男の痰壺

映画の感想中心です

映画1962

キングコング対ゴジラ

★★★ 2024年8月27日(火) TOHOシネマズ梅田2 60年代に隆盛を極めた東宝特撮映画だけど、ここ数年幾つか見直す機会があって、でも若しかしての期待も虚しく大概撃沈に近い印象で終わってるのであった。これもわざわざ2Kニュープリントと銘打ってシネ…

奇跡の人

★★★★★ 2017年2月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 構成が秀でているんだと思う。 サリバンが到着して初対面で即ガチンコが始まる。 有無を言わせぬ完璧な掴み。 クライマックス。 記号が概念と直結する。 世界の仕組みが一瞬にして明らかになる。 …

アラバマ物語

★★★★ 2017年2月8日(水) 大阪ステーションシティシネマ7 裁判で被害者の証言で良心の呵責にとらわれる様の微塵も無く狂的な呪詛が続く。 洗脳ぶりを描いて突き抜けている。 そういう美点があるにせよ、明明白白な論陣の展開はあまりに杜撰だ。 結局。被告…

破戒

★★★ 1977年11月20日(日) 東梅田シネマ 冒頭の屠殺場面で感じた崑の才走り感が何となく邪魔。物語の本質を外しているわけではないが、微妙に根幹に訴求し切れてこない。ひとつの題材として完璧に料理しましただけでは喰い足りない。端正なモノクロの粋とも言…

アラビアのロレンス

★★★★ 16976年11月23日(日) 大毎地価劇場 シャリフとクインを従えてのアカバ攻略をピークに映画は長い凋落に停滞感を強める。リーンの力技が随所に効いて惑わされるのだが構成は歪。色を添えるロマンスは皆無で代わるロレンスの少年愛嗜好も半端。その歪や…

斬る

★★ 19○○年○月○日 ○○劇場 良く言えばファナティックなデカダンスに充ち充ちていると言えるのだろうが、紙芝居めいた底の浅さが致命的で気持ち悪くなってくる。死に場所を求める人生を描いて救いがないのは結構だが描く方にも覚悟が要るということだ。(cinemas…

ボッカチオ'70

★★★ 1998年6月27日(土) 梅田ガーデンシネマ2 超現実イメージで、ここでもフェリーニ篇が異彩を放つが、毎度ながらの巨大女トラウマ話で2番煎じ感が拭えない。デ・シーカは凡庸でヴィスコンティのは本気汁無し。公開当時カットされたと言うモニチェッリの1…

太陽はひとりぼっち

★★★★★ 2001年3月7日(水) 動物園前シネフェスタ2 取敢えずベッドを共にしてみたけど所詮相性が合わなかった2人。それを恰も世界の週末の前兆のように描くアントニオーニの虚無は笑いを通り越し崇高に達する。暑熱の室内・馬鹿踊り・遊覧飛行・暴落の取引所…

檻囚

★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 魔方陣や振子時計などのギミックや、役者の無意味に連続する肉体運動などが、ある意味で極めてのオーソドックスを継承する実験映画。10年代から30年代にかけて量産された仏アヴァンギャルド映画の正統的嫡子とい…

酒とバラの日々

★★★★ 1994年9月7日(水) シネマアルゴ梅田 ジャンル映画としての前フリに過ぎない前半3分の1が矢張り甘い。しかし、後半急速に締まる。付かず離れず墜ちていく2人。だが、サイコパスな展開を避け死での決別もない予想外な終結と余韻。オーバーアクトのレモ…

私は二歳

★★★ 1994年10月9日(日) 高槻セントラル 野暮を承知で言うと大体乳児が意志を持つわけなく胡散臭いこと甚だしい。微温的且つ無変化を穿つ毒視線が不在なままで平凡な庶民生活から何かを汲み取るには崑のケレンもスター山本富士子の存在も阻害要因でしかない。…

どぶ鼠作戦

★★★ 1992年3月22日(日) 日劇シネマ 背景設定には『独立愚連隊』を引きずりつつ『戦国野郎』的豊穣なエピソードのアラベスクを志向する完全なる過渡的作品。未だワンパターンな演出であるし見せ場らしい見せ場にも乏しく盛り上がりに欠けること甚だしい。(cin…

座頭市物語

★★★★ 1992年6月21日(日) 高槻松竹 歴史の伝承の片隅に記されただけの傑物たちのひとときの相克と共振。後のアクロバティックな市の居合いはまだ無く地味なリアリズムが全編に漂う虚無感を全うさせている。それを一方で負って立つ天知茂の傍流的な役者として…

どぶろくの辰

★★ 1992年6月28日(日) 日劇シネマ 現場のリアリティ無きセット然とした箱庭的世界であっても三船が豪放磊落な主人公を演じればそれなりの興収を得られた時代の促成栽培作。稲垣演出は驚くほど見るべきを持たず徹頭徹尾に予定調和的な東宝プログラムピクチャ…

切腹

★★★★ 1992年10月31日(土) 日劇会館 橋本節丸出しの倒置多用のシナリオは良く出来たといえばそうだが、演出はそれに従属している。拮抗し打破する演出がこそ見たいのであって仲代の定型演技が又器の中のプリンのようでさえある。ただし立派な面構えな映画であ…

