男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ま】

まぼろし

★★★★ 2002年9月26日(木) 扇町ミュージアムスクエア 喪失の恐怖に対し無関心の虚無へ逃避したアントニオーニの対極でオゾンは主人公を事実認識に執拗に駆り立て、結果浮かび上がったのは恐るべき自己中女の実像であったという予想もしない結末。見方によって…

マイスモールランド

★★★ 2022年5月11日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 日本在留のクルド難民一家を取り巻く色んな問題に切り込む意欲作。ってことだが、この程度ならドキュメンタリー「東京クルド」と「牛久」を見たほうがええんちゃうかと思わせる。って偉そうに言って…

まあだだよ

★★ 1993年4月19日(月) 梅田劇場 これだけの提灯持ちに囲まれたお山の大将を演ずるには松村では線が細すぎる。又囲む連中も愚物にしか見えず、それが老年期の黒澤にダブって映画の存在自体さえも老醜の極みである。らしいと言えばらしすぎる遺作。(cinemascap…

マルコムX

★★★★★ 1993年4月26日(月) OS劇場 インディーズ作家が、いきなりこれだけのメガバジェットをきっちり物にしたことに驚愕。巧すぎて商業主義的従属と思わなくもないが、紛うことなきリーの魂の執念には完膚無きまでに打たれる。人は人生で何度かは正面からも…

マイノリティ・リポート

★★★ 2002年12月16日(月) ナビオTOHOプレックス1 プリコグによる予知が、ああいう具体的映像になる発想をした時点で負けてる。それをパズルみたいに絵解きする様は子供っぽすぎて萎える。喪失感を薬で埋める虚無感がもっとハードに突き抜けて欲しいし、…

マッスルヒート

★★★ 2003年3月10日(月) ホクテンザ1 どうにも甘ったるいおぼっちゃん顔で損しまくりのケインだが、さすが体技は半端じゃないね。オリジナリティ皆無だが米近未来B級アクションをそれなりに日本に移植して悪くない。哀川・加藤・金子3人のキャラも良く立ち…

㊙女郎責め地獄

★★★ 2003年5月14日(水) 東梅田日活 生きた鯉を相手にイッて見せる根性には感動はしたが、中川梨絵の台詞棒読みな大根ぶりは矢張り致命的に思う。盲目少女に対する思いと揺れ惑う脱出願望とのリンクが未整理でラストがはじけない。凝った美術や撮影、インサー…

マトリックス リローデッド

★★★ 2003年6月24日(火) 梅田ピカデリー2 脳味噌にプラグ差し込みデータを送り込めばスーパーマンの出来上がりというのは設定だから我慢しても拮抗すべき現実世界が馬鹿踊りと青い純愛で表象されるしかないのならどうしようもない。100人のスミスに至って…

真夜中乙女戦争

★★ 2022年2月24日(木) TOHOシネマズ梅田7 システムから弾き出された鬱屈した思いが世界の破壊願望に繋がる過程で、そのシステムの圏外で女の子(先輩)と刹那な✖️✖️みたいな展開に、ふと何となくではあるが思い浮かんだ映画が「新宿泥棒日記」。 もち…

マイ・プライベート・アイダホ

★★★★★ 1993年12月19日(日) みなみ会館 過去から未来へと連綿と続く孤独ロードを描くにリバーの刹那が相乗され哀切極まりない。しかし、これはむしろサントの実験意欲が随所でサビを効かせ、2作目にして行き着いた感を醸す無比なる完成形。その後が出し殻に…

マトリックス レボリューションズ

★★★★ 2003年11月18日(火) 梅田ブルク7シアター6 それはさておきとりあえずとでも言うべき大山鳴動鼠一匹な結末にしても、かくはともあれ虚しき脳内世界から現実世界に帰結した展開が何故か安心。遥か上方のドーム天井を穿って侵入する蛸機械の群れの圧倒的…

マッチ工場の少女

★★★★★ 1992年4月21日(火) シネマヴェリテ 予想を超えた不幸の連鎖に対するに、生態観察するが如き視線の冷淡だが、そこはかとない微妙なユーモアが感じられる。そこがブレッソン的冷徹と差異化する。日常的地獄を越境して達する更なる次元。そのことを描くこ…

真夜中の虹

★★★ 1992年8月1日(土) アクア文化ホール エッセンスが網羅されており、淡々としてるが飽きない…のではあるが、数年後に絶対領域に突入するカウリスマキの未だ削ぎ落とし切れぬ思いが、磨きの足りぬ工芸品のように作品の輪郭を曖昧に曇らせている。(cinemasca…

真夜中の弥次さん喜多さん

★★★ 2005年5月14日(土) 梅田ブルク7シアター7 ファッションとしての60年代米カウンターカルチャーのパロディならムカつくが、ドラッグ依存下の「愛」への妄信的確信とトリップによる表面構造の破壊が一貫し、これは結構本質を衝いている。これをノンシャ…

マジック&ロス

★★★ 2021年12月20日(月) シネヌーヴォ✕ 女の子2人のフシギ譚はワンピース姿のサラサラ黒髪のイメージがダブり岩井俊二かと思わせるワールドだが、演じてる2人はアジアインディーズのミューズと謳われた杉野希妃と「息もできない」のキム・.コッピなので…

