男の痰壺

映画の感想中心です

映画感想

ライト/オフ

★★★ 2016年9月5日(日) MOVIXあまがさき1 瞬間芸に近いワンアイデアコンテンツなのに早くにはっきり見せてしまうのが今風でドライとも思うが作劇的に疑問。で結局それが全き貞子変奏バージョンと知れた先から二番煎じ感に萎える。回避法の説得性無さ…

DOGMAN ドッグマン

★★★ 2024年3月24日(日) Tジョイ梅田5 犬のブリーダーの父親に虐待されて何年間も犬たちの檻に閉じ込められて過ごした少年の実話にインスパイアされた作品だそうだ。 であるから、実話である少年期の話はまあ幾許かの手応えはある。だが、救い出された彼…

恐ろしき結婚

★★★ 2024年3月24日(日) プラネットプラスワン ジャック・ターナー初見です。マニアックに評価されてる「キャット・ピープル」も見てません。B級のプログラムピクチャーを撮り続けてるなかで歪な個性が否応なく表出する、と言えば我が清順なんかが思い浮か…

揺れる大地

★★★★ 2017年2月13日(月) シネリーブル梅田3 ネオリアリズモの1篇と言われているのだが、煎じつめれば家族・一族の話である。 そのあたり。やっぱヴィスコンティやねと思うのだ。 この流れは「若者のすべて」を経由して「山猫」で結実するわけだ。 共産党…

ザ・ビートルズ EIGHT DAYS A WEEK The Touring Years

★★★ 2016年9月23日(土) TOHOシネマズ梅田10 キャーキャー騒いで卒倒しまくる女の子たちは時代の抑圧の合せ鏡で我が物顔の今と比し何といじらしいのか等と余りの退屈さに要らぬ事を考えてしまう。丹念に映像を集めたライブ集成としてのハワード生真面目演…

幸せなひとりぼっち

★★★ 2017年2月12日(日) MOVIXあまがさき1 スウェーデンでめっちゃヒットした映画だそうだ。 何年か前にヒットしたフランス映画に「最強のふたり」ってのがあったが、あれと同種の何かを感じる。 すごく平易な作りというのもあるが、基本はいけ好かな…

爆走!

★★ 1974年6月2日(日) 伊丹グリーン劇場 邦題『爆走!』とつけた割にはワンシーンしかないショボいカーチェイスで、よくもまあってのが御愛敬ではあるが、アリステア・マクリーンの錯綜した原作を相当に未整理で展開するので意味わからない。主演2人もニュー…

ノック・ノック

★★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際 オリジナル未見なので『ひなぎく』風味な『フェア・ゲーム』に見える。潜在的ドM願望を刺激する物語性は文句のつけようもなく2人のビッチも頃あいの下品さでナイス。自己規範に雁字搦めの幸せなど木っ端微塵に破壊さ…

担へ銃

★★★ 1975年8月15日(金) 梅田地下劇場 後の『独裁者』で巨視的・複層的な展開を見せる題材としての戦争だが、芸としてのギャグが豊富ではあるにしても手放しでは笑い切れない。傍観者的ポジションでのアプローチであって未だ怒りの萌芽は無いのだ。当然サディ…

デューン 砂の惑星 PART2

★★★★★ 2024年3月20日(水) 大阪ステーションシティシネマ9 40数年前に「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」を見て興奮したことを思い出したりした。ワイプこそ使わないまでも他局面で錯綜する物語展開のスピードと、終局の運命論的に脱構築された神話性に於…

マグニフィセント・セブン

★★★★ 2017年2月9日(木) 大阪ステーションシティシネマ5 難易度が高い企画だと思うし、そもそもこんなの監督として手掛けたいと思うだろうか。 だって今更じゃん。 そういう意味でフークワは健闘したと思う。 全篇、テイストはもうレオーネ祭りの様相だ。 …

ボーダーライン

★★★★ 2016年8月20日(土) 新世界国際 エミリーからデル・トロへの主格転倒が唐突すぎるのでバラけて座りの悪さを感じるのだが、プロット毎の緊迫は濃密で半端ない。メキシコ奥部の麻薬帝国はカーツ王国めいて、その地獄巡りは『黙示録』のようだ。ブローリ…

ブルージーンズジャーニー

★★★ 2024年3月18日(月) プラネットプラスワン 地に足つかない感じが如何にも70年代アメリカンニューシネマの裾野の隅っこ映画らしい。それは、長期化したベトナム戦争により疲弊し行き場を失った男たちを取り巻く気分とリアルだったんでしょう。本作の主…

12日の殺人

★★★★ 2024年3月18日(月) シネリーブル梅田3 映画が未解決の事件を描く場合、①独自の推測で犯人を想定する ②混迷し迷宮化する捜査に意味を付与して世界の混沌を提示する という大まかに2つの流れがあると思うのだが、本作はどちらも選んでいないように見…

アバウト・ライフ 幸せの選択肢

★★★ 2024年3月18日(月) シネリーブル梅田3 3組の男女の寸景がカットバックされる。 ①ホテルの1室のベッドで不倫らしきスーザン・サランドンとリチャード・ギア。 ②映画館で1人咽び泣くウィリアム・H・メイシーを見てどうしたのと声をかけるダイアン・…

