映画1977
★ 1977年5月1日(日) ダイニチ伊丹 余りに大時代且つ濃すぎる展開は今となってはギャグとして見ればオモロイかもしれない。清順みたいなハッタリ親爺が手掛ければ諧謔味もあるかも知れんが生真面目な西川克己ではシャレにもならない…と当時は思ったか思わんか…
★★★ 1977年8月9日(火) 北野シネマ 2人の旧友が南北から行軍し山中ですれ違うという映画的に高度なロマンティシズムは、現場主義のM的雪中地獄で雲散し、定型のダメ上司との確執劇のみが残った。対比的にモンタージュされる緑の青森の風景がこれ又陳腐で萎…
★ 1977年10月2日(日) トーエイ伊丹 数年後に日本映画の一時代を担う陽造と荒井がロジカルな構成の因縁劇を構築しているが、如何せん主演が余りに大根過ぎて背負った陰だけが強調され番を張ったという強靱さが余り感じられずケレンだけが上滑る。何だか見てる…
★★ 1977年10月30日(日) ダイニチ伊丹 70年代に於ける現在形の日常から戦国時代の因襲引きずる閉ざされた村の非日常へと、そのコントラストを際立たせる為のショーケン起用であり又スプラッターな殺戮描写だったのだろうが…巧くない。洞窟探しばかりして気…
★★★ 1977年10月2日(日) トーエイ伊丹 絶妙にクールな因縁関係の師弟を設定し程良い前衛を交えて過不足無い展開を見せるのだが文太のやさぐれ感はともかく天井桟敷による又かの市井の人々が過剰であり、又具志堅等の本物を出してしまったのが否応なく虚構を浮…
★★★★ 1977年8月15日(月) 梅田東映パラス 失敗に終わった多面的作戦の、何がどうなっているか判らない混沌が延々と展開し、数多のオールスター達が状況に埋没してしまったかのようなのが皮肉にも極めてリアル。贅を凝らした大物量スペクタクルなのに静的なシ…
★★ 1977年11月13日(日) 伊丹ローズ劇場 単なる荒技小僧が求道者としての風格を身につけていく変遷が三浦友和には表現し得なかった。最大の弱点はそこだが、手持ちカメラも殊更事象に迫ってリアルな何かを切り取るでもなく安い印象にしかなってない。今更の題…
★★★ 1977年10月2日(日) ダイニチ伊丹 松竹大船の旧来型物語を驚嘆すべき細部のリアリティで絶妙に補完する山田の美質はメインの物語に於いては説明的な回想を値引いても尚効果的だが、武田・桃井のパートではリアリズムはベタついた作為に粉飾される。カメラ…
★★★ 2000年12月5日(火) シネヌーヴォ 現実のモデルがいる以上、さして起伏のある物語にもならず、何を骨子に置きたいのかよくわからない上に、竹山本人のインタビューとドラマの噛み合わせも効果をあげたとも思えない。この衒いの無さが新藤兼人の持ち味なん…
★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 これも又書を読む行為だと言われたって、ふーんと言うしかないし、寺山的ギミックに又かの食傷も覚えるが、再三試みられる緩やかなローキーからハイキーへの露出開放効果が思った以上に何だか心地良い。書見機自体に…
★★★ 2001年1月9日(火) キリンプラザ大阪 寺山の短篇中でも鈴木達夫撮影とJ・A・シーザー音楽が高度に補完し合った世界観が達成されたものだとは思うが、あまりに『田園に死す』的ラストを含め結局のところ自己模倣に捕らわれたものでしかない。コンセプト…
★★ 2001年4月13日(金) シネヌーヴォ もっと夢幻的な退廃美を期待していたのだが、そして実際、シュールなイメージも織り込まれてはいるが非常に安っぽい。後半に至るに、耽美は遠のき単なる復讐譚になってしまった。どっちつかずで中途半端である。(cinemasc…
★★★ 2002年10月4日(木) トビタ東映 毎度お決まりの寅の片恋話でもたなくなった果てのアラカン登用としてものり平の絶妙のサポートも冴えてシリーズ中屈指の至芸を見せる爺コンビ誕生と相成った。寅の拗ね様も心地よい論理性を維持している。(cinemascape) ke…
★★★ 2003年7月2日(水) OS劇場CAP 物語を正面から語れない典型的シネフィルの「ごっこ映画」でヒッチもどきの列車内サスペンス等パロディにさえなっていない稚戯の極みだ。しかし、不遇のホッパーを掘り起こしコッポラへと繋いだ慧眼などキャスティング…
