男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想【わ】

我が至上の愛 アストレとセラデン

★★★ 2009年2月21日(土) テアトル梅田2 牧神の午後的アンニュイと神話性を伴い老練な無駄のない闊達さで物語は進むのだが、肝心のギアが何時までたっても入らない。で、あろうことかシェークスピア的女装ネタに突入。もうドン退きとなってしまった。リアリ…

ワンダとダイヤと優しい奴ら

★★ 1989年5月7日(日) 長崎宝塚劇場 ワンダが旧来の映画的ビッチとしてはミスマッチであり、他の優しい奴らも正直キュートじゃない。外す基軸がブレて何処で笑えばいいのかさえ俺には見えない。何が面白いのかさっぱり…。単に俺が馬鹿なのだろう。(cinemascap…

ワルキューレ

★★★ 2009年11月7日(土) トビタシネマ 異形となり世界に背を向ける。なるほど『Xーメン』にも通底するブライアン・シンガーらしい被虐感。一方で確定された結末へ向け消えゆくカタルシス。シナリオはそれに代わるものを見出せていない。正か負かへの舵取り…

ONE PIECE FILM STRONG WORLD

★★★ 2009年12月13日(日) 梅田ブルク7シアター6 定番とも言える奪回劇は悪くもないが、溜めが無いのでお座なり感が横溢する。TVのウォーター7のエピソードの佳境に比すれば自明ではなかろうか。又、ギア2ndとかギア3rdとか促成解決な技のうんざり感…

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・アメリカ

★★★ 1985年1月6日(日) 戎橋劇場 イタリア人のレオーネが撮るユダヤ移民たちの「あめりか昔話」には、当然であるが史的蓋然性は欠片もない。阿片を吸ってノスタルジアに耽溺する主人公に同期する演出はダダ漏れの情に塗れていく。深みのある撮影と素晴らしい…

藁にもすがる獣たち

★★★★ 2021年2月23日(火) 梅田ブルク7シアター2 多数の登場人物を捌く手際と骨太な演出である。新人キム・ヨンフンの名は覚えといていいだろう。 そう言ったうえで、これは韓国のこの手のジャンルムービーの「新しき世界」や「アシュラ」などの傑作に比べ…

わたしの叔父さん

★★★★ 2021年2月8日(月) テアトル梅田2 タイトルから受ける何となくのほほんとしたイメージとは相当に違う。良い方向に違っていたんですが。 何より状況を描くに徹底して真摯だし、力の注ぎ方も半端ない。そうした姿勢は、半ドキュメンタルなコンセプトに…

わたしの可愛い人 シェリ

★★★ 2010年11月6日(土) 梅田ガーデンシネマ2 終盤の2転3転の女心の移ろいが「畳み掛ける」までのダイナミズムに至らない。総体的にも冗長である。2人の変則愛が成立する寛容の時代としてのベル・エポックなのだろうが、にしても、舞台は限定され、時代…

わたしは金正男を殺してない

★★★ 2021年1月14日(木) 新世界国際劇場 事件の前、実行者に信じ込ませるために、何度もイタズラ動画の撮影を行ったとか、事件後、拘束された彼女達が裁判でどのような顛末に至ったか、など興味深いっちゃあそうなんだが。 まあ、しかし、この事件の構図は…

私をくいとめて

★★★ 2020年12月26日(土) テアトル梅田1 女性としての生きにくさみたいなのを、これでもかと自己正当化して描いてるんだけど、正直わからんでもない部分がある一方で、それでももうちょっと折り合いつけてかなあかんのちゃう? とオジサンは思ってしまいま…

わたしを離さないで

★★★★ 2011年10月22日(土) 新世界国際劇場 従容として受け入れることを彼ら彼女らに強いる享楽の世界の存在は隣接しつつも余りに遠いという隔絶の絶対性を堅持した妥協のない演出。単線構造は悪くもないのだが、しかし思うのだ。鎮魂だけが回答なのかと。反…

ワイルド・スピード MEGA MAX

★★★ 2012年4月21日(土) 新世界国際劇場 皆一応『オーシャンズ』みたいに和気藹々でノリノリモードな雰囲気を醸しだしてはいるが、肝心の映画は一向に弾けないのである。ワル度も過激度も低い。定型通りに序盤と終盤に2大見せ場を配するがキレが悪くカタル…

わが母の記

★★★★★ 2012年5月20日(日) MOVIXあまがさき4 モロ市川崑を連想させる冒頭。母と子の軋轢と融和を描くことを体裁として採っているが、寧ろ3代に渡る女系家族の数年間のクロニクルの緻密な状況描写にこそ興味があるらしいのも市川的だ。カメラアングル…

悪い奴ほどよく眠る

★★ 1982年7月14日(水) 新世界東宝敷島 黒澤流のポリティカルフィクションは結局大時代な復讐譚に卑小化せざるを得ず、しかも不味いことに気持ち悪いまでにセンチメンタルなのだ。最悪の結果になった。正は邪を正せず邪は互いに啖い合い自壊する。そういうピ…

ワイルド・ローズ

★★★★ 2020年7月4日(土) シネリーブル梅田1 ナッシュビルってそんなに遠いんかいな。 とか、思いながら見ていて、ずいぶん経ってから、えっこれイギリスの話なん、とか気づいた体たらくであります。 イギリスでカントリーシンガー目指す人ってどういう位置…

