男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【よ】

汚れた英雄

★★ 1983年1月12日(水) トーエイ伊丹 削ぎ落としたのではなく描ける内容が限られてるから無機的になった。結果的に女をこますこととバイクを走らせることという事象に特化して純粋映画になることもできたろうに哀しくも角川の精神支柱はどうしようもなく浪花…

八日目の蝉

★★★★★ 2011年5月28日(土) 梅田ブルク7シアター3 今更コンセプトの作劇かと思うそばから拡散し逸れていく展開を要所で締める小池や余の重石としての存在の快楽。その役者陣の間隙を貫く若き井上真央の圧倒的スーパークールな佇まいこそ肝だろう。ベタにな…

48時間

★★★ 1983年11月12日(土) 阪急シネマ キャラの設定に過剰さが足りなく過不足なさすぎで物足りない。「白と黒」「重と軽」「暗と明」といった設定は使い回されたコンビネーションなのだから、満を持してのマーフィ登用なら更なる劇薬たり得てほしかった。ヒル…

弱虫ペダル

★★★★ 020年8月21日(金) 梅田ブルク7シアター4 全篇の2/3くらいをロードレースのシーンに費やしている。ほとんどのシーンで被写体が走り続けるわけだから、いやが応にも画面は躍動し続ける。これはシュアな選択だったと思う。 アニオタ道がスッパリ削…

夜の大捜査線

★★★★★ 2012年8月25日(土) TOHOシネマズ梅田10 古典的正確さから遠いがジュイソン演出の味は今もってキュート。白眉は荘園主訪問のシークェンス。露骨な作為が周回してど真ん中を射る。背筋の伸びたポワチエと屈託を抱えた猫背のスタイガー。2人の反…

夜は短し歩けよ乙女

★★★★★ 2020年6月12日(金) TOHOシネマズ梅田4 湯浅政明、初見です。 この映画、3年前の公開時に見に行って開始数分前まで席に座ってたんですが、やむを得ない電話が入って退席しました。 もし、あの時見ていたら「ルーのうた」とか「きみ波」とかも見…

横道世之介

★★★★ 2013年3月23日(土) 大阪ステーションシティシネマ7 世之介のキャラは強固な太陽ではなく周囲の偏向キャラに照射され追憶に光を留める月光として介在するのが良くも悪くも吉田修一的。濃密な80年代の空気と吉高の愛くるしい笑顔で十二分に持ってい…

ヨコハマBJブルース

★★★★ 1981年6月3日(水) トーエイ伊丹 優作の思い込みが高結晶化し日本映画に馴染まないチャンドラー的乾いたハードボイルドを現出させた。物語に大した意味など全く求めぬ中、同類項裕也と浸りきって演じる2ショットはスゲーの一言。全篇スタイリッシュで格…

用心棒

★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 一塵の風と共に仲代登壇以降はヒリヒリする腹の探り合いが物語を引き締めるのだが、相対する勢力のバカさが黒澤流カリカチュアの形骸を露呈する。切り落とされた腕を犬が銜えて走る町にしては荒みが足りないのだ。既…

よこがお

★★★★★ 2019年7月29日(月) テアトル梅田1 煎じじ詰めれば、ストレートな受難譚であるし、前々作「淵に立つ」の浅野のような理解不能の怪奇人物が登場するわけでもない。 だが、全篇を覆う不穏な空気の濃密さは抜きんでていると思う。 正直、俺は途中まで時…

醉いどれ天使

★★★ 1981年9月13日(日) 新世界東宝敷島 三船も山本も格好つけ過ぎで本物のヤクザには見えない。大体、自滅しゆく男は放置すればいいのであってヒューマニズムの医者は余分だし多分に形骸的。闇市セットも造形美には遠く、ましてや独表現主義的幻想シーンのチ…

夜明け

★★★ 2019年1月19日(土) シネリーブル梅田4 そもそもに、川っぺりで倒れていた青年を見つけて家に連れ帰って介抱しようとするってのに違和感。 現代の日本で普通はそうしない。 119番にTELするだろう。 まあ、それは訳があったってことなのだが。 こ…

夜霧の恋人たち

★★★ 2015年1月6日(火) 第七藝術劇場 自伝的なるものから飛躍し描く青年期のドタバタが喜劇として突き抜けてるわけでもなく教養小説的に真摯に内省的でもない。煎じ詰めればドワネルものが性に合わないだけかも知れないのだが。一方クレルヴァルの撮影はク…

夜の浜辺でひとり

★★★ 2018年6月22日(土) シネリーブル梅田4 女性の主人公と振り回される周囲を描いている。 そういう意味でホン・サンス系譜上では「ソニはご機嫌ななめ」の変奏バージョンに見える。 酒を酌み交わしのグダしゃべりがシネマ・ヴェリテ風の逸脱と自走を始め…

予告犯

★★★★★ 2015年6月21日(日) MOVIXあまがさき3 恵梨香の絶句を機に世界は転倒した。『ショーシャンク』を掠り遥かキャプラまで敷衍したかの如き映画構造が大甘にせよ行き場無き時代を照射するには必要な気がする。格差やネットを巡る描写は浅薄だが追跡劇の…

夜の儀式

★★★★ 1978年10月8(日) SABホール 土壇場での攻守の逆転というモチーフは『魔術師』から10年を経てTVという枷の中で凝縮された。「様式」と「室内」という基調に刹那的に差し込まれる「リアリズム」と「屋外」がニクヴィストの撮影で煌めく。それにし…

四十挺の拳銃

★★★ 2016年1月9日(土) プラネットスタジオプラス1 男たちの能天気な入浴シーンや何故かの歌曲挿入の何も考えてなさ気の天然の一方、棄てられ男の顛末やラストガンファイトの容赦の無い残虐嗜好。その混在にどうにも性格分裂気味の居心地の悪さがある。4…

夜に生きる

★★★ 2017年6月5日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 ものすごく、とっ散らかった物語だ。 大体、この主人公、もひとつ背骨が通っていない。 俺は指図を受けたくねえと言いつつ、あっちの親分こっちの親分と蝙蝠よろしく行ったり来たり。 悪いことしまく…