男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ち】

チャーリーズ・エンジェル

★★★ 2020年3月17日(火) 大阪ステーションシティシネマ8 前回の映画化では、あまり気にもしなかったんだが、ええ歳こいた爺さんどもが、エンジェル、エンジェル言うのにこっ恥ずかしいような居た堪れなさを覚えた。 組織の絵空事は百も承知であるから、「…

痴人の愛

★★★ 2019年11月23日(土) プラネットスタジオプラス1 谷崎の作品ではなくサマセット・モームの「人間の絆」の映画化作であり、なんでも日本公開の10年ほど前に谷崎作品が新聞連載され好評を博したとこから、配給会社がいただいて邦題にしたんだそうな。 …

チャンス

★★★ 1981年5月17日(日) 梅田ロキシー 無茶ぶりできるセラーズに純粋結晶なプレーンキャラを当てたセンスはいいとして、彼が浄化する政界がもっと激しく汚濁に塗れててくれぬと物語は転がらずカタルシスも生まれない。高級感は滅法あるが薄味な割烹料理みた…

沈黙

★★★ 2019年8月18日(日) シネヌーヴォ 原作未読でスコセッシ版の映画は見ている。 俺は、スコセッシが原作をどのように解体したのかわからなかったのだが、この遠藤周作が脚本にかかわった篠田正浩版を見る限り、ほとんどのエピソードは同一であるし、言わ…

誓いの休暇

★★★★ 1981年8月5日(水) SABホール 死と日常に直面せざるを得ない戦時の刹那な煌めき。妻を想う兵士達も恋人を想う少女も少年と邂逅し過ぎ去っていくだろう。そして、少年も過ぎ去り、母の想いは永遠に閉ざされるのだ。決して声高に何かを叫ばない清涼感漂…

父子草

★★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 何がどうということもない大船的人情劇なのだろうが、宝塚映画のある種な場末感と渥美清の一種いかがわしい演技が丸山誠治の愚直なまでに手堅い演出を得て結晶体のような硬質な輝きさえ帯びている。(cinemascape) ken…

小さいおうち

★★ 2014年2月15日(土) 大阪ステーションシティシネマ12 何十年も秘めた想いを紐解く作りになっていない。戦時下の火遊びが露見せずに済みましたっていう程度の話ではないだろう。3角関係の2辺しか描けない山田には尺に合わない企画。『東京家族』から…

チャイナ・シンドローム

★★★ 1980年4月10日(木) ビック映劇 地球規模のカタストロフィに繋がる案件を小さな器で描いたジャーナリスティックな結実として『カプリコン・1』と双璧とも言える。だが、女性の社会進出の肩肘張った感が主題とリンクし切れないのが映画をぼやかす。レモン…

地下室のメロディー

★★★ 2019年5月12日(日) プラネットスタジオプラス1 冒頭、刑務所を出所したジャン・ギャバンが列車に乗ると、まわりの乗客がみんなバカンスの話をしている。 黙って聞いていたギャバンがひとりごつ。 「うーむ…バカンス旅行が大はやりらしい」 自宅のある…

長距離ランナーの孤独

★★★ 1980年4月20日(日) 大阪科学技術センター大ホール 鬱屈した日常に対して「怒りをこめてブチ破る」んではなく、何だか流され教化されたものの、最後の土壇場で、ささやかに抵抗してみた…でも日々は変わりなく続いていくだろう。限りない徒労感の横溢した…

チワワちゃん

★★★★★ 2019年1月22日(火) 梅田ブルク7シアター3 岡崎京子の漫画は読んだことがないし、映画化された「ヘルタースケルター」も「リバーズ・エッジ」も未見。 有体にいうと若者の狂騒の日々とそこで命を落とした女の子の物語。 っていうと食指はほとんど動…

超高速!参勤交代

★★★ 2014年7月14日(月) 大阪ステーションシティシネマ4 60年代的明朗快活な時代劇の復刻としてプログラムピクチャー的軽みは良しとしても、やはり喜八や沢島のスチャラカだがエッジの効いた諸作を思い出し物足りない。正直ユルユルである。2つの主従関…

沈黙

★★★★★ 1980年6月22日(日) 梅田東映ホール 夜の静寂のホテルの1室で街路を往く戦車の地響きがグラスの水を揺らめかす異郷の緊張と違和が孤独地獄をいや増す。その映画的状況設定と担保し得る映像。嫉妬と挫折の果てに次世代に希望を託すのみだとしても生きる…

散り椿

★★★ 2018年10月6日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 木村大作について名カメラマンという表記を見るにつけ、ほんまいかいなと思うのである。 彼は70年代の大作ブームに乗っかって重宝されたわけだが…。 「八甲田山」では過酷な冬山での撮影を貫徹し…

父よ母よ!

