男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【み】

南十字星

★★ 1982年5月30日(日) 伊丹ローズ劇場 根本的に見せ場に欠ける。史実を描くに総花的=ダイジェストになる日本映画の悪癖を相変わらず踏襲してゲンナリ。そもそも性善説に立ちすぎているので人間ってこんなに単純なものなのかという疑問がついて回る。結果皮…

皆殺しの天使

★★★★★ 1982年7月21日(水) 三越劇場 「皆殺す天使」に魅入られた「ブルジョワ」へのブニュエルの愛憎が初期の尖鋭な前衛と後期の豊穣な諧謔の過渡期に絶妙の均衡で融合された最高到達点。形而上のアイデアは数多の具象な設定を伴い初めて真の輝きを獲得する。…

密告・者

★★★★ 2012年8月11日(土) トビタシネマ イヌの妹への又ボスの情婦への想いと、刑事のイヌへの思いと元妻への想い。暴力まみれの殺伐な泥沼の中で4つの想いの真摯で衒いがないことに打たれる。中でもイヌと情婦の成り行きに導かれた道行は行きつくとこまで…

三島由紀夫VS東大全共闘 50年目の真実

★★★★ 2020年5月30日(土) 大阪ステーションシティシネマ10 若松孝二が、三島由紀夫の最後の数年間を描いた「11・25自決の日」って映画でも、この東大での全共闘との公開討論は少しだけ出てくる。だが、井浦新扮する三島のヘナヘナアジテーションだけ…

乱れ雲

★★★ 1982年11月4日(木) 新世界東宝敷島 交通事故や補償といったリアルに同時代的な材料がひっかかる。もどかしいまでの切なさがシビアな現実に浸食されていく。何も古典的な浮世離れを信奉するわけでもないが、終止符を決定する材料も深淵とは言えない。(cin…

ミロクローゼ

★★★ 2012年12月11日(火) テアトル梅田1 正直、ほとんどスベってる感じ(特に熊谷ベッソン篇は痛々しい)なのだが、ゴリ押しな釣瓶打ちで退く間なく持ってかれる。見果てぬ「愛」への渇望がテーマらしいが、どうでもいいとしか思えぬのがいじらしくキュー…

ミッドサマー

★★★★ 2020年2月29日(土) TOHOシネマズ梅田3 前作「ヘレディタリー」を見逃しているのでアリ・アスター初見。なんでも、ポン・ジュノが選んだ注目監督20人に入ってるそうな。 【以下ネタバレです】 終わってみると、なんやねんこれしょーもなーって…

蜜蜂と遠雷

★★★★★ 2019年10月17日(木) 大阪ステーションシティシネマ11 原作未読だが、物語を語るに妥協しないし、骨子がブレない頑強さを感じた。 言わばこれは、3人の天才たちの数日間の物語なのであるが、彼らは社会から孤絶することに何の疑問も持たないし、そ…

宮本から君へ

★★★★ 2019年9月27日(金) 梅田ブルク7シアター2 原作漫画は未読だし、TVドラマも未見なので、この映画のテイストが原作と違うのかは判断できません。 が、劇場で予告篇を何度か見て見たいなとは思っていた。 そこから受ける印象は、ハイテンション野郎…

密告の砦

★★ 1980年4月12日(土) SABホール 象徴的表現がシンプルに過ぎ説明的修辞が皆無なので予備知識が無いとお手上げとなる。圧政への怒りをこめたレジスタンスの方向性は拡散し隠隠滅滅たる内部分裂に終始。これでは退いた視座と言えども余りに救われない。円…

★★★ 1980年9月13日(土) SABホール 対比されるべく書き込まれた粗暴や狡猾と無垢や慈愛が極北的に配置されたのは解るが、クインとマシーナが余りに線上から逸脱し無さ過ぎでキチキチでしんどい。ベースハートが逸脱のキーマンだったが力量が無く物語もその…

岬の兄妹

★★★ 2019年3月10日(日) テアトル梅田1 絶賛に近い評価を得ている。 ポン・ジュノと山下敦弘の助監督を経てデビューという分厚い経歴の片山慎三の処女作。 期待は最高潮であったが…。 シビアな現実の直視にせよ、ブラックな笑いにせよ甘いと感じました。 …

蜜の味

★★★★ 1980年4月20日(日) 大阪科学技術センター大ホール 彼女には境遇を外部と比較する余裕もない。マイノリティな世界での安息も許されない。ただ直面する現実には向き合い逃げない。子供達のささやかな花火を見て束の間のささやかな感動を胸に生きていくだ…

ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

★★★ 2014年7月14日(月) トビタシネマ 歴史の暗部に居座る老人たちが何をしでかし隠そうとしてるのかが今いち見えないまま、物語は又も変態医者のリスベット虐待話に収斂していくので釈然としない。エピソードは豊富で個々に見ればけっこうイケてるので、長…

ミスター・ガラス

★★★★ 2019年1月19日(土) TOHOシネマズ梅田6 【ネタバレありです】 「アンブレイカブル」の続篇だってことは知っていたが、「スプリット」も連関してるってのは何分未見であるので知る由もない。 まあ、それでも面白かった。 筋としては、いまさら言っ…

