男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ふは~ふん】

冬薔薇

★★★★★ 2022年6月9日(木) 大阪ステーションシティシネマ10 健太郎ありきの企画だったようだが、オリジナル脚本でこのキャラを彼に当てた阪本のド本気と受けた方の覚悟が窺える。紛う事なきクソ野郎を描いた映画です。 ただ、健太郎は自意識過剰のクソ男と…

プリティ・リーグ

★★★★ 1993年4月4日(日) 新世界国際劇場 時代の間隙を埋める徒花であったにも拘らず誠心誠意がむしゃらに走った彼女たちへの賛歌であり文句無しに気持ちいい。一方で1人の男の再生の物語にもなっているのも又抜かりなくハンクスの場末感が最高。男は女で生き…

プール

★★★ 2003年4月8日(火) 天六ユウラク座 丁寧であざとくない演出は好感を持ったが、どっかでみたような話の縮小学園版みたいなのが喰い足りない。しかし、新星エリカ嬢の顔も体もとことん意地悪そうなのに、どこか寂し気で孤独を漲らせたアンビバレントな風情…

フルムーン・イン・ニューヨーク

★★ 1993年8月8日(日) みなみ会館 女達が知り合うのが株と不動産で成功したキャリアウーマンを媒介としてるので、舞台設定といい語り合う悩みといい何かどうでもいい風に思える。それをトレンディドラマみたく薄っぺらいお洒落ムードで描くのだから益々救われ…

プラスティック・ナイトメア 仮面の情事

★★★ 1992年2月11日(火) パルシネマしんこうえん 題材からすればジョン・ヒューストンのような乾きが欲しいところなのに、大仰なヒッチコックもどきで迫ってしまったのが違うと思うし上手くもない。グレタ・スカッキも美人なのだがオーラがあるとは言えず屋台…

プロスペローの本

★ 1992年3月20日(金) 三越劇場 大体「テンペスト」を知らないので話が呑み込めず、戸惑うようなギールグッドに背負って立つ魅力も感じず、期待のハイビジョンの他人の不条理夢を見るが如き裸男女の異様な乱舞のセンスには降参するしかなかった。(cinemascape)…

フルタイム・キラー

★★★ 2004年2月24日(火) 梅田ブルク7シアター2 反町は悪くないしラウも熱演だが、引退を夢見て安寧を欲するってのが大体に格好悪いしキレまくってるくせに実はってのも言い訳がましい。男と男のぶつかり合いにお為ごかしは不要なのだ。スタティックだが情だ…

冬の旅

★★★★ 1992年7月5日(日) みなみ会館 出生由来やよくあるトラウマ等の帰納法的帰結ではなく、唯ひたすらに事象を演繹的に描くことにより自ずと浮かび上がる少女の強烈な自我と心の底まで冷え込みそうな孤独。一種の絶対映画の域に達している媚びの無さだと思う…

ブルーベルベット

★★★★★ 1992年7月9日(木) テアトル梅田2 平穏な日常こそが異常さを内包するとでも言いたげな倒錯ムードが横溢しておりマクラクレンもロッセリーニもどこかズレ感を発散。そうなると彼岸の住人ホッパーと何も変わらない。その異様な混沌とでも言うべき世界観…

ブルーサンダー

★★ 1992年8月23日(日) パルシネマしんこうえん 地味渋オヤジばかり揃えたB級活劇で華が無いのは嫌いじゃないが熱くなれる要素も見当たらない。となればフェティッシュに高性能ヘリの描写に特化すれば立つ瀬もあろうがコマーシャルな嗅覚だけで伸し上がった…

ブロークバック・マウンテン

★★ 2006年4月21日(金) シネリーブル梅田2 隔絶された2人だけの理想郷が何十年も煌き続けるにしては、恋の形成過程が早急に過ぎるのを始めそこでの心理的駆け引きが薄い。代りに写真のように綺麗なだけの風景描写を積み重ね自己満足している。アン・リー…

ブラザーズ・グリム

★★★ 2006年3月24日(金) トビタシネマ 敢えて「グリム兄弟」と題したのにエッセンスとしてさえ介在ざれぬ「童話」。その時点で遣る気の無さが匂いたち退く。成功作『スリーピー・ホロウ』の記憶冷めやらぬ時期の同工異曲2番煎じゴシックホラー。唯一、高所…

プラグヘッド 悪魔の電脳人間

★★ 1992年9月27日(日) 新世界国際劇場 ロクな見せ場も無いに等しいが多少風変わりであることは確かである。ただプラグヘッドという悪役が、どっかで見たようなスキンヘッド親爺なので、どうにも目新しさが無い。C級でもサイバーもんと言えば見ずにおれない…

フライトプラン

★★★ 2006年6月10日(土) シネマしんげき1 安定感のあるオーソドックスな画面構成には好感を持ったが、心理サスペンスの趣で開始された物語は謎が解き明かされる後半になるにつれ脚本の在りえない穴が露見されドッチラケ感が漂う。『フォーガットン』との類…

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

★★★ 2006年6月14日(水) 新世界国際劇場 天才のことは凡人には解らないという一貫したポリシーを貫けば主人公の煮え切らないような解らなさにも芯が通るのだろうが、それでは誰も見たいと思えないものになるジレンマ。父への思いや姉との確執が妥協の産物か…

