男の痰壺

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ベルフラワー

★★★★ 2012年6月23日(土) テアトル梅田1 ギャロ的自己中妄想もヘルマン的斜に構えた諦念も好きくもないが、『マッド・マックス2』的週末世界願望には共振する。虫食い女に浮気されダメさ極まるマゾ野郎には肩入れもしたいが、矢張り世界を破壊して欲しい…

HK 変態仮面

★★★ 2013年4月27日(土) 梅田ブルク7シアター7 股間を押し付けダメージを与えるには耐えがたき饐えた臭いや忌むべきリアル形状が必須なのにそこを避けている。福田が井口や三池に所詮は及ばぬと感じる所以で、使用済みでしか効果が無い設定も可愛い刺繍で…

ベルリンファイル

★★★ 2013年7月14日(月) MOVIXあまがさき4 序盤から世界中の対立軸をテンコ盛りに登場させてはみたが、とっ散らかしただけで俯瞰的視座が無く設定は雲散霧消。結局、中盤以後は得意分野の男と女と骨肉相食む兄弟の確執に終始。それでも、刹那を体現す…

ペーパーボーイ 真夏の引力

★★★★ 2013年7月27日(土) テアトル梅田1 何も一から十まで描かずともよいが『おもいでの夏』的側面が主線である以上キッドマンの獄中犯マニアである心的内面に今ひとつの突っ込みが欲しかった。終盤が切ないだけに尚更。真夏の倦怠を弥増す変態ショーは本…

ペントハウス

★★★★ 2013年4月13日(土) トビタシネマ 出がらしを集めて絞れば案外美味い出汁が出た的妙味もあるのだが、存外に素晴らしいトランプタワーのロケ効果とリアルな感謝祭パレードを取り込んだ臨場感。ラトナーの演出力も舐めたもんじゃないと思わせた。ランデ…

閉鎖病棟 それぞれの朝

★★★ 2019年11月5日(火) 梅田ブルク7シアター2 鶴瓶の演技を予告編で見てうんざり感が起こり見る気もなかった映画なのだが。 まあ、小松菜奈が唯一のモチベーションとなって足をはこんだ。 監督の平山秀幸も「エヴェレスト」で、もうあかんわと思ったが、…

ペコロスの母に会いに行く

★★★★ 2013年11月23日(土) 梅田ガーデンシネマ2 何だか理想的生き様を実践する岡野のスローライフがひたすら羨ましく、そういう主人公をベタつかず描けるのも森崎しかいないと納得し岩松も適役。老いれば人は過去に遡上し思い出に埋没するしかない。それを…

仮面 ペルソナ

★★★★★ 1980年3月5日(水) 毎日文化ホール 神の不在という命題から解き放たれベルイマンは「女」を描くことに、のたうつ様な快楽で臨んでいる。アンデルセンからウルマンへ過渡する冷徹がニクヴィストのトリッキーでシャープなアイデアで最尖鋭化する。『沈黙…

ベニスに死す

★★★★★ 1980年5月11日(日) SABホール 主人公が乳白色の海を渡って辿り着いた白いホテルは、疫病の蔓延する湿った石畳の黄泉の国への入り口であった。メフィストフェレスに誘われ自壊しゆく男を豊穣なディテールをもってこれ以上ない精緻さで描く。内向する…

ヘウォンの恋愛日記

★★★★ 2014年9月6日(土) シネマート心斎橋2 作劇常道では行き詰りの孤独地獄への転落を描くその一歩前のモラトリアムな瞬間をこそ淡々と綴る。此処ではない何処かへの逃避願望の切実をアイコンバーキンやスコセッシがシャレで被い救われる。悪意は隠蔽され…

平和に生きる

★★★ 1980年8月31日(日) SABホール イタリアンネオリアリズモの先鞭的作品との位置付けは脚本のダミーコに依るのだろうが、今となっては微温的大戦秘話の1つに過ぎない。ただ、酔っ払っての呉越同舟が二転三転して至る帰結は戦下の非情を叩きつけている。…

ペンギン・ハイウェイ

★★★ 2018年9月2日(日) MOVIXあまがさき1 平穏な日常が異物の混入により変容する。 アニメに明るくない俺だが、かの「ビューティフル・ドリーマー」あたりを始祖として「サマー・ウォーズ」あたりを劣化した折り返しとして今日に至るこの世界では普遍…

ペトラ・フォン・カントの苦い涙

★★ 1980年11月1日(土) 関西学院大学第4別館309号室 限定されたサディスティック密室劇でさして魅力的でもない中年女性の鬱屈した精神の変容を見つめ続けるには、多少の叙述レトリックは必要だったのではないだろうか。例によって青を基調とするバルハウ…

部屋

★★★ 2015年3月28日(土) シネヌーヴォ 直近で『しんぼる』あたりが粋を極めた閉じ込められ設定のギャグ集であるが、剣呑さが不足しており、ほんわかまったりしてドキドキしない。かと言って主演のおっさんに格段の芸があるわけでもなく、クレイのギクシャク…

ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

★★★ 2018年4月1日(日) MOVIXあまがさき11 経営の確執を本筋に絡めたことで拡散した。 正直、メリルが泥縄で経営を継いだロートルお嬢さんってことに絞ってフィーチャーした方が面白かったろう。 結局、正念場で掲載に踏み切る彼女の内部の葛藤はシ…

ベルファスト71

★★★★★ 2015年11月21日(土) 新世界国際 非日常へと踏み込んでしまう境界が唐突にやってくる映画的導入が優れているのだが、そこから繰り広げられる展開が予想以上に複層的。70年代初頭テロリズム勃興期に世界で若者達が踏み込んでいった狂気が充満する。…

ベイビー・ドライバー

★★★ 2017年8月20日(日) MOVIXあまがさき9 決行前夜、武器取引での破綻があった後の、彼女が働くダイナーでの一幕。 ジェイミー・フォックスがジョン・ハムを彼の来歴を想像だか捏造だかしてネチネチ責め立てる。 はっきり言って、ここ以外は見どころ…

ヘイトフル・エイト

★★★★★ 2016年3月2日(水) MOVIXあまがさき7 『キル・ビル』から殺戮のロマンティシズムを『レザボア』から土壇場のダンディズムを継承したイズムの結晶。ワンパターンなのに飽きないっす。人種と性別についての糞コードを蹂躙し遣り放題の挙句に人としての…

ヘイル,シーザー!

★★★★ 2016年5月16日(月) TOHOシネマズ梅田6 ブローリンは平凡な市井人だしクルーニーは取り柄ない凡優でメインのストーリーは見所も無い。一方でテイタム・スカヨハ・エーレンライクの挿話は冴えまくる。歴史的に赤狩りが否定された現在。コミュニズ…

ベンジー

★ 1976年12月28日(火) 伊丹グリーン劇場 動物を擬人化して描く胡散臭さに目を瞑っても余りにベンジーが良い子ちゃんを演じてるのが明らさまで飼い馴らされることに迎合的なのが不愉快。何よりこんなしょもない映画がヒットすることで調教師のデブ爺がどえら…

ペーパー・ムーン

★★★ 1975年6月22日(日) 阪急文化 グッドオールドデイズ的話芸がシネフィル的に嫌らしくも巧過ぎて見とれるのだが、如何にもな大人こどものテイタムには今いち馴染めない。コヴァックスのモノクロ撮影が時に水墨画のように素晴らしく、フォードなアングルで撮…