男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【て】

ディボース・ショウ

★★★ 2004年4月13日(火) OS劇場 木乃伊盗りが木乃伊にと言うだけならコーエンにしては当たり前であり、ブレイク・エドワーズだと言うなら尻尾を切って徹するべきだ。どっちつかずで、自己陶酔したクルーニーにおんぶにだっこじゃ締まらない。(cinemascape) …

デイ・アフター・トゥモロー

★★★ 2004年6月25日(金) 梅田ブルク7シアター1 エメリッヒ演出は接写と鳥瞰の緩急が巧く、局地的カタストロフが頻発する前半は圧倒的(特にLAの竜巻)なのだが、人類滅亡という暗鬱な詠嘆的基調旋律が台風一過とばかりに一気に陽転してしまうのでは最早唖…

デリカテッセン

★★ 1992年6月20日(土) 祇園会館 カニバリズムと純愛の対比ってのがモチーフとしてあからさまで稚拙。加えて食傷する核戦争後の近未来という舞台設定に、お手作りテイストのホノボノ感がこれ見よがしで鼻につく。(cinemascape) kenironkun.hatenablog.com

テイキング・ライブス

★★★ 2005年3月12日(土) ホクテンザ2 意味有り気な超常能力でもあるのかと思えば、至極真当な分析的アプローチを試み、しかも間違えるという出鱈目だが結構魅力的でもある主役のキャラクタリゼーションがもう少し整理されれば…。そう思わせる終盤の展開では…

ディック&ジェーン 復讐は最高!

★★★ 2006年3月24日(金) 新世界国際劇場 ジム・キャリー恒例の1人遊び芸満載の他愛のないコメディ…と言うには失業後の展開が切実に過ぎ笑うに笑えない。ただ、女房のティア・レオーニが軽やかに一緒に落ちていってくれるのが救い。価値観を共有できる夫婦…

テキヤの石松

★★★ 2021年11月22日(月) 新世界東映 松方の口上が渥美寅さんの劣化版みたいで、もうちと違う方向になんとかなんなかったのかと思わせる。文太/桃次郎に倣って松方/石松も高嶺の花、壇ふみに岡惚れと相成るのだが、なんとも二番煎じだ。 苦境に陥ったマド…

デュエリスト

★★★ 2006年8月12日(土) 新世界国際劇場 自己陶酔ギリギリのキザな様式世界には些か鼻白みつつも徹頭徹尾一貫して姿勢を貫徹するさまに多少心動かされもするが、矢張りどこかで退いてしまう。序盤の切り返しを多用したカッティングが魅せるのとジウォンちゃ…

天狗党

★★★ 2006年10月21日(土) 日劇会館 カラー映画に於ける表現主義的ライティングの追求かとも思えるような幼少時にTV時代劇か日本史授業で知ったか最早定かでさえもない「百叩きの刑」を見せることに費やした気合いは僅かながらも期待させた。しかし、後は…

ディセント

★★★★ 2006年11月11日(土) トビタシネマ 展開は在り来たりとも言えるが、救われない喪失感からの逃避と自己再生の触媒として機能しており骨太である。中年女6人の冒険譚は華やぎと抑制と嫉妬と愛情が混在して出色のムードを形成している。ラストは疑問も感…

鉄コン筋クリート

★★★★ 2006年12月30日(土) 梅田ブルク7シアター2 悉く巧いのだが新たな次元を切り開いたかというとそうでもない。多くの既視感のある表現をリミックスした世界が結果行き着くのは善悪論のシンプルなテーゼでしかないのだが、落とし所の補完が共生を訴え、…

ディック・トレイシー

★★★ 1991年4月6日(土) 新世界国際 アメリカンパルプコミックの6原色で構成されたスタイリッシュなマット技術の書き割り世界に適応するメイクを凝らせたオールスターズは粋を凝らしており、そこに真逆ノーブルな主人公を配置するというコンセプトは完璧なの…

DUNE/デューン 砂の惑星

★★★★★ 2021年10月15日(金) 梅田ブルク7シアター2 ほぼ完璧な映画化といっていいと思う。 何をして完璧と言うかは知らんけど、あの原作を映画化するならこうあってほしいとの俺のイメージが、出来上がった映画のフォルムと寸分違わず合致したと言うしかな…

デス・プルーフ in グラインドハウス

★★★★ 2007年9月8日(土) OS劇場 70年代BC級映画の技巧を凝らしてのトレースもいいが、濃厚な限定空間で「スタントマン」の異常な偏執を抽出した前段を、バッサリ切った後段。タランティーノの秀でた点は矢張り構成なのだと改めて思った。爆笑のラスト…

転々

★★★ 2007年12月1日(土) 梅田ガーデンシネマ1 成る程コンセプトはわからんでもない。俺も散歩は嫌いじゃないし追いつめられた男の今生のセンチ旅は解る。が、若者には迎合して欲しくもないし、疑似家庭に涙なんぞ絶対に流して欲しくない。ちゃうやろと思う…

デート・ウィズ・ドリュー

★★★ 2008年7月26日(土) ホクテンザ2 クラシカルにアプローチしてるうちは応援もしてたがネットで一発逆転とは何の意外性もない。そして、登場したドリューの余りにそのへんの姉ちゃんともオバハンとも言える有り様。ええ娘なんやろがどっかつまらんし胡散…

