男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しは~しよ】

ジュラシック・パークⅢ

★★★ 2001年8月24日(金) OS阪急会館1 第1作の不意打ち的衝撃と第2作の執拗なサディズムの後を受け尚、過剰方向に走らず割り切りったコンパクト仕上げは買う。だが、新顔スピノとプテラに大きなインパクトは無い。一方 メイシー・ティア夫妻の凸凹チック…

淑女は何を忘れたか

★★★★ 1994年3月5日(土) ACTシネマテーク 1時代が終わったスターが滋味とも言えるオーラを発散するという意味で、この栗島すみ子は『代理戦争』の旭に匹敵するかも知れない。ルビッチに傾倒する小津が未だ偏固ではない柔軟性を醸した時代の逸品。この夫婦…

ジュラシック・ワールド 新たなる支配者

★★★ 2022年8月10日(水) 大阪ステーションシティシネマ4 【ネタバレです】 もうネタ切れで新たになすことがないまま手仕舞いしましたって感じです。 最初に前作で孤島から世界のあちこちに放逐された恐竜たちが人間社会に侵食してくる様が描かれるが、全然…

シュレック

★★★★★ 2002年1月10日(木) 三番街シネマ1 途中から皆良い子ちゃんになっていき、ドラゴン再登場に至っては又もやスピルバーグ印の優良お子様映画に堕するかと思ったら…最後にやってくれました!そうこなくっちゃ…4者4様のキャラが立ってるが中でもエディ・…

ジョアンナ

★★ 1994年4月25日(月) テアトル梅田2 享楽生活を送ることは個人の自由であるが、なら享楽を味わい尽くすなりして欲しい。内省的サザーランドを出してヘタに帳尻を合わそうとするのが何となくさもしい。どっちにせよサイケでポップでオサレな60年代が照射…

シャドウ・イン・クラウド

★★★★★ 2022年7月19日(火) 新世界国際劇場 なんだかこの映画に★5つもつけて見識疑われそうだが、良かったものはしゃーないっす。 まず、爆撃機の下部銃座室に閉じ込められたクロエの延々とした1人芝居が続く。機内の男たちの声はモニター越しにしか聞こえ…

情婦

★★★★★ 1994年6月23日(木) シネマアルゴ梅田 どんでん返しが巧緻であるだけに止まらない。小道具・大道具への偏執的拘りと演技陣の神懸かりなアンサンブル。ロートンは自家籠中の役を極めつけで演じ映画を文字通り背負うが、それよりもディートリッヒの欧州の…

女俠一代

★★★★ 1994年7月10日(日) 日劇会館 東映任侠映画の様な題名だが、実は松竹お家芸の女性の一代記であり、しかもスタッフとキャストに東宝色も混じるというどっちつかず感があり、大長編を端折ったような印象も拭えないが、にもかかわらず実に骨太で堂々として…

ジャニスのOL日記

★★★ 2002年3月14日(木) 西灘劇場 閉じられた世界で救われない主人公は何とか解放されたいと願いながらも特に足掻くわけでもなく虚言癖程度の逃避で済むのも、映画的な虚構を廃したリアルワールドと言えばそうかもしれない。であるならとってつけたような救済…

春琴抄 お琴と佐助

★★★ 2001年5月6 日(月) テアトル梅田1 サディスティック&マゾヒスティックが究極の純愛に…。その世界に惹かれるものは感じないが田中絹代と高田浩吉はタイプキャストとしてこれ以上の適役は無いと言っていい位のはまり方。三味線と琴に乗せた編集はダイナ…

少林サッカー

★★★ 2002年6月5日(水) 動物園前シネフェスタ1 スーパーマンとか超人が正規ルールのサッカーで普通人に勝っても、やったー!とは思えない。ギャグは真摯なドラマに拮抗する形で極まり、パロディは物語の形成と不可分で意味を為し、CGはアナログと融合して…

集団左遷

★★★ 1994年11月27日(日) 池田映劇 リストラが瀑布のように加速化したバブル崩壊初期に娯楽映画としての小気味良い虚構と現実の深刻なリアリズムは到底相容れるものではないのだがギリの線で一応の折り合いをつけた。ダメ社員といってもそこはそれ映画なので…

少女香雪

★★ 1993年4月4日(日) ホクテンザ1 中国版『木靴の樹』といった趣があるがマクロな視座を欠くので閉塞感しかない。伝承される過去映画の記憶を便法として取り入れてみたものの小手先めいてる。第五世代の図太い蛮性と比較されると如何にもな未成熟で気の毒で…

シャドー・フューリー

★★ 2002年9月23日(日) トビタシネマ 戦争後遺症の冴えない野郎を主役にしちまったので、ただでさえ冴えない話が益々しみったれてしまった。船木のアクションは亜流の域を出ていず、下手なワイヤープレイに至っては最早ギャグ。カサンドラ嬢の侘びしき乳ピア…

車夫遊俠伝 喧嘩辰

★★★ 2002年11月16日(土) 扇町ミュージアムスクエア 何があっても自分の信義を曲げぬ男というのは良いキャラで『けんかえれじい』に通底するようにも思えるのだが、そこを取り立てて前面に出さず勿体ない。後半に至りそういった特質は後方に霞みトーンダウン…

