男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【ま】

魔女の宅急便

★★★★ 1990年2月25日(日) 八木館2 異形である孤絶感は封じ込められるのに異郷での孤絶感は前面に出す。二重構造の孤独の背景にはユーミンではなく荒井由美が的確。冒頭の微かに聞こえる風やアナログなラジオの声。音の凝り方や飛翔感の素晴らしさ。だが、ス…

マーキュリーマン

★★ 2008年9月13日(土) 新世界国際劇場 正直、こんなんではタイにはトニー・ジャーしかおらんのかと思われても仕方ないだろう。マーキュリーマンの哀しいまでのアメコミ仕様と廉価なCG細工。チベットシーンは曲がりなりにも気合いが感じられただけに惜し…

マリア

★★★★ 2008年11月22日(土) トビタシネマ 今更の題材だが、相互信頼を醸成する道行きとして、又運命に導かれる三賢人との従容たる邂逅として構成し、ロケ選定の的確な効果を含め確信に充ち物語に正対している。その強度を買う。役者も皆慎ましやかで良い。(c…

マジシャン・プレスト

★★★★ 2009年1月9日(金) 梅田ブルク7シアター4 アレックもプレストもカートゥーンの常道キャラだし、4次元的小道具も殊更に目新しくもないが、見せ方が秀でてるのだ。卑近な事象から加速しつつ一大カタストロフへ至る1幕のショー。快感神経を刺激するウ…

㊙色情めす市場

★★★★★ 1990年10月14日(日) 十三ロマン 2002年9月26(木) 東梅田日活 母娘の確執という閉じた世界は、破綻して爆死する者たちと並置されて浪花ど根性的な生の讃歌へ反転する。舞台の釜ヶ崎・安藤のモノクローム・芹の虚無と台詞廻しの3者が密接不可分な領域で…

また逢う日まで

★★★ 1990年11月4日(日) 日劇シネマ 孤絶した2人の純粋恋愛映画として成立させれば良かったのに、多くのしがらみを説明的に注釈することで絶対純度を放棄してしまった。ただ、古色蒼然としたメロドラマの作劇術の強度は捨て難く、久我美子がとんでもなく初々…

まむしの兄弟 二人合せて30犯

★★ 1990年10月27日(土) トビタ東映 シリーズでこれしか見てないが正味つまらない。馬鹿で単純で乱暴だが本当は気が優しいというキャラは文太の本懐だろうが、そこに亡きおっ母さんネタが加わりベタ2乗でしんど過ぎ。安い工藤演出も緩さを上塗る。ひたすら脳…

マックス・ペイン

★★★ 2009年6月27日(土) 新世界国際劇場 雪と雨が降りつのる哀しみのダークシティ。そのムード醸成は良くムーアの演出はカッティングのエッジも立ってその力量はは買うが、余りに物語が底浅でドンパチも抑制され間延びし過ぎ。オルガ嬢の退場も早すぎ姉妹の…

マイ・フェア・レディ

★★★ 1976年8月22日(日) ビック映劇 この映画の不幸は虚構世界で華咲いたミュージカルがリアリズムへ移行する時期に製作され、一種の時代錯誤感を反転させ完遂させる「今」を老キューカーに望み得なかったことではなかろうか。(cinemascape) kenironkun.hat…

マイライフ・アズ・ア・ドッグ

★★★★ 1989年11月19日(日) セントラル劇場 不幸な少年の物語は映画の世界では山ほどあるのだが、これは彼の独白台詞が随所に出てきて幼気なのに必死で自分を鼓舞するのだ。そこが泣かせる。多くの変人が彼の気を紛らせ救うのだが、とりわけボーイッシュな女の…

マイケル・ジャクソン THIS IS IT

★★ 2009年11月4日(水) 梅田ブルク7シアター6 予め準備された材料でないだけ料理人の腕が試されるが、貴重な残存フィルムに既存コンサート映像をリミックス。レアな食材が裏通りのラーメン屋で調理されたかのよう。2カメで貫徹された「ビリー・ジーン」…

マンディンゴ

★★★★★ 2021年4月24日(土) シネリーブル梅田2 俺はある方面の人たちが評価するようにはリチャード・フライシャーの何が良いのかてんでわからない人間ですが、これには参りました。 ある意味、佐藤純彌の「私設銀座警察」や山下耕作の「総長賭博」みたいな…

街の上で

★★★★★ 2021年4月19日(月) テアトル梅田1 今泉力哉の映画にとんと興味がなく、「愛がなんだ」がヒットしてたとき、一応見とこかと映画館に足を運んだことがあるが、溢れ返った女性観客に怖気付いてすごすご帰りました。 その後、多部ちゃん目当てで「アイ…

マリリンとアインシュタイン

★★★★ 1987年2月2日(月) サンケイホール こうあって欲しかったという異世界から見た夢幻のアメリカン・フィフティーズ。殊更に何が語られるでもない。クリアでシャープな構成と映像の威力を駆使したローグの憧憬があるだけだ。わけてもカーティスのマッカシー…

1000年刻みの日時計 牧野村物語

★★ 1988年11月13日(日) 長崎教育文化会館 『養蚕篇』も『古屋敷村』も見てないので正当な評価には至らないのだと思うが、唐突に挿入される「過去の物語」は何故に村人達の伝承口述では駄目だったのだろうか。若しくは村人達自身によって演じられるものでは。…

