男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【しは~しよ】

ジャスティス 闇の迷宮

★★★ 2004年12月14日(火)v新世界国際劇場 俺の与り知らぬ世界があるのだろうが、常識的に内政要因に依り抹殺された幾多の人々の事を問題提議するのであれば予知とか幻視とかを持ち出すのは不要なのに自棄に正々堂々とやってるので困惑する。加えてバンデラス…

ジャングル・フィーバー

★★★ 1992年8月8日(土) 高槻セントラル 主題は明確なのに群像劇で散らしてしまったが為に黒人と白人の恋愛は結局成就しないというアイロニカルな帰結にしか到達しない。恋愛劇として衒いがあってはダイレクトに心を射ってこないのだ。徒に最強メンバー揃いな…

ショウほど素敵な商売はない

★★★★★ 1992年9月15日(火) テアトル梅田1 いろんなこのがあったけどやっぱりこの人生もショウという生業も最高さ!とばかりに一切のケレン無く確信的にステージ上のショウを徹底して見せまくる一大クロニクル。一家5人のプロ芸に対してモンローの天然のオー…

JOINT

★★★ 2021年12月6日(月) シネリーブル梅田3 キネ旬の短評欄を見ていて3人の評者が高得点をつけている。1人などは「これはもう事件」と言っている。事件と聞いて立ち読みしていた俺は急遽見る予定だった映画をこれに変えました。 であるが、事件でもなんで…

至福のとき

★★★★ 2006年7月22日(土) パルシネマしんこうえん 余りに物語が小振り過ぎて小品の趣きを免れ得なく、この投げ出し方は「放棄」したとも思える粗雑さだが、一方で執拗に反復されるディテールに新たな手法を模索する作家魂を感じたりもする。いずれにせよ便…

昭和残俠伝 死んで貰います

★★★★ 1992年10月25日(日) 新世界東映 全部を見てるわけでもないがシリーズ最高作の謳い文句は多分本当なんだろう。しかし加藤泰みたく媚びたケレンは要らなかったのじゃないか。小津ほどスタイルを固辞しないでも全体の統制力を軽やかに堅持したマキノだから…

柔道龍虎房

★★ 2006年9月19日(火) 新世界国際劇場 タイトルだけはやたら黒澤してるのだが、あとは中村雅俊でも出てきそうな「俺たちの」何とかみたく青春しちまってムズ痒いことこの上ない。しかも、展開がシュールな迄に説明不足なのだ。凄いとも思うがやはりアカン…

ジャイアンツ

★★★★ 1991年2月17日(日) ルネサンスホール 守旧派の姉や成り上がりの使用人が時代の変転を形成するが、彼女は流れに身を任せ穏健なリベラリズムを貫く。この長大な年代記をテーラーは完全に背負う。差別感情が引き起こすバーガー屋での喧嘩にジュークボック…

ジャケット

★★★ 2007年1月20日(土) 新世界国際劇場 独り善がりな設定は独善的なまでのオリジナリティで担保しないと見るに忍びない。この映画は時空を横断する前提・手段をイメージできていない。ただ、終盤の畳みかけるような展開に若干心揺さぶられるが、所詮は既存…

ショートバス

★★★★ 2007年9月8日(土) テアトル梅田2 こいつらには愛とSEXしか無いのかというミニマムな閉塞感を思うが、60年代フラワームーヴの復刻かと思える懐古趣味を色濃く滲ませたJ・C・ミッチェルには矢張り心を射られる。ハードな描写の連続に嫌悪感を感…

スキヤキ・ウエスタン ジャンゴ

★★★★★ 2007年10月13日(土) 梅田ブルク7シアター5 どいつもこいつも誰にも依存しないし前に進むことに清々しく躊躇が無い。佐藤・伊勢谷・桃井・香川の乗りに、最近の三池映画に顕著な役者を気持ちよく転がす場の現出を随所に見る。初コラボの栗田カメラ…

シャン・チー テン・リングスの伝説

★★★ 2021年9月7日(火) TOHOシネマズ梅田1 マーベルの映画でなかったらどんなに良かったろうと思いました。そう思わせるくらいに、前半で2回あるアクションはジャッキー映画の良質な発展形といってもいい出来です。 結局後半は、CGまみれのお子様世…

女帝 エンペラー

★★★ 2007年10月13日(土) トビタシネマ 肝心のツィイーちゃんの心根の変遷が説明不足で何考えてるのかわからんのがつらいが、贅を尽くしたセット美と仮面舞踏などの異様なギミックが冴え見応えはある。クライマックスの畳みかける展開にも唸ったが成程シェ…

修羅雪姫

★★★ 2007年11月17日(土) トビタ東映 即席培養された「怨み」は過剰なまでの激烈さで消化されなければ矮小化する一方だから仕方ないのだろう。昭和の暗部の残酷見世物小屋の如き「ブッタ斬り」ショーが一種マゾヒスティックな悲哀をもたらすのが唯一の見所…

17歳の瞳に映る世界

★★★★ 2021年7月21日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 近年稀に見る語呂のダサい邦題である。原題は「一度もない・めったにない・時々ある・いつもある」で不本意な妊娠をした彼女がソーシャルワーカーからの質問への答え方として提示される4択です。…

