男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しあ~しの】

シザーハンズ

★★★ 1991年11月2日(土) 新世界国際劇場 手が鋏というアイデア以外は伝統的な人造人間の哀歌として程好く規範に収まって何一つ逸脱するものがない。それを、ご丁寧に御伽噺めいた説話として封じ込めるあたりにバートンの確信ぶりが伺えるが、少し引く。(cinem…

シークレット・サンシャイン

★★★★ 2008年6月21日(土) シネマート心斎橋2 途方もない哀しみと絶望は、やがて内的に異化され攻撃的に解消されていくなら未だしも、揺り戻しの如くに再度浸食を始める。壊れていくしか、又見守るしか術はない。全てに背を向けた者は何に達し得るのか?完…

シスターズ

★★★ 2008年5月24日(土) 新世界国際劇場 窓から垣間見える惨劇の成る程な『サイコ』展開に遠くヒッチの残影を感じて某かの感銘は感じたが、それは結局デ・パルマに捧ぐべきものなのだった。エッジの効いたキャンベル撮影は特にビデオ使いの今風味が良。水準…

シー・オブ・ラブ

★★★★★ 1990年1月14日(日) 長崎東映シネマⅡ パチーノの隈の出来た重い目とバーキンの品ないセクシャリティに隠された孤独。この演技を超えた内実を叩き付ける2人のマッチングが全てと言っていい。紆余曲折を経て浮かび上がる幸福への切実な希求が妥協的にせ…

死の棘

★★ 1990年5月5日(土) 梅田ピカデリー3 決定的なキャスティングミス。能面な岸部は従容と生きる裏側に秘めた強靱から遠く、松坂は心が崩壊していくには健康すぎる。原作に無い「こうなる以前」を描くべきだった。現在の心理合戦のみで映画を成立させるほどの…

しあわせのかおり

★★★★ 2008年10月30日(木) 梅田ブルク7シアター4 宴の奥の厨房の孤独な作業の悦び。序盤の藤竜也にも終盤の中谷美紀にも静謐な空気に包まれた悦楽がある。その2人にしかわからない共感の至福で断ち切ったラストが秀逸。料理が美味しそうな点も良。又藤に…

獅子座

★★★★ 2021年7月15日(木) テアトル梅田2 【ネタバレしてます】 なんでもシャプロルが資金提供したらしいが、どういう因果かこれは「いとこ同士」逆バージョンみたいなもんで、あちらが真面目な貧乏人は所詮は負け組なのよと世知辛い現実を突き付けるのに対…

シティ・オブ・メン

★★★ 2009年3月21日(土) 新世界国際劇場 山の上から眼下のビーチへ降りて行くという説話的導入は魅力的なのだが、ほぼ主役2人のドラマに集約され前作のカオスとヒリヒリした緊迫感は消失された。家を失い離散しゆく人々は背景に過ぎ去り抑制された調和に至…

G.I.ジョー

★★★★ 2009年8月9日(水) 梅田ピカデリー3 緩い設定にエッジが効かないアクションだと思って見てたが、中盤のパリのシークェンスの怒濤の「押し」に飲み込まれた。後は一切の間断の無さで『マトリックス』的『スター・ウォーズ』的恥知らずな終盤にさえ萌え…

七人の侍

★★★★ 1975年1月19日(日) 北野劇場 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 1991年11月24日(日) 三番街シネマ3 侍集めのシークェンスは面白く最後の雨中の決戦は確かに凄いが、どう黒澤を擁護したってここに出てくる農民達は左ト全を始めとしたキャスティング…

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

★★ 2009年11月4日(水) 梅田ブルク7シアター6 予め準備された材料でないだけ料理人の腕が試されるが、貴重な残存フィルムに既存コンサート映像をリミックス。レアな食材が裏通りのラーメン屋で調理されたかのよう。2カメで貫徹された「ビリー・ジーン」…

四月の魚 Poisson d'avril

★ 1986年6月15日(日) 友楽劇場 初期設定は『ねえ!キスしてよ』と同じで多分ワイルダーを意識してたんだろうが料理やファッションで誤魔化そうとする精神がさもしい。シチュエーション・コメディを手掛けるには100年早過ぎたマスかき連中の鼻紙。(cinemas…

地獄の7人

★★ 1985年5月20日(日) 大劇名画座 ベトナムは生々しいと言っても、戦争を描くのに必ずしも敵を描く必要はないと思うし、黒澤好きなのも結構なことだと思うからミリアス脚本が悪いとは思わない。問題はアクションとしての見せ方が平凡で緩いことだ。(cinemasc…

シーサイドモーテル

★★ 2010年6月14日(月) 梅田ガーデンシネマ2 劇中で山崎真美が「私って○○な人なの」と言うのに池田鉄洋が「自分のこと○○な人言うな」と言う1人称語りに俺は心中「大概その1人称語りヤメ!」と叫ぶ。兎に角台詞が恥ずかしく、4部屋のシンクロも無く設定…

しあわせの隠れ場所

★★★★★ 2010年6月26日(土) 新世界国際劇場 ヘタすれば鼻持ちならなくなる際どい題材ではあるが、一切脇目を振らない主人公が物語を担保する。そして、その担保を保障するのがブロックのカリスマであり、目力とタイトな衣裳が映画を駆け抜け支配する。オール…