マニカの不思議な旅

★★★ 1992年10月3日(土) 毎日文化ホール 超現実的な物語にせよ、宗教教義のテーゼにせよ、これ見よがしに語らないのは素直で奥ゆかしいとも言えるし深いと言えるかもしれないが、芸が無いとも言え換えられる。微妙な年齢の少女は自分を探求するには子供で無垢…

マインドハンター

★★★ 2006年8月12日(土) 新世界国際劇場 そこまでやるかという納得性が欠如しているからシラける。混沌の彼方に物語を押し込めることもなく無理矢理に整合性を求めて自ら破綻した感じ。シンプルを突き詰めてこそ諧謔を見出すハーリン演出も結局はシナリオに…

マリグナント 凶暴な悪夢

★★★ 2021年11月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ10 やたら評判良いみたいだが、それは、ホラーの枠を越境してジャンルがフュージョンすることが理由みたいで、でもそれって結局はホラー味が低下して怖くなくなるってことじゃねえ? まあ、面白けれ…

マッチポイント

★★★★ 2006年9月19日(火) 梅田ガーデンシネマ1 何も今更と思う「罪と罰」現代版焼き直しを何の捻りもなく提示されてもとも思うが、敢えて言うなら米片田舎と英上流階級の文化と階級の相克をこそ提示したかったのではないだろうか。何をやっても巧いのだが…

護られなかった者たちへ

★★★ 2021年11月2日(火) 梅田ブルク7シアター7 大災害があり、その最中にさまざまな因果がある。そして、9年のちに殺人事件がおこる。なんとなく、こう書いていて「飢餓海峡」と物語の構図が似てるなと思いました。 大災害は3.11で、物語は事後数日か…

マシニスト

★★★★ 2006年12月9日(土) 新世界国際劇場 何か呪術的なものを想像していたが、サイコパスの王道的展開が予想外だった。悪く言えば在り来たりとも言えるが、直球勝負で臨み気合い漲る演出には惹かれる。ベールも素晴らしいが女優2人(特にジェイソン・リー…

マリー・アントワネット

★★★★★ 2007年2月10日(土) 三番街シネマ3 従容と運命に従い局面ごとには真摯に向き合い、それでも悩み放蕩で自分を維持し束の間の安寧には身を委ねる。仏革命のワンサイドな描写に終始しようともコッポラの衒いのない素直さをこそ賞賛したい。正直キルステ…

松ヶ根乱射事件

★★★ 2007年3月16日(土) テアトル梅田1 皆それなりに状況に埋没し閉塞が閉塞のまま終わるというのは、らしいしラストは正味笑った。だが、川越美和の張っ倒したくなる偏執キャラを始めとする世界の不均衡な歪みが断片的で互いに相関し合わず喰い足りない。…

魔笛

★★ 2007年8月18日(土) テアトル梅田1 古色蒼然とした物語を半端な時代設定で脚色したことによって陳腐さは倍加された。更に哀しくなるまでの安価なCG空撮の羅列が古典を貶める。ブラナーは無邪気でノーブルなのだろうが度を超すと付き合いきれない。パ…

真昼の決闘

★★★★★ 2021年8月21日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 子どもの頃にTV放映で見てるし、フランキー・レインの主題歌のレコードも持ってました。それにしても「俺を見捨てないでちょうだい、マイダーリン」の曲が、これほど四六時中かかってるとは思わ…

マカロニ・ウエスタン 800発の銃弾

★★★ 2008年2月16日(土) トビタシネマ そんな収束への伏線張ってないやろ…とも、ギャグが不発で糞詰まりや…とも、ガキ視点の語り口が鬱陶しい…とも他色々思うが、一方で乱痴気の狂騒の魅惑やパロディックな決闘のマジ度合いや色っぽい姉ちゃんやら棄てがた…

マイ・ブルーベリー・ナイツ

★★★★★ 2008年4月19日(土) TOHOシネマズ梅田5 青臭いセンチを無邪気なまでのゴリ押しで貫く『恋する惑星』の頃と変わらぬ一貫した世界観に清々しささえ覚える。最初はウザいだけのノラ・ジョーンズがキュートな女へと変貌する様に物語的担保はシンプル…

魔術師

★★★ 1978年10月8日(日) SABホール トリッキーで暗喩に富んだ最高の設定で演出もここぞとばかりに怪奇趣味を惜しまないが、反権威を謳うのに搦手から行きすぎてにどうにも統一感がなくて徹底してない甘さがある。それがベルイマンの複層性なのだろうが哄…

マダム・スザーツカ

★★★★ 1990年1月27日(土) セントラル劇場 スザーツカのポリシーが理解は出来ても共感を覚えないので余り感銘も無いが、キュートなファニーフェイスから米国版丹波哲郎と化したマクレーンの他を寄せ付けない頑固一徹振りは哀しくも役に合ってる。地味な題材だ…

魔女の宅急便

★★★★ 1990年2月25日(日) 八木館2 異形である孤絶感は封じ込められるのに異郷での孤絶感は前面に出す。二重構造の孤独の背景にはユーミンではなく荒井由美が的確。冒頭の微かに聞こえる風やアナログなラジオの声。音の凝り方や飛翔感の素晴らしさ。だが、ス…