シューテム・アップ

★★★★ 2008年7月26日(土) 天六ユウラク座 正直ガンアクションとしてのキレは絶頂期のジョン・ウーの出来には遠い。が、狙ってるらしいアホが堂に入って衒いが無い。好感を持った。終盤に至ってはテキトーが罷り通り突き抜けモニカまでアホ街道を驀進する。…

紹介、またはシャルロットとステーキ

★★★★ 2021年7月22日(木) テアトル梅田2 習作といっていいんでしょう。 男はシャルロットが好きなんですが、彼女はその気はないみたい。でも、なんだかんだで彼女の家までついていく。 汚れるから上がんないでと言われて玄関でボーっと立っている。 シャル…

上意討ち 拝領妻始末

★★★ 1990年3月21日(水) 日劇シネマ 『人間の條件』的骨太作風でこそ描いてほしい、システムに翻弄される弱者の叛逆や、骨抜け人生を送った男の老後の目覚めや、息子や嫁への真摯な愛情なのだが、『怪談』風表現主義演出の小賢しさが興を冷めさせる。貧乏くさ…

昭和残俠伝 血染の唐獅子

★★★ 1990年4月1日(日) 日劇会館 『昭和残侠伝』の監督として佐伯清の凡庸なアナクロは後世に残らなかった。集団のコラボと叙情味で秀でるマキノの水準作。予想外に屹立してしまった『死んで貰います』を別格としてもこれはこれで退屈はしない。しかし、若干…

昭和残俠伝 唐獅子牡丹

★★★ 1990年4月15日(日) 日劇会館 冒頭の斬殺シーンが表象するように佐伯の描く侠道は殺伐としているしファナティック且つホモセクシュアルな臭いが多分にある。侠客の本質はこっちに近いのであろうが好みで言うと根明なマキノの方が安心。三田佳子の暗トーン…

ザ・ローリング・ストーンズ シャイン・ア・ライト

★★★★★ 2008年12月19日(金) TOHOシネマズ梅田4 キースは代替不能なキャラだがミックの地平は数億光年超えてる。60代の爺いがケツ振り20代の「スタート・ミー・アップ」を歌う凄さ。一方、これは琥珀の映像の珠玉の宝石箱。9割ストーンズに負うが…

ションベン・ライダー

★★★ 1990年8月5日(日) みなみ会館 多くのシーンを切ったのだろう。プロットは崩壊し物語は喪失された。で、ひたすらに少年少女を肉体的に追いつめ事象を包括的にフィルムに定着することに偏愛を見出す。しかし、悲しいかな所詮は半素人のままごとにしか見え…

十三人の刺客

★★★ 1990年10月27日(土) トビタ東映 戦前からご活躍のお歴々は工藤のリアリズム志向に戸惑い、新興役者とのコラボが成功してるとも思えないので、大詰めの攻防戦までの心理的攻防に役者力が発露されず寸止めのようなもどかしさを覚える。結果なかなか始まら…

女囚さそり 701号怨み節

★★★ 2009年8月23日(土) 日劇会館 全共闘崩れというリアルワールドと遭遇した虚構世界のヒロイン、ナミは必要以上に黙するしか処する術がないようだ。それはそれで面白くもあるが、矢張り終盤、女子刑務所内に舞台が移るとホッとする。「さそり」とは良くも…

シャレード

★★★★ 1988年12月4日(日) セントラル劇場 剣呑で胡散臭い男達に囲まれて追いつめられていくオードリーのリアクションが等身大でいい。生臭さの無いアッパーミドルな役がピークアウト前のキャリア円熟とマッチしてカマトトは霧消する。60年代ハリウッドのロ…

終着駅

★★★★★ 1988年12月11日(日) セントラル劇場 圧殺されるかの如き時間の切迫と同期する主役2人の別れる別れないの粘着情念の表出と、錯綜する大伽藍ローマ駅構内で行き交う人々の絢爛たる人間絵巻。その構成の妙に滲むイタリア映画の強烈な伝統的芳香。アルド…

首都高速トライアル

★★ 1988年10月23日(日) 長崎ロッポニカ クールなニヒリズムを基調とするにせよ、こうまで低温だと題材との不整合を感じる。『爆裂都市』のアナーキズムから数年後の映画とは思えぬ良い子ちゃんぶり。使用許可など下りる筈ない高速道の激走を捻じ伏せる映画屋…

JUNK HEAD

★★★★★ 2021年4月19日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 7年間コツコツとほぼ独力で作ったストップモーションアニメという謳い文句に殊更の驚嘆はない。好きなことを趣味でやり続ける人はゴマンといるわけで、俺だって20年間映画の感想をネットに書き…

シャーロック・ホームズ

★★★ 2010年3月16日(水) 梅田ブルク7シアター3 今更、食指の湧く題材でもないのだが、序盤のガイ・リッチー的ワイルドサイドに振れたマッチョな造形にはイケるかもと期待。しかし、CGまみれの定番19世紀描写にロマンティシズムを加味した「ホームズ」…

シャッター アイランド

★★★★★ 2010年4月20日(火) 梅田ブルク7シアター3 目新しくも無さそうな展開だが、手慣れてケレンが無いようでいて小技を効かせまくるスコセッシ演出の重厚と演者たちの含蓄の豊穣に魅せられる。そして、予想を裏切る展開から浮かび上がる真っ当な人々の想…