ジェニファーズ・ボディ

★★★★ 2010年9月17日(金) 新世界国際劇場 女の脚本を女の監督が女主演で撮ったことで、明確に「男ってバッカでどーしようもねー」というコンセプトが発露されM的快楽を覚える一方、可愛い子ちゃんどもがイキがってる様に余裕綽々な高見の見物感もある。そ…

死刑台のエレベーター

★★★ 2010年10月15日(金) 梅田ブルク7シアター3 唐突にキレた状況から物語に差し込まれる玉山の描写。その脚色の冴えは買うし又絡む景子ちゃんも超ノーブル。問題は吉瀬のパートで、1夜の不安と焦燥と嫉妬の彷徨芝居はジャズ抜き外タレ加味で学芸会風味…

しあわせの雨傘

★★★ 2011年1月8日(土) 梅田ガーデンシネマ1 オゾンが撮る以上、類型的「女性自立」譚にはなるまいと思ってはいたが、何十年もの自分史を全否定し、元サヤへの未練を一顧だにしない媚び皆無の冷徹が正直俺にはキツかった。ディスコのお茶目や回想のエロな…

地獄に堕ちた勇者ども

★★★★ 1983年1月19日(水) サンケイホール 多重テーマを容易ならざる重層構造で描くが、「リア王」に於ける王不在の中で悪女の傀儡たるボガードが牽引するのが物語構造として如何にも弱い。しかし、替わって魑魅魍魎のようなホモセクシュアルを前面に突出させ…

死にゆく妻との旅路

★★★ 2011年4月23日(土) 高槻セレクトシネマ2 ブイブイ言わせてるときだと鬱陶しいとしか思えなくとも、クスブって受けに立ち行き場を無くしたときから最上の連れ合いとなる。孤絶した刹那な世界に埋没し破滅へ向かう旅路への仄甘い誘い。後暗い共鳴を覚え…

質屋

★★★ 1983年6月15日(水) 関西学院大学学生会館大ホール 撮影・音楽など完璧な布陣だが、それでもカサヴェテス以後ニューシネマ以前の立ち位置ゆえの煮え切らなさは拭えない。人間性の回復とまではいかぬプチドラマを重厚な一人芝居でスタイガーが演じるが空回…

シカゴ7裁判

★★★ 2020年10月24日(土) テアトル梅田2 市民運動団体のリーダーであるジョン・キャロル・リンチが裁判所の余りの横暴に激昂して官吏をぶん殴って拘束される。非暴力を家族に誓ってデモに参加した彼は傍聴席にいる妻と幼い息子に哀しげな視線を送って退廷…

J・エドガー

★★ 2012年2月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ6 今更、チビでデブでハゲでマザコンでゲイだからといって何だと言うのか。申し訳ないが10年古い。語るべきはアメリカ近代史への言及であり、そこへの歴史的関与のダイナミズムで、垂れ流し的な点描…

シェーン

★★★★ 1982年1月29日(金) 毎日文化ホール 少年視線を導入した以上、家庭をめぐるドラマは踏み込めないが、それでも妻の安寧を志向しつつ揺らめく女心は一応サスペンスフル。ワイラー的仰角使いが突出した幾つかのシーンを際立たせ、カラー撮影の鮮やかさと風…

忍ぶ川

★★ 1982年5月21日(金) 豊中松竹 主人公を取り巻く陰鬱世界を描くことには成功しているが、思いこみが現出させた主観世界ではなく唯物的世界として描かれ退かざるを得ない。その対極に置かれた木偶の坊的美男美女が悪かろう筈も無いが、どうにもこの2人には…

11.25 自決の日 三島由紀夫と若者たち

★★★ 2012年6月16日(土) テアトル梅田2 稀代の道化か清心な殉教者かと問われたら、若松のスタンスは前者に近い筈だが、そうならば徹底的に笑いのめしてやるのが霊魂に報いる道であろう。遠慮は不要だった。東大や市ヶ谷での井浦新のリアルにダメな口跡が出…

四季・奈津子

★★ 1981316(月) 梅田コマシルバー 地方での平凡な生活を価値のないものとしテント公演の前衛劇から天啓を受ける…同時代に生きた者としても稚拙感が横溢する。ゴダールばりの即興は天賦の才が要る。悲しいことに、あらゆるパートが手抜きの印象でしかない。…

G.I.ジョー バック2リベンジ

★★★ 2013年6月8日(土) 梅田ブルク7シアター1 数多くのキャラが各々一応は立ってた前作に比べ、なんじゃこれはという感じで、いっそスネークアイとジンクス2人の嬉し恥かし世界に耽溺したかった。町に戻ったドウェインのここぞとばかりの眼力披露メンチ…

屍人荘の殺人

★★★ 2019年12月16日(月) TOHOシネマズ梅田3 まったく予備知識なしで見た。 まあ、予告篇から受ける印象は、ゆるい学園ミステリーで、往年の角川映画みたいなもんだろうと思っていた。 たいして見る気もなかったが、時間に合う映画がこれしかなかった…

詩人の血

★★ 1981年6月14日(日) SABホール 例えばメリエスの『月世界旅行』に違和感を感じず本作に感じるとするなら、全ては技術との調和の問題なのだ。コクトーの描きたいものにシンパシーは感じないが映像表現者として意識レベルだけは時代の先を行きすぎていた…