ディパーテッド

★★★★★ 2008年11月22日(土) トビタシネマ 音楽使いのベタさの強度が懐かしい。ヤワとボンクラと出涸らしの役者をコラボレートしこれ又ベタな強度を発散させる。まさかの意外度で駆け抜けるスコセッシの本卦帰り。EV前の引き芝居の禍々しさは『タクシード…

デッドフォール

★★★ 1990年7月8日(日) 新世界国際 気障な2枚目振りが切なく似合わぬスタローンの違和感とマッチョ2人のバディもんの暑苦しさに対して諦観するのに時間を要するので損してるし、コンチャロフスキーの真っ当過ぎな演出も粋とは無縁なのが哀愁のミスマッチだ…

D-WARS ディー・ウォーズ

★★ 2008年12月27日(土) 天六ユウラク座 アホな話であることは嫌ではないが、タメなく登場するサスペンスへの軽侮とポリティカルな視点1つもないミリタリーオタク的気色悪さと戦隊ヒーロー物レベルの重量感無きCGが渾然一体となって見るものの神経を蝕む…

デイ・オブ・ザ・デッド

★★★ 2008年12月20日(土) 新世界国際劇場 潔いまでの夾雑物ゼロの展開は最近の流行で殊更の新味もないが、にしても中盤を形成する病院内外での攻防戦の阿鼻叫喚はちょっと見物で、キングの「セル」を想起してしまった。まあ、俺にはヒロインミーナ嬢の小柄…

日本女俠伝 鉄火芸者

★★★ 2009年3月28日(土) トビタ東映 所詮は芸者が侠客の斬った張ったの世界に介入できる術はなく、笠原のロジックも解決の道筋は見出せない。純子は傍観者で脇文太で締めざるを得ない煮え切らなさ。羽織会の締め舞くらいではアドレナリンは滾らないのだ。(c…

ディア・ドクター

★★★★★ 2009年7月17日(金) なんばパークスシネマ5 決して新味のある話でもないのだが、時制の支配力とでも言うべき構成の説得性と、行間の描き込みの緩みの無さ。畢竟、物語の上澄みではなく総体のボリュームが浮上する。ロジカルセンテンスで浮かび上がる…

天使の眼、野獣の街

★★★ 2009年7月17日(金) 新世界国際劇場 「天使の眼」たる尾行劇は細密でもあり演出も闊達で、少なくともジョニー・トーの鈍重さよりは買うが、「野獣の街」と言う割には強盗達は野獣でもない普通人で狂気が皆無。そのへん良くも悪くもトー組の仕事。物足り…

天使と悪魔

★★★★ 2009年12月19日(土) トビタシネマ 常に後手に回る探偵とゴシックな殺しの仕掛けという古色床しい横溝的正統派探偵小説の趣を彩る贅を尽くしたスケールと限定時間のなかを突き進む展開のスピード。ぶれない作劇と脇役者陣の面構えの良さ。『ダ・ヴィン…

天国にいちばん近い島

★★ 1985年2月3日(日) 友楽会館大劇場 少女は独力で物語を切り開くべきで爺さん婆さんの出る幕ではないだろう。ニューカレドニアという夾雑物を廃した世界を舞台に選びながら、やることが不純なのだ。知世は健気にいいけど、やっぱ彼女には太陽の光は合わない…

鉄男 THE BULLET MAN

★★★ 2010年5月31日(月) 梅田ブルク7シアター5 CGの時代の張りボテな手作り感とグチャグチャ編集で何とかしようというレトロな根性は買うが、「アンドロイド」とか意味を付与してしまえば底が割れるのだ。外人野郎でメタル感を補強しても美味しいところ…

天使の恍惚

★★★ 2010年8月27日(金) 高槻ロコ9オウラス11 「孤立した精鋭が世界を変える」と組織論を放棄した時点でマスターベーションに堕しているのに自虐史観に立脚してるわけでもない。進行形の渦中で混沌する価値観。「ごっこ」な革命の胡散臭さの歴史的遺痕跡…

ディーバ

★★ 1984年12月9日(日) 大毎地下劇場 キャラクターの配置がまずありきなことを了承しても、バックヤードの肉付けこそ生命線なのに、驚くほどの脳内箱庭世界に留まり安住する安易さ。黒人歌姫・郵便配達人・殺し屋・ベトナム少女といった記号は思わせぶりであ…

電人ザボーガー

★★★★ 2011年10月22日(土) 梅田ブルク7シアター4 オリジナルに敬意を表しつつパロディとして再構築する技量に於いて前人未到の域に迫っている。一本調子でダレる井口だが2部構成でクリア。若手2人のド暑い好演と変態老優2人の間で分が悪い板尾を巨大愛…

デイブレイカー

★★★ 2011年10月22日(土) 新世界国際劇場 人間飼育やサブサイダーとか禍々しくなりそうな要素もあるにはあるが、根本設定がギャグとしか思えないので中和され半ちくである。で、又生真面目にご丁寧であるのもかなわん気がする。後半の非効率な人間化への食…

デストラップ 死の罠

★★★ 1983年10月22日(土) 高島屋ホール 裏の裏の裏の繰り返しみたいな直線的ひっくり返しではなく待ち構えてる観客の裏はかけない。付加される映画的情緒も決定的に足りルメットの演出はどうにも緩く精彩を欠く。『十二人』の頃のエッジの効いたキレは望めな…