アラバマ物語

★★★★ 2017年2月8日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 裁判で被害者の証言で良心の呵責にとらわれる様の微塵も無く狂的な呪詛が続く。 洗脳ぶりを描いて突き抜けている。 そういう美点があるにせよ、明明白白な論陣の展開はあまりに杜撰だ。 結局。被告…

お嫁においで

★★ 1976年11月16日(日) 伊丹ローズ劇場 明らかに『若大将』シリーズの後発亜流として作られたわけだが突き抜けずイジイジ感がある。東宝的明快さで語られる社会的ヒエラルキーは打破されるのでなく温存され安住へと埋没する松竹的ことなかれ主義。それを悪い…

アリスの恋

★★★★ 1976年8月21日(土) 伊丹グリーン劇場 身の程知らぬ希望に縋り付く限り男運も主人公に寄り付かない。意に沿わぬ安月給のウェイトレスが、それでも身に馴染むにつれ運も歩み寄る。労働に関する映画とも言えダイナーのシーンこそ白眉。徒労な前段だが子役…

葛城事件

★★★★ 2016年6月21日(火) 梅田ブルグ7シアター2 何かを掛け違えたまま年月が経ち狂いが増幅された時にもう取り返しはつかない。個々には皆悪くないのに…などと映画は口が裂けても言う気ない。何奴も此奴も救い難く駄目人間だと細緻リアリズムを塗して叩き…

クリーピー 偽りの隣人

★★★★★ 2016年6月22日(水) 梅田ブルグ7シアター3 戯言のマクガフィンを振り回すかの御仁並みに整合性ない歯抜けのプロット繋ぎでも豊饒な映画言語の釣瓶打ちを弄し持っていっちまう域に達したのだと思う。大学での審問のゴダール的長回しや茶番すれすれの…

ドクター・ストレンジ

★★ 2017年2月4日(土) 大阪ステーションシティシネマ4 主人公が女導師と初めて対面する場面。 その胡散臭さにやってらんねーと帰ろうとするのだが、彼女は即座に技を発揮して彼を吹き飛ばす。 簡単に見せすぎて軽ーい。 修業が始まり、なかなか修得ができ…

ザ・コンサルタント

★★★★★ 2017年1月30日(月) 梅田ブルク7シアター2 骨肉相食むとか非情とかが常道とされるジャンルにおいて300%の信頼を謳う反時代性に驚いた。 それどころか胸が熱くなった。 兄弟間の揺るぎない思いがある。 親が子を思い子は親を信頼する。 そういう…

愛のほほえみ

★★ 1976年2月1日(日) 伊丹グリーン劇場 アラン・ドロンみたいな憂愁を帯びたアレッサンドロ坊やの風情が余りに女性受けしそうで斜に構える。そんな自分の偏狭さを知らされる点でも苦い映画だ。大金持ちの御曹司って設定が又面白くなく母親でなく親爺を慕う気…

青春ジャック 止められるか、俺たちを2

★★★★ 2024年3月15日(金) シネリーブル梅田4 帰京する若松孝ニを追って新幹線に飛び乗った井上淳一が弟子にしてくれと言うとき、「水のないプール」見ましたし「俺は手を汚す」読みましたと言う。あゝこれは全く俺と同時代に同じ映画を見て同じ本を読んだ奴…

モンキー・ビジネス

★★★ 2024年3月17日(日) プラネットプラスワン 驚愕させられるのはチンパンジーの演技なのだが最初の方しか出てきません。一体どんだけ熾烈な反復練習させたら、あの薬品調合のプロセスを習得できんねん。可哀想やわ。 とまあそれはさておき、企業の新薬開…

ARGYLLE アーガイル

★★★★ 2024年3月14日(木) Tジョイ梅田4 予告篇の印象から「スーパーマン」ヘンリー・カヴィル主演のスパイもんくらいのイメージしかなかったが、いい意味で裏切られた。この予告篇のミスリード、ナイス。 【以下ネタバレです】 これは、冴えない大柄おば…

イナゴの日

★★★★★ 1977年12月11日(日) 元映 兎に角、嫌らしい奴と情けない奴しか出て来なく、悪が弱者を駆逐していく構図の先端に少年を配するという徹底振りが突き抜けている。スペクタキュラーな要素も織り込んでハリウッドへの憎悪を込めた退廃ムードが出色。(cinema…

ふきげんな過去

★★★ 2016年6月25日(土) テアトル梅田1 全篇狙ってる感が横溢し、だから?と心中呪詛を念じつつ見たが、こうまで徹底すると絶対映画に近づいたかもと思ったり。キョンキョン・ふみ共にダルさを精一杯表現するがどっか無理感がある中、脇を固める女たち4人…

破門 ふたりのヤクビョーガミ

★★★★ 2017年1月28日(土) 梅田ブルク7シアター3 まあ「ミナミの帝王」みたいな話で、ストーリーラインにさほど新味は無い。 シリーズを途中から見たような前置き無い展開が剛毅で好ましい。 関西系の役者に拘り、関西弁の丁々発止な台詞を朗々と詠ずる。 …

アイヒマン・ショー 歴史を映した男たち

★★★ 2016年10月8日(土) 新世界国際 作為を排するにしても世界が未だ知らなかったという状況をもっと打ち出さないと衝撃は無い。プロデューサーとディレクターの対立も描かれるが証人喚問の開始とともに視聴率アップで済崩しになるあたり、その程度かとも…