男の痰壺

映画の感想中心です

映画雑感

叩くのなら本元を撃て

映画「ムーラン」が人権派から袋叩きにあっている。 火をつけたのが、香港問題についての主演女優による中共支持発言で、油を注いだのが新疆ウイグル自治区での撮影の露見みたい。 もともと、この映画、今年になってから嫌っていうほど予告篇を見せられてき…

追悼 渡哲也

文太、松方、梅宮が逝って、哲までも逝てもうた…ふっふっふ、よいよ次はワシの番じゃのう、いや待て、そうか旭がおったのう、となりゃあまだまだ死ねんぜよ、考えてみりゃあ間尺のあわん人生だったが、最後はきっちり帳じり合わさねえとな、ふっふっふ…,。 …

俺のお気に入り映画 1990年代

80年代末の大納会で40000円目前まで迫った日経平均は90年代に入り反転急落に入る。失われた10年と称された年紀だが30年を経た2020年に於いても未だ半値の20000円台で低迷を続けている。そして、この先もずーっと失われ続けるだろう。 …

趨勢に流される安寧が本質を見誤らせる

菊地成孔の映画本新著「映画関税撤廃」を本屋で立ち読み&流し読みしてて思った。 この人の言ってることジーツにしっくりきます。 読んだのは主に2つの章。 「バトル・オブ・ザ・セクシーズ」と「グリーンブック」についてのものです。 前者はテニスのキン…

俺のお気に入り映画 1940年代以前

正直、このへんの年代のはあんまり見てません。40年代でリストアップしたら数も少なくあまりにありきたりで、仕方なくそれ以前のものまで遡及して括りました。無声映画時代なんてほぼ見てないので欠落しまくりですが、折角作ったもんですから出しておきま…

湧き上がるマインド

2カ月の空白を経てなんとか再起動を果たしました。 もうこのまま映画を見なくなっちまうんじゃないか、休みの日にわざわざ出かけるのしんどいの思いが俺の起動を妨げる。 あー朝から酒のんでゴロゴロしながらテレビやネット見てる方が楽やん。 それでも怠惰…

分断するシネフィル

書名は忘れたが四方田犬彦の本を立ち読みしてて、なるほどなと思ったのが、いわゆるシネフィルと言われる人種にも2種類あって、新規公開されるマイナー映画は見るが、監督や俳優で特集上映されるような過去作は見ないという層と、その全く逆の層が存在する…

俺のお気に入り映画 1980年代

1980年代とは2点で括られる年紀であると思う。ベルリンの壁崩壊に始まった欧州共産圏の体制崩壊と、日本国内に於いては政策的低金利による過剰流動性が産み出したバブルである。俺的にはモラトリアムな学生時代が終焉し社会人となった10年紀なのだが…

俺のお気に入り映画 1950年代

俺が生まれる前の10年間に何があったのかに思いを馳せることはまずないけれど、それでも朝鮮戦争を契機に東西の冷戦構造が形成された10年紀で、核開発の凌ぎあいの結果ビキニ環礁での水爆実験下での第五福竜丸被爆をもたらし「ゴジラ」が製作されたこと…

俺のお気に入り映画 1960年代

コロナについて書くのも食傷で、そんななかスコセッシのお気に入り映画とやらを見て余りの作品数の多さに途中で見るのをやめたのだが、それでも刺激されて俺のお気に入りってのを概観してみようと思いました。 だいたい、こういう企画ってのは映画をめぐる言…

映画 2019

2010年代が終わろうとしている。ミレニアムだなんだと騒いだのがそんなに昔のことと思えないのにあれから20年が過ぎたわけで、歳もとるわけだわいと、のほほんと感慨にふけるより、寧ろ最近では人の一生が有限であることが心にじわじわと浸食してくる…

映画 2018

多くの災厄に見舞われた1年であった。 1月に、心筋梗塞を発症し10日ほど入院し、予後的措置として2月にも10日ほど入院した。 俺は以前に脳梗塞も2回発症してるので何となく怪しい予感を覚えていたので、いざそのときが来ても動転することもなかった…

大杉漣

大杉漣が、いきなり亡くなった。心不全ってのは、なんかよくわからん死因のとき、汎用的に使われる。たまたま、俺も入院中で、毎日、夕方の再放送の「科捜研の女」と「チーム・バチスタ」を見てて、どっちかで、そんなことを言っていた。何でも、最初は腹痛…

映画2017

晩春の頃だったと思う。 CinemaScapeというサイトのコメンテーターと飲んだ。 おっさんばっかり4人。色気もくそもないのだが、一種の腐れ縁である。 そのときの話だ。 「けにろんさん、あんた、近頃5点ばっかりつけてるけど、ちょっとおかしい…

ナベシンのこと

「水面のあかり」上映後の舞台挨拶 九条の商店街を駅から歩いてきて脇に折れ少し歩いたところにシネヌーヴォという映画館がある。俺は期待と不安を胸に歩いていく。渡辺シン監督の「水面のあかり」という映画を観るために…。 もう、30数年以上前のことだが…

第七藝術劇場の怪

大阪は十三の飲食と風俗が混在するメインストリートに第七藝術劇場という映画館がある。 はるか昔、俺が中高生だったころはサンポードアップルシアターという名前で、寅さん映画などを観に行った記憶があるのだが、一旦つぶれて数年後に第七藝術劇場と名を変…

映画 2016

今年55歳になった。 四捨五入すれば還暦である。 今まで肉体が朽ちて人生が終わるということは頭でわかってても人ごとであった。 でも、最近、しみじみ思うのだ。 いつかは終わるんやな…と。 1995年、阪神淡路大震災の年、俺は結婚した。 借金まみれで…

映画 2015

年頭にマンションの階段を踏み外し落下した時に脚を痛めた。その時は数分間、立ち上がることもかなわず折れたと確信したのだが、結局折れてなくて、おっかなびくり立ち上がり激痛をこらえて歩き出し、その日の終わりには何とか歩くことも人並みには出来るよ…

映画はどこに行くのか

先月末に新世界国際劇場に映画を観に行ったのだが、あとから思えば成程そうだったんと思える惨状であった。 飛田の映画館が閉館になってしまってから、大阪で2番館はもはやここしか存在しない。3本立て1000円は嘘みたいに貴重であり、俺は学生時代から…

女・女・女~輝ける未来へと

土曜日、久々に飛田東映に映画を観に行ったら入場料が100円だった。 何が起こった?と思ったら今月末で休館するらしい。 改装の為と書いてあったが、確かにシートは全席、最早人が座るにはばかられるほど破れ汚れ、上映中は通路を我がもの顔で徘徊する巨…

映画 2014

正月明けに見たアンゲロプロスの旧作「エレニの旅」で打ちのめされ、ドン詰まりの我が運命を何とかする縁もなく、エレニのように運命に流され茫漠の終末日本で朽ち果てるかと思われた1年。 辛うじて生きてはいるが、もはや、労苦に苛まれた肉体は各所から変…

菅原文太

健さんを追うように文太も逝った年の瀬。 映画史的に、ひとつの時代の終焉を感じさせる出来事であった。 文太を初めてスクリーンで観たのは高校生の頃、「犬笛」という映画であった。何故、見に行ったのか今となってはわからない。文太目当てでなかったこと…

高倉健

「八甲田山」「幸福の黄色いハンカチ」が公開されたのは中3のときであった。両方とも映画館で見たが今いちと感じた。 これが、俺の高倉健初体験だったと思う。 その後、「野生の証明」「冬の華」「駅 STATION」「海峡」など懲りもせずに見に行ったが全て今…