PROMISE

★★★★ 2006年7月22日(土) シネマしんげき1 導入での幽玄の極致とも言うべき女神の御宣託に規定された物語は、牛の大群で心のスイッチを切り替えれば後は成り行きを堪能しつつ見届けるだけ。そして、3人の男女の生な心の揺らぎに思わぬところから心を射ら…

プルートで朝食を

★★★ 2006年8月19日(土) テアトル梅田2 どうにも華やいだ雰囲気を演出が醸し出そうとしてあざとい感じがする。オカマとして生きて行くからって無理にでも華やいでいないといかんわけじゃなかろうにと思う。しかも意識して軽薄であろうとしてる訳じゃなく天…

ブラック・ダリア

★★★ 2006年10月21日(土) ナビオTOHOプレックス3 あの近写から360度のパンニングを交えて大俯瞰に至る件りに尽きる。刑事たちの三画関係を交えた物語の流れの軸を強引に猟奇事件へと転換させていく手法。それのみがデ・パルマであって後は稚拙なヒ…

フラガール

★★★★ 2006年10月28日(土) シネリーブル梅田2 健康ランドでフラダンサーになったからって…と思うが、それさえ叶わぬ親友のことを思えば涙も出る。状況描写に説得力があり、そこしかないから的唯一の社交場の安食堂の鄙びた場末感が良い。ただ終盤が安易に…

フールズ・オブ・フォーチュン

★★ 1992年12月6日(日) 大毎地下劇場 E・M・フォスター原作の映画みたいな雰囲気で始まったのが、いつの間にやら通俗的な復讐譚になる。展開の綾に欠けるので置いてけぼりを喰ったかのような感情移入のし難さだ。それを今いち魅力に欠く役者たちが演じ何を…

プリズナーズ・オブ・ゴーストランド

★★ 2021年10月13日(水) TOHOシネマズ梅田10 園子温のキャリア終焉を窺わせるような微温さ。 むりくりの娘奪還を命じられたニコラス・ケイジは身体のあちこちに取り外し不可の小型爆弾を装着されて、タイムリミット過ぎれば爆発するし、奪還した娘に…

ブラッド・ダイヤモンド

★★★★ 2007年9月29日(土) トビタシネマ 相反する利害を持つ3人のベクトルが収斂されてゆく後半の展開がオーソドックスではあるが肉厚な状況描写に支えられてカタルシスを産む。ロマンティシズムの芳香さえ感じた。メッセージは陳腐で単純だが、それが幸い…

プレスリー VS ミイラ男

★★★ 2007年9月29日(土) トビタシネマ ブルース・キャンベルの枯淡とも言うべき老人演技が味わい深く、エルビスネタのシケた頃合いもナイスなだけに、ヘタレなホラーへの拘りは要らんとも言える。ただ、ヘタレなのも又可愛いとさえ思えてくるから困ったもん…

不倫への招待

★ 1991年8月25日(日) 日劇シネマ エマニエル夫人ならぬエマ夫人のパリでのアバンチュールもとい淫乱行なのだが、そこに何らかの哲学性があろうはずもなく、そのくせ阿呆で可愛げもないので只管にしんねりむっつりしていて見るのが苦役。こんなもんでも需要が…

プラネット・テラー in グラインドハウス

★★★★ 2008年1月5日(土) トビタシネマ 腐った牛乳がやがてヨーグルトになる様に不快な下司も半端を通り越して一周すると爽快になる。人体が砕けて飛び散る様を繰り返し見せられオモロイなあ。賢い人がアホなフリしてるとしても。『デス・プルーフ』とは本当…

ブラッド

★★ 2008年1月14日(月) トビタシネマ 完全に手垢のついた設定であり、今更センチに描いて何とかなるもんでもなかろうにと思う。まあ、特段好きでもないルーシー・リューだが、悦に入って演じているのだから付き合おうとも思ったが方向性が余りに半端。Sで…

フライボーイズ

★★★★ 2008年2月16日(土) トビタシネマ 緑のフランス田園地帯の上空で繰り広げられる複葉機の空中戦の最中に敵パイロットと交わす視線の騎士道精神も少女との別離の哀惜もジェームズ・フランコのハニカミ笑顔とともに郷愁の彼方に消え去っていく。切ないま…

ブラック・ウィドウ

★★★ 2021年8月19日(木) シネリーブル梅田4 コロナで公開延期の件を割り引いても証文の出し遅れ感は免れない。10年早く撮られるべきだった。 考えてみれば、アベンジャーズとその派生作品を5割くらいは見てきてるのだが、真にかっこいいと思えたのはブラ…

ブレイキング・イン

★★★★ 1991年10月13日(日) 新世界国際劇場 人生の裏通りを行くにしては、緊張も鋭利さも無い男達を気負い無く淡々と描いて素晴らしい。達観と諦念の中、一抹の意地と気概を垣間見せるレイノルズが最高に粋。老境にさしかかった元マネーメイキングスターとイン…

プレステージ

★★★ 2008年4月5日(土) 新世界国際劇場 嫉妬や怨嗟や虚栄心や絶望や苦渋などのエモーションは時制の解体や変奇な装置や超現実への越境や多くのギミックに埋没してしまった。そんななら寧ろ演出は不要だったかもだ。物語が確実に内包していた生々しいパッシ…