男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ひ】

ピッチブラック

★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ 惑星不時着後の30分は孤絶を描写するにアングルやサイズを精緻に検証した才を感じた。ただ、見進むにつれ沸き起こる懐疑が確信に変わり心は冷えていくのだ。「これって丸っきり『エイリアン2』やんけ」…と。善悪の…

ひとよ

★★★★★ 2019年11月21日(木) TOHOシネマズ梅田4 展開的に何か見たことないような綾があるわけでもない。 むしろ、母息子の確執に限って言えば、なんやねんやっぱそういうことやんか。 ということなのであるが、それにしても一家ととりまく地域社会の濃…

漂流

★★ 1981年6月22日(月) 伊丹ローズ劇場 鳥の描写だけはやたら凝りに凝って海外ロケしたりして熱がこもってるのだが、肝心のサバイバルのリアリティに本当らしさが欠ける。大体、日本版「ロビンソン・クルーソー」としては生き延びる為のオリジナリティが無さ…

ピアッシング

★★★★ 2019年7月4日(木) 大阪ステーションシティシネマ6 村上龍の原作は読んでいるのだが、どんなんだったか忘れた。 だが、SMに傾倒していたころの一連の作品のひとつであろうことはわかる。 であれば、悪夢のような「オーディション」が想い出させられ…

緋牡丹博徒 鉄火場列伝

★★★★ 2014年5月17日(土) 新世界東映 クライマックスをお竜と共闘する立役を退場させシリーズのつま若山と場違い感のある丹波に委ねざるを得ない展開が、それでも筋が通って見えるのは待田の明晰なブレの無さがあるからだ。笠原的ロジックは何故か山下耕作…

ピロスマニ

★★★ 1980年5月24日(土) SABホール 数多ある没後に評価された薄幸の画家物語として殊更心揺さぶるものでもない。基本働くの嫌い酒大好き野郎なので冷視線を拭えないのだ。が、ピロスマニの作品を丸ごとフィルムに定着させたかの如き一貫したトーンの統一が…

日の名残り

★★★★★ 2019年1月19日(土) 大阪ステーションシティシネマ5 趣味な映画なのだが、公開当時なんで見なかったかと考えるに、 アンソニー・ホプキンスに辟易してたからだと思うのだ。 これは、1991年の「羊たちの沈黙」の2年後の作品である。 徹頭徹尾、…

氷壁の女

★★★★ 2019年1月6日(日) プラネットスタジオプラスワン 旅は、それまでの自分の在り方を見直すきっかけとなる。 迷いが顕在化し、新たな生き方の啓示を受けるかもしれない。 旅先が、人間の卑小さをクローズアップするような大自然であれば、それは劇的な効…

人生劇場 続・飛車角

★★★★ 2014年9月13日(土) 新世界東映 義を通すと同等に情を重んじる。倫理観が男尊的であることを差し引いても尚惻惻と沁み入る鶴田の口跡の絶品。佐久間2役も如何わしさを帯びつつ刹那感を弥増させる。沢島演出は技巧を抑制し尚絶好調だが、満州パートが…

ピンク・パンサー2

★★★★ 1980年9月3日(水) 伊丹グリーン劇場 品の良い連中が精一杯バカやってるのに嫌みになっていない。誠意をもって真剣にバカやろうとしているからだろうし、エドワーズもセラーズも選ばれし者ということだ。境界線上の均衡を擦り抜けたシリーズ最高作。アン…

郊遊 〈ピクニック〉

★★★ 2014年9月13日(土) シネリーブル梅田2 鼻水垂らし期限切れ弁当食いつつ此処ではない何処か今でない何時かを見探す男だが、何も見てない空洞のような眼窩にも見える。チャップリン映画のようなホームレス親子の生活が痛々しいが夢も希望も世界には無い…

響 HIBIKI

★★★★★ 2018年9月23日(日) MOVIXあまがさき1 月川翔という監督の「君の膵臓をたべたい」は見てるが、正直、凡庸な印象しかなかった。 でも、これは見違えるように良い。 差釣りが鍋島淳裕に変わったのが大きかったと思う。 持てる者と持たざる者の話…

日々ロック

★★★★ 2014年11月22日(土) 大阪ステーションシティシネマ3 お姫様をめぐる3馬鹿トリオはたのきん映画みたいなベタさであるが、ウザさ臨界線上な野村の演技がそれでも取り敢えずの強度を映画に付与し物語を強引に牽引した挙句のクライマックスは爆裂的だ。…

ピンク・パンサー4

★★ 1980年9月22日(月) 伊丹グリーン劇場 アイデアが枯渇し主役を凌駕してきたドレフュスのマゾキャラも最早飽きられる。自棄のやんぱちでクルーゾーの変装と生き返りアイデアをひたすら繰り返す一種のバラエティショーにしてみたが如何せんエドワーズでは生…

百円の恋

★★★★ 2015年1月17日(土) シネリーブル梅田2 ジムの経営者やトレーナー、コンビニの2人の店長や店員といった脇キャスティングが全て命中しており、遣る瀬無い閉塞と片隅感が充満するのが良く、そういうリアリズム基盤の上で『ロッキー』チックな類型的再…