マイマイ新子と千年の魔法

★★★★ 2009年12月8日(火) なんばパークスシネマ3 「ハイジ」で「トトロ」で「まる子」な新リミックスバージョンかと半ば嘗めていたら急転直下に時間が転がり出す。子供時間の流れは何と速く非情なまでに全てを切り捨て忘却の彼方に捨て去っていくのか。切…

マルサの女

★★★ 1987年2月15日(日) 友楽会館大劇場 国税査察官を主役にノワールを撮ったのは意外ではなく、せっかくな設定なのにノワールしか撮れなかっただけだ。加えて、ビジコンは現場の効率を上げこそすれ試行錯誤の意外性から映画を封殺する。アップとミディアムだ…

マクベス

★★★★★ 1987年12月20日(日) シネマ温劇 ラストはこのときのポランスキーの心境を伺わせる陰惨なまでの悪夢的描写。完全に彼岸の縁に立った男にしか成し得ない代物。血塗られた物語が痛々しい。ギルバート・テイラーの見る者を冒頭から圧倒的に世界に吸引する…

マッドマックス サンダードーム

★★★ 1986年1月19日(日) 大毎地下劇場 かの『SW』シリーズが第3作にしてイォークを出して大衆に迎合したような腑抜けぶりが本作にも感じられる。悪も善も知らぬ存ぜずのミーイズムこそがマックスの本懐であるはずなのに、凡ヒーローに成り下がった哀しさ。…

満月の夜

★★★★ 2010年3月24日(水) 梅田ガーデンシネマ1 身勝手なクソ女と底浅の凡夫どものグダグダ芝居ではあるが、見果てぬ欲望の果てに虚無しか無いことに気づく満月の夜以降、依るべなき生き地獄に叩き落とすロメールの非情。断罪とも言える突き放しは『酒とバ…

マイレージ、マイライフ

★★★ 2010年4月8日(木) TOHOシネマズ梅田9 全米を縦横に渡り歩く主人公の首切り請負人としてのスキルの程が今いち呈示されぬまま、物語の世界観がどんどんミクロ化していく。ゲスな大風呂敷を広げるよりマシではあるが、どうにも切なく侘びしい。そう…

マルタの鷹

★★★★ 2021年2月28日(日) プラネットプラスワン 長らく脇役専門だったボギーの主演昇格第2作であり脚本家ジョン・ヒューストンの監督昇格第1作ということで、そういうことだから、おそらく低予算だったのだろう。ほとんど室内で展開するし、その室内も探…

瞬 またたき

★★★ 2010年6月23日(水) 梅田ブルク7シアター3 喪失された記憶をめぐるサスペンスな味付けは、中途から大塚寧々を必要以上にピックアップすることで拡散し強靱なベクトルは消失された。半端と言うしかない脚本だが磯村演出は端正で抑制されている。尚景子…

瞼の母

★★★★ 2010年6月26日(土) 新世界東映 序盤は緩いのだが、忠太郎が江戸入りしてからは神懸り的に締まってくる。特に浪花・沢村・木暮と3連チャンされる錦之助との相対芝居はローアングル・ワイド構図・長回しの圧縮濃度に演技が拮抗し国宝級。だが終盤は又…

マチェーテ

★★★ 2010年11月20日(土) 梅田ブルク7シアター1 『キル・ビル』の裏返しで始まった物語は、導入はゴアな描写も冴えて絶好調であるのだが中盤以降は『デスペラード』的に急速に停滞していく。越境ネタを描くにロドリゲスは「こっち側」に居るべきじゃない…

麻雀放浪記

★★★ 1984年10月21日(日) 奈良東映 傑出した場面も少なくなく役者も皆良い。が、どうにも喰い足りない。破滅型のアウトローばかりが出てくる中で真田だけが、こっち側に居る。それがそのまま和田誠のスタンスに通じるのが透けて見えるからだろう。どっち側か…

マイ・バック・ページ

★★★ 2011年6月11日(土) なんばパークスシネマ3 本流の片隅で隠花の如くに朽ちるしかない物語なのだが、ダメなことを追求するでもなく自己憐憫にすすり泣くナルシズムにはゲンナリする。ただ、時代描写の類を見ない充実とエドワード・ヤン的湿度と粘度の汎…

マッドマックス2

★★★★★ 1983年5月28日(土) 伊丹ローズ劇場 ミディアムからロングに至るショットの往還が破綻ないリズムで統一され、その中で中世と近世と近代と近未来が歪つに混合された挙句に現出したパラドックスな世界観。しかも、ロマンティシズムと侠気と執拗なまでのチ…

★★ 1983年6月1日(水) トーエイ伊丹 所詮は女視点か男視点に搾らないと見る者は戸惑うばかりだろう。増村版で出尽くしたであろう原作エキスを現代劇として再構築する気概は、あったかも知れぬが悲しいまでに上滑りしていて低俗化。見るのも痛ましい。リメイク…

魔女がいっぱい

★★★ 2020年12月4日(金) TOHOシネマズ梅田3 俺は、ゼメキスの映画で何が1番好きかと聞かれたら、「バック・トゥ・ザ・フューチャー」なんかじゃなく「永遠に美しく」と答えるヒネた人間なんで、これにも同じ匂いを嗅いで見に行きました。デル・トロと…