危いことなら銭になる

★★★ 2007年7月7日(土) 日劇会館 安藤の色彩設計に姫田の撮影というビジュアル面は過不足あろう筈なく中平演出もポイントを押さえるケレンがあるが、バディムービーを志向したと思しき人物配置はルリ子を除いて役不足。土台脚本がショボすぎるのだ。(cinema…

私生活

★★ 1991年10月12日(土) キリンプラザ大阪 破滅もの芸能界裏話としては余りに表層的でありステロタイプで最早旧くさい。才人ルイ・マルの技巧はお世辞にも冴えてるとも言えず、三十路手前のバルドーは早くも老朽化の兆しが伺える。それが切なく思えるには2人…

今年の恋

★★★★ 2021年5月23日(日) シネヌーヴォ 俺は木下恵介の描くプチブルが性に合わない人間で、彼の現代コメディが苦手なのだが、これはスピード感があって良かった。 他愛無いお話で、彼と彼女は一目惚れなのだが、思い込みと行き違いが重なって互いを牽制し合…

フロイド 隠された欲望

★★★ 2021年3月20日(土) プラネットプラスワン フロイトの学説ってよくはわかりませんが、リピドーとか勿体ぶって言ってるけど、要は人間すべて意識下のスケベ心に突き動かされている、ってことでいいんでしょうか。 であれば、当時のウィーンの保守的な学…

秋刀魚の味

★★★★ 1983年12月7日(水) ビック映劇 小津晩年の本流ホームドラマは『秋日和』で事実上終焉したのだろう。演出技法は一貫しているが腰の据わったテーマを扱ったものとも思えない。滋味があるとも言えるが拡散し徹し切れていない感じが残る。居酒屋の軍艦マー…

皆殺しの天使

★★★★★ 1982年7月21日(水) 三越劇場 「皆殺す天使」に魅入られた「ブルジョワ」へのブニュエルの愛憎が初期の尖鋭な前衛と後期の豊穣な諧謔の過渡期に絶妙の均衡で融合された最高到達点。形而上のアイデアは数多の具象な設定を伴い初めて真の輝きを獲得する。…

千姫と秀頼

★★★★ 2020年7月4日(土) 新世界東映 千姫と秀頼とあるが、秀頼は冒頭で消える。 がっつり千姫物語です。 歴史とか疎いので、千姫のこともよくは知りませんが、wikiとかで調べたのとはかなり違うみたい。 映画は概ね、千姫と5人の男との関わりにまつわ…

秋津温泉

★★★★★ 2019年11月3日(日) シネヌーヴォ 長らく見たかった映画で、俺の直感は見るべしと発し続けていたが機会がなかなか無かったのだが、やっと見れた。 これは、傑作だと思う。 昨年、旧作の日本映画で今更のドギモを抜かれた小津の「浮草」に匹敵するポジ…

長距離ランナーの孤独

★★★ 1980年4月20日(日) 大阪科学技術センター大ホール 鬱屈した日常に対して「怒りをこめてブチ破る」んではなく、何だか流され教化されたものの、最後の土壇場で、ささやかに抵抗してみた…でも日々は変わりなく続いていくだろう。限りない徒労感の横溢した…

女と男のいる舗道

★★ 1980年10月5日(日) 大阪府中小企業文化会館大ホール 2001年2月20日(火) 動物園前シネフェスタ 娼婦であるというリアリズムが、ドライエルを見て涙し哲学者と会話するゴダール脳内醸成された「女性」と乖離しまくる。見てて恥ずかしくなるような青臭さ横溢…

ニッポン無責任時代

★★★★ 2015年2月24日(火) 大阪ステーションシティシネマ11 想定外だったのは『お姐ちゃん』3人衆でありそのみのキンキン声と規子のツンデレがアドレナリンを分泌させる。男共はほぼ壊滅状態の体たらくで植木のカリスマは完全遣りたい放題状態。洗練され…

突撃隊

★★★ 2015年12月5日(土) プラネットスタジオプラス1 曰くありげな屈託キャラで登場するマックィーンだが、全部うっちゃって戦闘状態になっちまうもんだからその設定は回収されない。起承があって転結がない中、兎のようにピョン跳ね走りで駆け抜ける彼がア…

からみ合い

★★★★ 2017年7月17日(月) シネヌーヴォ 相続をめぐる女たちの確執と言えば、63年の大映映画「女系家族」が真っ先に思い浮かぶ。 京マチ子と若尾文子のがっぷり四つは「ザ・女」とでも言うべき粘度と吸引力の絡み合いであった。 比べて、今作は松竹映画。 …

椿三十郎

★★★★★ 1978年11月5日(日) 伊丹ローズ劇場 1981年7月23日(木) 新世界東宝敷島 天才は枷がある方が逆説的に良い仕事が出来る。キャラの2次使用と東宝コマーシャリズムの制約は黒澤から本来無いものを奇跡的に引き出し遊び代を拡大した。そして、上乗せされた…