★★ 1980年9月26日(金) 伊丹ローズ劇場 結局、親が悪いのだという単視眼的な見解しか持ち得ないのが限界と思うが、それ以前に80年代バブルのとば口の時世と乖離しまくりの年寄りの描いた妄想の若者群像は見てても木っ恥ずかしい。自己の懐旧的な想いに内省…

超能力研究部の3人

★★★ 2014年12月6日(土) 梅田ブルク7シアター7 構ってもらえる才能の無さが羨ましいと宣う絵梨花の独白がドキュメンタリーとしてフィーチャーされない山下の毒不足と半端な気構えが不快だ。総じて茶番だが、フェイク部分の山本剛史の満座を圧するような渡…

チャイナタウン

★★★ 2015年2月7日(土) 大阪ステーションシティシネマ6 30年代復刻ブームに乗った企画はポランスキーの内実から生じたものとは思えず、がしかし、アルチザンとしての高度な技量を駆使し魅せるものにしてみせる。ニコルソンのニヒリズムは文句ないが、利…

地下室の怪

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 泰山鳴動ポテト1個ってな感じで、所詮他人の夢話なんてそんなもんだと思う。前段の爺さん婆さんの悪魔チック所業と後段の漫画チックな怪異は地続きな感じがせず離反しまくりで見事にバラバラ。だが、意外に肝の据った…

チャッピー

★★★ 2015年5月29日(金) MOVIXあまがさき11 『ロボコップ』な背景の『AI』再語りの手垢感もあるが、本来3項対立の傍系人物でしかない2人が予想外の父母性を発露し始めて均衡が崩壊する。と言うより作り手の心情もそこへ片寄せしてる。創造主を序盤で…

チャンプ

★ 1980年11月23日(日) 梅田東映パラス 曲りなりにも何がしかの作家性を保持してた筈のゼフィレッリがハリウッドのショービズマニュアルに蹂躙される。選択されたマエストロたちはギャラの分はと割切り映画は形を為してゆく。冒険心の欠片もなく何から何まで…

チェンジリング

★★★ 1980年12月21日(日) 伊丹ローズ劇場 ピーター・メダックフィルモグラフィの中では多分『蜘蛛女』と並ぶ代表作。コキロンの撮影が広角多用で非常にエッジが効いておりキャスティングの渋さもあって工芸品レベルだ。ただ主人公が究明の役回りの第三者でシ…

チェイサー

★★ 1979年3月16日(金) 伊丹グリーン劇場 混み入った展開に拮抗し得る演出力の不在が御用監督ではいた仕方ないと思わせるが、かのドカエ翁を起用しての余りに凡庸なフォトグラフィと何の感慨も無きロネ客演が相まり往年の世界を転倒させる気概に比し皮相的に…

父と暮せば

★★★ 2015年8月22日(土) シネヌーヴォ りえの「おとたん」には泣けるし原田の包容力と慈愛も十全。ジャンケンを巡る挿話は催涙装置がMAXに機能する。だが展開の妙はさほど無く結局は原爆惨禍のメッセージばかりが前に出る。トリッキーな2人芝居の仕…

チャルラータ

★★★★ 2015年10月24日(土) テアトル梅田1 メロメロに溺れる域まで行かぬ忍ぶ恋を描き、亭主の硬質な生業を細緻に織り交ぜ極めて英文学的な芳香を醸している。それでも終盤の畳み掛けはダイナミックでストップモーションの余韻も詠嘆的だ。ブランコの『ピク…

チキン

★★★★ 2017年9月23日(土) プラネットスタジオプラス1 クロード・ベリってよく知らんが、調べるとゲンズブールが監督した「スタン・ザ・フラシャー」ってのを俺は見ていて、その映画の主演を演った男で、まあドヘンタイの役でした。 あと、「愛と宿命の泉」…

血だらけの惨劇

★★★ 2016年7月23日(土) プラネットスタジオプラス1 ド派手若作りと歳相応の中年女性を往還するクロフォードの凄まじい大芝居が全ての安手ギミックを粉砕する。随所で漂う『サイコ』2番煎じ臭だが凶器をグレードアップしてキャッスルのドヤ顔が目に浮かび…