ビューティフル・デイ

★★★★ 2018年6月7日(木) 梅田ブルク7シアター4 【ネタバレです】 金槌で殴って殺すってことで、陰惨でゴアなものを予想していたが皮膚感覚な残虐描写は無い。 それが、良いか悪いかは終盤で腑に落ちる。 母親を惨殺された主人公が2人の侵入者のうち1人…

ひなぎく

★★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 逆しまなモラトリアム空間に浮遊するかに見える少女2人のかったるい悪戯紀行なのだが、耐年性のあるポップなガーリージャンルもんで切り捨て難い剣呑な悪意を孕んでおり予断を許さない。で、期待通りのカタルシスが…

The Beguiled ビガイルド 欲望のめざめ

★★★★★ 2018年3月11日(日) 大阪ステーションシティシネマ6 「白い肌の異常な夜」は未見です。 であるが、さんざその映画について見聞きしたおかげでストーリーは大体知ってしまってる。 であるから、展開の驚きはほぼ無い。 のだが、グイグイ引き込まれて…

ピッチ・パーフェクト

★★★ 2015年6月9日(火) TOHOシネマズ梅田5 主役の女の子がオタッキーで一歩退いたスタンスなのが如何にも今風であるのは良しとしても決定的転機もなく前向き転換して物語は定番通りに進んでいくのはどうなのよ。四の五の言わずラスト30分の高揚感と至福…

白夜

★★★★ 1979年2月18日(日) 大毎地下劇場 1980年5月24日(土) SABホール 余りにもの内向的世界に退く部分もあるが、確固たるポリシーで統一された透明感には微塵も隙が無い。その世界を構築するのは叙事的物語ではなく刹那の叙情なのだ。わけてもセーヌをたゆ…

ピクニック

★★★ 2015年7月25日(土) 第七藝術劇場 或る夏の一日がその後の長い人生より煌めいていたという汎映画的モチーフは良いが、確信的な選択で為されたようにも見えぬブランコの仰角や川面のローアングルといったカメラ使いと、母親やフィアンセの笑劇キャラの歪…

★★★ 2017年12月9日(土) シネリーブル梅田4 ある意味、問題作である。 なんじゃこりゃという腑抜けた部分と、めっちゃ力入った部分が混在する。 何故こいつ等がこうなったかっていう釈明は一切ない。 だから、クソ人間となった現状だけが提示される。 そん…

ビジランテ

★★★★ 2017年12月9日(土) テアトル梅田1 まず、こういう骨太題材をオリジナル脚本から構築した入江監督を頼もしく思う。 日本映画で久しくなかったジャンルだし力作レベルだと思う。 しかし、やはりというか、ちょっとどうかと思う点もチラホラ。 【以下ネ…

ピース オブ ケイク

★★★★★ 2015年9月19日(土) 梅田ブルグ7シアター3 酔ってユルユルになる男願望が多少入ってるにせよこの多部ちゃんは全存在で等身大の女を具現化して圧倒的だ。足掻いてもがいて駆け抜ける様は「ガールズ・オン・ザ・ラン」であり峯田が世界をきっちりサポ…

ビッグ・ウェンズデー

★★ 1979年8月19日(日) ビック映劇 徴兵拒否するにせよ酒に溺れるにせよそうなる真摯さが感じられず平々凡々たる微温ドラマがだるい。結果ノスタルジーという代物に為し崩しに寄りかかるしか求心力を維持できない。しかも伝説と称されるものがCGの無い時代…

HERO

★★★ 2015年10月8日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 キムタクにウィッシュ口癖のチンピラがダブり何時しかスクリーンも濡れるが、それ抜きにしても彼女より松たか子のペーソスが何枚も上手だ。そして、そこしか映画の見処はない。類型挿話の継ぎ接ぎで…

非行少女

★★★★ 2015年10月18日(日) シネヌーヴォ お決まりな更生と転落が振れ幅を加速しつつ行き着いた矯正施設での彼女の達観はそれでも心打つ。真の意味での目覚めを描きそれでも尚駅での愁嘆場を経て旅立つ少女の未来に幸あれと思う。自立する女性とダメ男を描く…

白夜の調べ

★ 1978年1月29日(日) 伊丹ローズ劇場 栗原小巻もユーリー・ソローミンも決定的に色気が欠けているので、木偶の坊の惚れたはれたを延々と見せられて苦痛である。加えてロシアの風土がうそ寒く日本は京都の風情までもが何故か沈鬱極まりない。時代錯誤な製作姿…

緋色の街 スカーレット・ストリート

★★★★ 2015年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 性悪女に翻弄されるアホ親爺の物語として申し分も無いが、真の才能が世に出る絶望的な蓋然性の物語としての皮相な味付けが又良い。そして何より決定的に裁断される悪に冤罪も糞もない呵責無さ。展開の…

火の鳥

★★★ 1978年8月19(土) 伊丹ローズ劇場 大スケールの物語を得意の映像マジックで何とかカバーしようという心意気は感じるし、脚本も「黎明篇」を巧くダイジェストしているのだが、アニメ使用が何とも中途半端で肝心要の「火の鳥」に至っては実景に全く溶け込ま…