映画1965
★★★ 2016年12月10日 新世界東映 同時期に並行して作られていた任侠路線からすれば随分甘い作劇でいいかげんなものだ。 が、であるからこそ自由な空気が溢れている。 篇中、健さんが邦衛の垂れ目をからかう件があるが、たぶんアドリブだろう。 そんな空気は浴…
★★★★★ 1998年6月27日(土) シネヌーヴォ梅田 女の中で狂気が内部浸食し自己崩壊していく様を細密画のように微細をクローズアップして丹念に紡ぐ。その職人技の光沢には見とれるしかない。ギルバート・テイラーの神技なモノクロームは道路の些細なひび割れにさ…
★ 1995年5月5日(金) シネマヴェリテ 大の大人のSF飯事。ハードボイルドに無機的な世界を描こうとしても否応なく愛に飢えたメンタリティが介入する。技術的にも中身の文明論にしても未だ稚拙。ゴダールにとって甘さに恥じらい無き時代と乾いて先鋭化する時…
★★★ 2022年7月28日(木) シネヌーヴォ 大島渚のフィルモグラフィでマイルストーンとなった作品を敢えて3作挙げるなら「日本の夜と霧」「絞死刑」「愛のコリーダ」なんじゃないかと思う。それは、彼の創作の志向が政治から性へと向かいながら各局面に於いて…
★★★ 1994年7月10日(日) 日劇会館 相当にええかげんな他愛のない往年の松竹プログラムピクチャーの1篇なのだが、展開が速く滅法調子が良いので見ていて気持ちがいい。予想外の職人芸を感じるし、まだまだ何かを信じられる時代だったのだろう。まあ、都はるみ…
★★ 1992年3月8日(日) 日劇シネマ にぎにぎしいまでのテンコ盛りではあるが、フランキー・伴淳・のり平たちが主要面子とくれば、ルーティンにどうしても本気汁も出ず、典型的プログラムピクチャーの典型的陥穽に落ちた出来となった。とりたててどう言うことも…
★★★★ 1992年6月20日(土) 大毎地下劇場 無内容であることに拘泥さえしない常識破りであったのだろう。その新奇と珍奇は鼻持ちならないが見たことない領域に達し、これみよがしなセンスとファッションで彩られるが、唐変木と幸薄女の愛を肯定して世間と折り合…
★★★★ 1992年6月27日(土) 高槻松竹 システムに根ざす悪を駆逐するに圧倒的暴力が必要で知識はそれを補完する。その暴力の呵責無き徹底振りとそれを完全担保する勝新の魅力。一方で小林節雄の白黒カメラの艶が妙に色気充分で絶妙な臨界線上に映画を位置させた…
★★★★ 2007年6月16日(土) 新世界東映 大半がどうってことない世間が時代が悪いのよ的左翼イズムに迎合し、笑いの中でリアルに松川事件を撃つという高度な諧謔趣向も若干褪せるが、正直この伊藤雄之助には参った。このおっさんが出てくるとアドレナリンが全…
★★★ 1991年11月17日(日) 日劇シネマ 典型的キワモノの持つ悲哀感が愚直なまでのストーリーとシンクロし骨太と言えるまでの骨格を確保している。怪獣同志のバトルもスピーディで相当に見せる。しかし、愚直すぎて少々退く。(cinemascape) kenironkun.hatenabl…
★★★ 2008年8月9日(土) トビタ東映 アップ多用の前半の構図、水面を映さない渡海船の演出、障子越の一触即発、階段が介在する湯治場の風情、岩崎加根子の微妙な隠微さ。そういった個々の要件は図抜けたものが多い。ただ構成が弱いのだ。タメが無くカタルシ…
★★ 1984年12月1日(土) 梅田スカラ座 煮詰まって袋小路に入った黒澤イズムは『七人の侍』を超える2年の撮影期間の果てに、独裁者の孤立と最善共闘者三船との別離と自殺未遂を含む4年の空白をもたらした。似非ヒューマニズムの臭いの裏側に垣間見える災厄へ…
★★★★★ 1983年5月27日(金) 三番街シネマ2 全てのシーンに横溢する哀感はポップな色彩と採光で皮相にも倍加され、縦横で流麗なカメラワークは運動の儚さを照射する。カリーナとの終焉が産んだ男泣きこそ繰り返し模倣され陳腐化していく先人達の遺業の中で断固…
★★★★★ 1982年5月8日(土) 毎日文化ホール< スラプスティックなバーレスクを復古させ、エドワーズの泥臭くも洒脱な特質が最高の適合場所を得たスペクタクル・コメディの傑作。『お熱いのがお好き』コンビの発展的継承。わけてもジャック・レモンの巧緻。マンシ…
★★★★★ 1982年7月8日(木) 新世界東宝敷島 1992年3月22日(日) 日劇シネマ ファナティックな喜八の潜在資質が全開する桜田門外の変。導入の驚異的テンションが冷めぬままに橋本忍の手練手管の脚本を受け演出・編集が冴えまくる。『椿三十郎』と正反キャラを好演…
★★ 1981年10月31日(土) 関西学院大学学生会館大ホール 土台ちゃんとした物語なのだから、いじくる必要もないのに、いじくってしまったケレンが煩わしくさえある。清順流の繋ぎは時と場所を選ぶと言うことじゃなかろうか。場末的廉価感は的を射るにはターゲッ…
★★★★ 2014年1月26日(日) MOVIXあまがさき9 タカビーに見えても何かと託けて寄って来るグレースが男の自惚れ鏡を顕現させ全篇仄甘い。カーチェイスにせよ舞踏会にせよダレ臨界の尺の微妙さだが、それも又弛緩した甘酸っぱさをもたらす。エッジの効い…
★★★ 1981年10月3日(土) OS劇場 所詮はリーンが肩入れもできぬ背景としてのロシア革命だし、不倫愛の背徳性も直視せぬので、両者が乖離し強度が無い。個々のシークェンスの厚みは大層なものだが、スペクタキュラーな要素があらずもがなに思える。それでも終…
★★★ 1980年10月12日(日) SABホール 珍奇なイメージが散発され小振りにまとまっているが、ワンアイデアだけの中篇で、脂の乗りきった60年代ブニュエルのものとしては物足りない。悪魔の誘惑は面白く愉しいのだが更なる絶望や恐怖をこそとも思う。ラスト…
★★ 1979年9月24日(月) 伊丹ローズ劇場 武満徹の音楽を背景にした矢鱈センスの良いタイトルに期待は嫌がおうにも高まったが、「黒髪」で最初はこんなもんだろうと思った矢先「雪女」の美術に撃破され「抱一」の何時終わるとも知れぬ冗長さに止めを刺され最早…
★★★★ 2017年10月21日(土) シネヌーヴォ 女の執念を、これでもかとネバっこく描いた点で、増村の「妻は告白する」と双璧かもしれない。 倍賞千恵子の心根を見せないが底にナイフを忍ばせたかのような冷たい表情は絶品。 だが、俺はそこより演出面での山田洋…