ワイルド7

★★★ 2012年8月25日(土) トビタ東映 いきなり無差別に殺しまくる悪人どもを、これ又無差別に皆殺すワイルド7の面々という出だしに知能指数の低さを感じつつ若干期待もするが、国家レベルの小悪党という半端なターゲットで物語りは矮小化。懸念した瑛太、深…

ワン・フロム・ザ・ハート

★★★★ 1982年10月8日(金) OS劇場 さして起伏ない物語であるから行間を埋める機微こそ命の世界だろうに満艦飾のセットしか術ない。『黙示録』の反動に見えて根は同じで、そういうコッポラはいじらしい。これだけの熱量を費やし行き着いた感もてんで無い。主…

若者のすべて

★★★★★ 1982年12月8日(水) 三番街シネマ2 1994年7月16日(土) ACTシネマテーク 上質の文学的大河巨編と同質の量感と感銘がある。ドストエフスキーの「白痴」からインスパイアされたというドロンを中心に完璧なキャスティングと陰影に富んだロトゥンノの撮…

藁の楯

★★★ 2013年4月27日(土) 梅田ブルク7シアター3 中盤以降も再三に屑野郎を命を賭して守ることの是非が問われるが今更感が拭えず、映画はもっと異なる命題を俎上に載せて欲しかった。新幹線の疾走感も相俟りアップ多用で護送チーム内の確執が火花を散らす前…

私が棄てた女

★★★★★ 1981年2月15日(日) ŞABホール 棄てたのは、過去や階級であり親兄弟や自分史であるという自己反省と自己憐憫の高踏的語り口の彼方から、枠を撃ち抜き自走し始める奇跡の天使小林トシエのキャスティングこそ総て。それだけに、敢えて理に落ちたラスト…

ワールド・ウォーZ

★★★★ 2013年8月18日(日) MOVIXあまがさき9 おっ広げただけではなく、有事の際の情報伝播の覚束なさと、収束への可能性を絶望的不確実性のなか探る旅路を描いた点に於いて新しい。韓国→イスラエル→スイスという地理展開にある種キナ臭さを感じぬでも…

惑星ソラリス

★★★ 1979年3月21日(水) SABホール 1984年1月5日(木) SABホール SFと言う意匠を纏ったからにはどうしてもそれなりのエフェクトを期待してしまうので、ステーションの厚みのないセット美術やソラリスの表層的な海面の造形が喪失を描きたいタルコフスキ…

ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド

★★★★ 2019年8月30日(金) 大阪ステーションシティシネマ4 タランティーノがシャロン・テート事件を映画化するって話を知ったとき俺は思った。さすがにあかんやろ。 だって、ポランスキーは、まだ生きているんやぞって。 妊娠中の妻がメッタ刺しにされて殺…

ワイルド・スピード スーパーコンボ

★★★ 2019年8月23日(金) 梅田ブルク7シアター1 ぶっちゃけ、このシリーズに興味が無いし、今まで見たのもMAXだったかMEGAだったかの1本だけです。 でも、見てなくても何だか当初のコンセプトから逸脱していってるらしいのはわかる。 ちょうど、0…

嗚呼!おんなたち 猥歌

★★ 1981年10月25日(日) ダイニチ伊丹 森崎的猥雑な女性賛歌として語られるはずだったろう世界が、神代のスタンスが定まりきれずに、虚無と狂気と阿呆と律儀を往還する内田裕也に振り回されてついてくのが精一杯に見える。ギャグが上滑りして笑えない漫才を延…

わが命つきるとも

★★★★ 1981年10月6日(火) 毎日文化ホール 命を賭しても貫く信念…なぞと決して声高に叫ぶわけでもない。家族と平穏を愛した男の編年記。厚みある美術も素晴らしいが特筆は役者とカメラ。高価な衣装で泥濘に降り立つロバート・ショウの初出シーンはとりわけ印象…

私の男

★★★★ 2014年6月23日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 「私の男」ならぬ「俺の女」的男視線に変換されたと思しき構成はヘタ打てば「飼育」ものと同質化する構造を孕む為どうにも腑に落ちない。が、2度の事件を筆頭に描写が突き放した怜悧を維持し米犯…

若おかみは小学生!

★★★★ 2018年10月23日(火) TOHOシネマズ梅田7 なんとなく評判がいいのは見聞きしていた。 しかし、あの大きなお目目の女児向けキャラデザインにひるんでしまう。 でも、一念発起して良かったと思う。 映画館の暗闇の中で俺は泣いていた。 女児向けアニ…

ワンダー 君は太陽

★★★★ 2018年7月15日(日) TOHOシネマズ梅田5 病気が題材の映画も子供がメインの映画も好みではない。 だけど、この映画は見てよかったと思った。 言うなれば一種の理想郷を描いたもの。 で、そのことを映画は観客に信じ込ませることができるかが正念場…

私はあなたのニグロではない

★★★★ 2018年5月19日(土) テアトル梅田1 アメリカに於ける黒人差別史において、殊更に新たな括目されるべき何かが呈示された訳ではない。 冒頭、原作者であるジェームズ・ボールドウィンが言われたこと。 「何をそんなに悲観的になる?随分と良くなったじ…