア独立への半端な言及は全削除でもよかった。その及び腰がカミュの史的事実であるにせよだ。少年俳優が良く、ひたすら歩く…

サンセット大通り

★★★ 1982年12月18日(土) SABホール 魑魅魍魎と化したスワンソンをシュトロハイムと組ませる諧謔をご丁寧にデミル・キートン・ホッパーを配して補完する世界の構築力には唸るが、一方でホールデンサイドのドラマが弛緩して全く面白くない。クライマックス…

ザ・マスター

★★★★★ 2013年3月30日(土) TOHOシネマズ梅田4 劇的構成の醍醐味があるわけでもないが、映像の醸す豊穣が半端ではない。撮影と美術が渾然となり提示される情報の質量と、その中で揺蕩う演者の含蓄ある居住まい。ゲスでいかがわしい品性を達観の高度から…

さらば復讐の狼たちよ

★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ コメディベースな緩さは良いとしても、一転非情に舵切る瞬間の振り切れが半端でもっさり感がいや増す。「馬車列車」や「女太鼓」とか珍奇への異様な拘泥は好ましく、殺され方に残虐嗜好が垣間見えることも買うが、如何…

37セカンズ

★★★★ 2020年2月9日(日) MOVIXあまがあき3 見てる間、1981年の映画「典子は、今」が頭をよぎった。 あれも、サリドマイドで両腕が無い実在の辻典子さんに映画の主役を演じさせていて、この映画でも脳性麻痺で下半身が動かない佳山明さんという女…

3人のアンヌ

★★★★★ 2013年7月11日(木) シネマート心斎橋2 歩行運動の反復を繋ぎとして多用する点もあるが、俯瞰的物言いに全く嫌味がない点に於いてロメール的だと言っておこう。異郷で人は仮面を脱ぐ。当て書きされたかのような自我演技の狭間から生身の可愛い女が顔…

さよなら渓谷

★★★★ 2019年7月11日(木) シネリーブル梅田2 『砂の器』よろしく付加された「道行き」が受難と贖罪に纏わる怨恨パワーの凝結を示現して宗教的荘厳にまで至るかの見せ場なのだが、それでも、そこを敢えて描かない原作の志が高く見えてしまう。とは言え、全…

ザ・ウーマン

★★ 1981年5月18日(月) 伊丹グリーン劇場 モラルに囚われず奔放な性遍歴を重ねる主人公なのに生へのバイタリティも突き動かされる情念も感じ取ることは出来ない。かと言って、ひたすらに隠微な世界に没入し切ることも適わず凝った撮影や美術のみが虚しく浮…

裁かるゝジャンヌ

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 一旦乗り遅れてしまうと最早収拾がつかないまでに顔の接写が連続し数億光年の彼方に置き去りにされてしまい多少もう少し色っぽかったらななんてばかり思い続けてしまう。心のテンションさえ維持できれば多分傑作に違い…

最初の晩餐

★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2 シャレのようなタイトルであるし、家族ものってことでワイワイガヤガヤのコメディチックなものかと思ったら、予想外に、これは静謐に真摯に家族の在り様を描いたものであった。 2人の子持ちのチョンガー男と1人の…

サイド・エフェクト

★★★★ 2013年9月11日(火) TOHOシネマズ梅田7 アングルやサイズのジャストミート感や編集リズムの快楽といった語り口の次元に於いて、ソダーバーグは現在進行形では最高ランクのアルチザンになった。正味、惚れ惚れするのだが、広げた大風呂敷を凡庸に…

最前線

★★★ 2019年10月20日(日) プラネットスタジオプラス1 低予算の小隊ものの戦争映画って山ほど作られてきたんやろうな。 とは思うが、第二次大戦を舞台としたものが主で、不思議とベトナム戦争や中東の戦争が舞台になるとあまりないように思う。 そうでもな…

殺人の告白

★★★★ 2013年10月12日(土) 新世界国際劇場 あれっ?…なカーチェイスに目を瞑れば、近来稀に見る展開の妙だが、演出の大半は韓国ジャンル映画の追随でしかない。だが、それでも心を撃ち抜かれるのは、尽きせぬ愛惜の想いと激烈な怨嗟の持続が心揺さぶるから…

野蛮なやつら SAVAGES

★★★ 2013年10月12日(土) 新世界国際劇場 どうにもオリバー・ストーンの中腰スタンスが半端で乗り切れない。『Uターン』の頃と変わってない生温さ。野蛮は狂気にクソはど腐れに昇華しきれない。半チクヤッピーギャングが痛い目に合いそで合わない生半可で…

サンセット物語

★★★★ 2019年9月8日(日) プラネットスタジオプラス1 ロバート・マリガンの「地名+物語」3部作の掉尾を飾る。 なんてのは嘘で、「アラバマ物語」があたら名作になっちまったので日本の配給会社がテキトーにつけたタイトルだろう。尚、もう1本は「マンハ…

サイレント・フルート

★★ 1981年8月2日(日) トビタOS劇場 やたら神妙に哲学ぶっちゃってるんだけど、所詮キャラダイン程度の野郎では本物の殺陣が見れるわけじゃなく、大体東洋へのリスペクトがあるなら毛唐ばっかりで、でっちあげる代物ではなっかったのである。草葉の陰でマッ…

サイレントヒル リベレーション3D

★★★ 2013年12月21日(土) 新世界国際劇場 演出が小奇麗になって前作にあった歪な禍々しさは半減した。ストーリーはあって無いようなもんで、お化け屋敷のようにシークェンスごとの趣向を楽しめばいいと割り切るにしても、2番煎じキャラばかりでインパクト…