男の痰壺

映画の感想中心です

映画1949

第三の男

★★★★★ 1976年9月12日(日) 三番街シネマ2 手法は模倣され尽くしたとしても時代は模倣できない。4ヶ国が統治し中世と近代がシンクロする敗戦国を舞台に持ってきた刹那感と情緒。ウェルズ・クラスカー・カラスと3枚揃った伝説。どう足掻いたって再現不可能な…

のんき大將・脱線の巻

★★★ 1994年8月6日(土) 京都朝日シネマ1 後に無機的に先鋭化されていくタチ映画も起源は仏式ボードヴィル色濃いベタな風物詩であった。キートン的な資質がチャップリン的世界に投入される居心地悪さもあるが、それ以上にオッサンの芸の無さが不快でもある。…

渇望

★★★★★ 1993年1月4日(月) ホクテンザ1 瘧のような圧倒的絶望表現の凄まじさ。過去への悔恨と未来への苦渋をいや増させる状況の設定と妥協無きドラマトゥルギー。正直しんどいが、それを経ないと見えない一抹の希望もある。ニクヴィストとの共闘未だ来ぬとも…

晩春

★★★★ 1992年2月16日(日) 日劇シネマ 晩年の「娘の結婚」シリーズの基調を形成したオリジナルな強度は認めつつ、それでも『麦秋』のパノラミックな複合や『秋日和』の豊穣な役者群の諧謔に比し単調且つ短調な調べに若干の物足りなさを覚える。ベーシックな小…

三人の妻への手紙

★★★★ 2020年10月24日(土) プラネットスタジオプラス1 全篇にわたり、不在の女性“アディ・ロス”の名前が亡霊のように映画を支配する。人の口端にその名がのぼるたびに語感の良さもあって観客の脳裏に刻印される。「第三の男」のハリー・ライムや「ユージュ…

破れ太鼓

★★ 1982年9月16日(木) 池田中央第一劇場 頑固な旧世代親爺に殊更の異論は無いし阪妻も当たり前に良い。しかし、相変わらず子世代に全く共感を覚えられないのは何故なのか?時代感覚が無いとかのレベルでなく、やっぱ木下は本質的にずれてるとしか思えない。…

野良犬

★★ 1981年10月17日(土) 新世界東宝敷島 情念と言うには淡泊でハードボイルドと言うには骨子が無い。技法に対する確固たる信念もあやふやで完璧に風化しており、とりわけ球場に於けるモンタージュに至っては三流でしかない。現在に於けるこの映画の価値は俺に…