★★★★ 2022年2月7日(月) テアトル梅田2 まったくお恥ずかしい話ですが、見終わってネットで幾つかの解説読むまで女性が2人1役ってことに気がつきませんでした。いったい俺は何見てるんでしょうか。 まあ、それだけフェルナンド・レイのオタオタ演技に気…
★★★★ 2004年1月22日(木) 東梅田日活劇場 ただただ順子とやりたいという栩野が清々しく、そんな純情への同情から体を与える中島葵が優しく、そんな葵を労るヒモ庄司三郎との四畳半こそが本作の白眉。とことん皆優しい。そして、越境するラストには至福と地獄…
★★★★ 2021年8月15日(日) シネヌーヴォX 敵対する2つの村があって、深い渓谷が互いの行き来を阻んでおりました。双方の村の男の子と女の子が渓谷越しに互いに興味を持ち、興味は好意に、好意は恋心へと。 とまあ「ロミオとジュリエット」みたいなもんです…
★★★ 1978年1月7日(土) ダイニチ伊丹 シリーズ初見作なので、どうも客観的に比較できないのだが、傍系の若者の恋愛に隠れて寅自身のマドンナとの絡みが希薄ではあった。又、輪をかけて藤村志保が影薄い。しかし、渥美清の話芸に心底ぶったまげたのは事実。 …
★★ 1988年4月10日(日) 吹田映劇 父と子の確執の話から子が解放され飛翔するというベクトルではなく何時の間にやら教条主義的展開へとすり替わったかのような座りの悪さを感じる。平易な教育テレビのドラマの如き深みの無い映像も含め何がいいのかよくわから…
★★ 1984年12月8日(土) 千日会館 言いたいことは解るのだが、直截的すぎでだからどうした?としか思えない。勿論だからどうしたの映画は世に幾らでもあるが、最低限そこを新奇で斬新なイメージで補追して欲しい。本作は従来の寺山キーワードの使い回しでしか…
★★★ 1982年3月12日(金) シネマ温劇 撮ることへの意識過剰なき衒い無さは芸がないこと紙一重であり、数多あるB級アクションの領域に留まる。ファーストシーンのジャジーなムードが最高。前段と終盤に用意された弾幕過剰が作家性というより自棄のやん八的本能…
★★★ 2013年1月17日(木) 第七藝術劇場 命を賭して暴き秘匿する極秘文書とやらが、そんなん皆わかってるやんレベルであり、モンタナ基地に行くことがイコール死と確定でもないのでは?と釈然とせぬ感が横溢。甘い作劇のメソッドを無理くり分割画面で疾走する…
★★★★ 1977年5月1日(日) ダイニチ伊丹 郷は一貫してまんまアホで無軌道な若者であり、秋吉も健気で真面目だが堕ちてしまう女そのもの、そういう直線的なキャラを弾ける乗りで一気に見せ切る勢い。しかも急転直下のラストの再反転が衝撃的。それが『祭りの準備…
★★★ 1981年12月17日(木) 関西学院大学学生会館大ホール 出来不出来はともかくひたすら写実を追求して来た特殊効果の世界に「ヘタウマ」とも言うべき一種ポップなあからさまな虚構を「これも又アリ」と思わせたコペルニクス的作品とも言えるが、始まって30…
★★★★ 2018年11月24日(土) プラネットスタジオプラスワン 人格が入れ替わる(完全にとは言えないのだが)ということで、当時、アルトマンが影響下にあったらしいベルイマンの「仮面 ペルソナ」が容易に想起されるのだが、そこには俺はあまり興趣をおぼえな…
★★ 1980年7月16日(水) 伊丹グリーン劇場 本気汁で撮られた映画をパロるのなら本気で撮ってパロって欲しい。思いつきのアイデアを弛緩した適当さで見せられ続けるのは苦痛。「B級西部劇」や「怪奇映画」に対する程には強固な愛がヒッチに対しては無かったっ…
★★★ 1980年9月27日(土) 毎日ホール やたらテンポが良く飽きはしないものの、北陸の田舎やくざの寂寥感がうら寂しさを横溢させ、ルーチーンが退廃へと突き抜けることもないままジャンルの末期感が漂う。山守が分化したような西村・ハナ2枚が定型演技で緊張感…
★★★★★ 1980年12月5日(金) ビック映劇 1981年7月3日(金) 梅田ロキシー 見え透いた扇情的題材に見えるが、軽やかにニュートラルで、故に描かれる孤独も抜きんでる。息つく間もないカッティングの冴えは自走しシュールな時制の垣間からドッペルゲンガーが顕現す…
★★★★ 1978年5月5日(金) 伊丹グリーン劇場 未だ陰謀説も敷衍せぬ時代にこのアイデアがあれば前半はもって当たり前なのだが、後半になり展開がSF色を脱色されても全くダレないのが驚嘆。ローアングル主観カースタントや眼前ヘリ浮上の望遠近接効果。ハイアム…