見えない恐怖

★★★★ 2018年12月22日(土) プラネットスタジオプラスワン 冒頭、タイトルバックのエルマー・バーンステインのパンチが効いた音楽にやられる。 のだが、まあ、変質者の殺人鬼に盲目の女性が追い回される。 ってんで、「暗くなるまで待って」を否が応にも想起…

ミレニアム2 火と戯れる女

ひ ★★★ 2014年7月4日(金) トビタシネマ リスベットが主戦に躍り出たので脇から事件をウォッチするのでなはくなりキャラのカリスマが消失したし、前半を牽引する少女買春は具体的に描かれることなくインパクト乏しい。しかし、淡々として出張らない演出は手…

民衆の敵

★★★ 2018年10月6日(土) プラネットスタジオプラスワン 開巻すぐ、写真つきで登場人物がクレジットされるのだが、ちょっと珍しい。 しかし、それでもどうやろか、これはジャンルのオリジナルではあるんだろうが矢張り単線構造の物足りなさは否めないように…

港町紳士録

★★ 1979年8月4日(土) ダイニチ伊丹 衝動も激情も悲嘆も全て「人情」世界の微温で塗り固める松竹伝統の呪縛に捕らわれ毒にも薬にもならないヘタレ作を連作した70年代『男はつらいよ』併映作の中では捻らず直線構造な分マシな方かもしれない。吉幾三がアクが…

ミッション:インポッシブル フォールアウト

★★★★★ 2018年8月12日(日) MOVIXあまがさき11 冷静に考えれば出来すぎやんと思ったりもする。 しかし、肉体を酷使することを厭わず誠心誠意のマックス値をスクリーンに刻もうとする意志。 それが、不可能作戦の遂行を茶番に見せないのだ。 CGに依…

Mr.& Mrs.スミス

★★★ 2015年1月27日(日) トビタシネマ 連綿と軌跡を重ねてきたアメリカンカップル・オブ・イケてるセレブものの常道を1歩も踏み越えるものではないが、「非情」エッセンスが適度に加味されキャメロンやハーリン以後を感じさせる。楽しんじゃってる感も一応…

味園ユニバース

★★★★ 2015年2月15日(日) MOVIXあまがさき11 主人公の妥協の無い糞野郎ぶりが良く、すばるの遊びの無い生硬さがその余裕ない歌唱を含めマッチしてる。堪らぬ寂れ感を漂わすロケ選定も素晴らしい。ただ、終盤が完全に投げたように思え、シュール逃げも芸が…

ミスター・グッドバーを探して

★★★★★ 1980年12月5日(金) ビック映劇 1981年7月3日(金) 梅田ロキシー 見え透いた扇情的題材に見えるが、軽やかにニュートラルで、故に描かれる孤独も抜きんでる。息つく間もないカッティングの冴えは自走しシュールな時制の垣間からドッペルゲンガーが顕現す…

ミッション・インポッシブル ローグ・ネイション

★★★ 2015年8月19日(水) 大阪ステーションシティシネマ2 何だかスパイ大作戦から行路を経て007に行き着いちまったみたいな今更言うのもなんだが虚しさを感じるのはスペクターみたいな大雑把な敵役のリアリズム。最高ランクのレベッカを得ながら野郎同…

未来は我らのもの ドイツ革命とリープクネヒト

★ 1978年3月26日(日) SABホール 共産圏にあった東独時代の作品なので教条的革命礼賛と愚直で面白味のない人間描写が鼻につく。しかも、局地的・限定的な内容でドイツ革命についてのある程度の事前学習がないと物語の進捗は理解困難。為にするプロパガンダ…

密偵

★★★ 2017年11月23日(木) シネリーブル梅田2 敵に与する男と、敵に抗する男の確執。 やがて生ずる友情とシンパシー。 といったノワールな骨子は良い。 のだが、どうも一直線に行かない。 互いが腹に一物の飲み明かしでベロ酔いになったふりで、別れた途端…

ミックス。

★★★★ 2017年11月2日(木) TOHOシネマズ梅田2 ガッキーの貧乳がそそります。 以上。 で済ませたいが…。 で、こんな映画に★4つける俺もどうかしてるとは思うのだが…。 しかし、男子として生を受けた日本国中のオスどもで、ガッキー嫌いって奴はまあ多分いな…

未知との遭遇

★★★★ 1978年3月31日(金) OS劇場 1981年2月10日(火) 伊丹グリーン劇場 メキシコの砂漠から幕を開けた映画は世界各地の異変を大スケールで点描し続けるのに結局、物語は局地的なマニア集団に収束される。所謂普通の人々は殆ど登場しないという超絶に閉じた世…

ミケランジェロ・プロジェクト

★★ 2015年11月20日(金) TOHOシネマズ梅田5 贔屓筋が雁首揃えたが救い難い弛緩ぶりだ。生死と臨界にある前線の後方で悦楽任務に勤しむ彼らのその是非に無自覚な作り手が仲良し倶楽部で垂れ流した残骸。クルーニーは好漢だが謙虚になるべき。ケイトとデイモ…

ミッドナイト・エクスプレス

★★★★ 1979年3月16日(金) 伊丹グリーン劇場 政治的リアリズムは偏向を介在させるが、一方で切実な迫真性をももたらす。理不尽地獄が及ぼすマインドコントロールに折れつつ偶さかな一縷の反駁心がもたらす陽光。それは映画館を出て感じた眩しさに強烈に同期し…