社葬

★★★★ 1993年5月16日(日) 新世界東映 疾走感あるオリジナル脚本で受けた老練舛田の柔軟な腕が冴えた文句無しのナイスムービー。役者陣の面子も揃ったが両雄相見える緒形と江守が織り成す余裕のかまし合いが快感。一方吉田日出子が醸す家庭描写の良さが絶好の…

十九歳の地図

★★★★ 2022年4月25日(月) シネヌーヴォ 俺が大学に入学した年の映画で、当時、大学の映研内では皆見てたと思うが、俺は見逃していた。理由は特になく単にタイミングが合わなかったんだと思う。 なんでそんなこと書いたかと言えば、19歳の自分を取り巻く世…

呪怨

★★ 2003年2月25日(火) テアトル梅田1 この監督の頭には「決め」の絵はあったかも知れないが物語の構築には興味が無かったらしい。起と承を御座なりにした転と結だけの串団子が侘しく、古今東西の映画の物真似オンパレードも情けなく恥ずかしい。女優が皆可…

ジュラシック・パーク

★★★★ 1993年8月1日(日) 北野劇場 導入の描写が半端な接写のみで構成され掴み損ねているから相当に緩い序盤がしんどい。が、ティラノサウルス登場から退場までのブッちぎりのモンタージュが一気に心臓をわし掴む。その余韻で相当に平凡な後半を疾走させた。出…

昭和残俠伝 人斬り唐獅子

★★★ 1993年7月11日(日) 新世界東映 ファナティックな佐伯と対極的なまろみのマキノ作の狭間で得てして個性が埋没しそうな山下耕作作ではあるが、定番パターンに乗っ取って面白いことは面白い。しかし、藤純子の抜け落ちた穴は小山明子では補い切れないのも事…

島国根性

★★★★★ 1993年8月5日(木) ゆやホール 極めて日本的私小説世界を描いても他の同系作品から遙かな地平に到達し得たのは渡辺文樹作であったという1点に尽きるとは思うが、とにかく腹を抱える事請け合いの抱腹絶倒ムービー。全てを曝け出すこいつの前で小手先の…

主婦マリーがしたこと

★★★★ 1993年8月4日(水) ゆやホール 堕胎幇助にせよ不倫にせよ誉められた行為とは思わないが、ここまで断罪される行為なのか?という時代に於ける倫理観の変遷をシャブロルは肯定も否定もしない。その冷徹なまでの視座。ユペールがクールに熱い。(cinemascape)…

秋菊の物語

★★★★★ 1993年8月8日(日) テアトル梅田1 能面女優に感情を付与し、自身の極まった手法をも鮮やかに転換させたイーモウの底の見えなさ。往年のイタリア映画を彷彿とさせるバイタリズムとユーモアの混在。パラノイアな際どいキャラも腹ボテのコン・リーが飲み…

十階のモスキート

★★★ 1993年10月30日(土) 第七藝術劇場 やり場の無い中年男の閉塞感を描いて前年の『水のないプール』にインスパイアされた脚本なのは間違いないようだがロケンロローラー裕也が何故にくたびれた中年男に拘ったのか興味深い。デビューの崔演出は手堅いが未だ…

ジョニー・スエード

★★★ 1993年10月16日(土) みなみ会館 ロカビリーやスエード靴やリーゼントへ偏愛を持つ野郎を見て笑って無視するか理解しようと努力するかだが俺は無視もしたくはないが努力したいとも思わない。そういうバカが1人いましたとさのヘタウマ諧謔が神話の域にま…

修羅の伝説

★★★ 1993年10月17日(日) 新世界東映 1.5線級を新旧織り混ぜナイスキャスティングだ。彼ら彼女らが濃淡の差はあれ旭中心に裏切り離脱抜きの同一方向の戦闘ベクトルを維持し続けるのが気持ちいい。惜しむらくはその中心軸が中年太りでリスペクトに適う見て…

12人の優しい日本人

★★★★ 1992年1月19日(日) ロッポニカ三宮 ベタな日本人論やベタなパロディをベタと承知の上で割り切って演じさせ繰り広げる強引さに反発しつつも飲まれてしまう。そういった一種の2重構造を持つ作劇の妙味は、したたかそのもの。演出も出張らず、しかしポイ…

ジョゼと虎と魚たち

★★★★★ 2004年1月13日(火) 梅田ガーデンシネマ2 ただ押されて過ぎ行く日々の中に稀に現れる煌く瞬間。過剰な時代に恋もSEXも檻の中の虎もラブホの魚の幻灯絵も漬物も味噌汁も焼鮭も看過すれば何でもない。しかし、それが如何に素晴らしいものであったかを…

ジャズ大名

★★★★★ 1992年4月23日(木) 毎日文化ホール 映画とはカットが絶妙なリズムで紡ぎ上げられ産まれる快楽の止め処ない連鎖であることを思い知らされる。支離滅裂が殆どシュールの域に到達する終盤の一大狂熱!限定セットを逆手に取って迷宮を現出させる錬金術師喜…

下妻物語

★★★★★ 2004年6月10日(木) ナビオTOHOプレックス7 時代に迎合して生きるのは嫌だが、迎合しない為には、それはそれで苛烈な努力を強いられる筈。なのに、どうにも2人は受け身でもどかしい。しかし、終盤の大仏前の決闘に漲る本気汁に済し崩しに納得もさ…