男の痰壺

映画の感想中心です

映画2004

2046

★★★ 2022年8月24日(水) シネマート心斎橋1 「欲望の翼」「花様年華」と3部作を為すものらしい。トニー・レオンを軸に据えて、「欲望の翼」から同役名でカリーナ・ラウ、「恋する惑星」のミューズ、フェイ・ウォン、新規加入組として中国からチャン・ツィ…

着信アリ

★★★ 2004年1月30日(金) 三番街シネマ3 従来の閉じた世界に括られるホラーの頸木を打ち破る展開に思えた中盤のTV局での惨劇までは乗れた。しかし、再び内的世界に回帰した物語があろうことか現代病を持ち出しての謎解きに帰結するのでは当たり前すぎる。三…

イノセンス

★★★★ 2004年4月8日(木) 三番街シネマ3 高踏的な屁理屈は形を潜め「ハードボイルド」な日常描写も「古典SF」的な終盤のネタ割れもオーソドックス。閉じてしまった世界で、環境描写とポイントごとに配置されたアクションに粋の限りを尽くす。堪能すると同時…

キル・ビル Vol.2

★★★★ 2004年4月27日(火) 梅田ピカデリー1 正直、前作での「日本映画」もどきでは勘違いとしか感じられなかったリスペクトという熱い代物が「マカロニ」・「香港映画」に対してはド真ん中から俺を射た。模倣の域を超えた室内格闘演出の巧さで沸点到達した後…

下妻物語

★★★★★ 2004年6月10日(木) ナビオTOHOプレックス7 時代に迎合して生きるのは嫌だが、迎合しない為には、それはそれで苛烈な努力を強いられる筈。なのに、どうにも2人は受け身でもどかしい。しかし、終盤の大仏前の決闘に漲る本気汁に済し崩しに納得もさ…

スパイダーマン2

★★★ 2004年7月31日(土) 梅田ブルク7シアター3 バイトをクビになるにせよ成績が下がるにせよ苦悩と言うには日常的に過ぎ、だから愛と天秤にかける正義が薄っぺらい。1作目同様主観的でアクロバティカルなカメラワークに拘泥し過ぎで糸1本で全体重を支え摩…

IZO

★★★ 2004年8月21日(土) ホクテンザ1 甦った稀代のテロリストが斬るべきはリアルな何かであるべきで、シンボライズされた政財軍学の象徴ではダメなのだ。学芸会めいた構成を誤魔化すのに依って立つ時空を行き交う構成がこれ又未整理で友川の怨節だけが異様に…

誰も知らない

★★★★ 2004年9月13日(月) 梅田ブルク7シアター5 全面的自己犠牲を自らに課さぬからと言って、この母親も父親達も全否定は出来ない。かと言って子供達を救済出来ぬシステムにも所詮限界があるのだ。是枝の事実認識は正しいし題材選択の意義も認める。しかし…

LOVERS

★★★★★ 2004年10月7日(木) 梅田ピカデリー3 『HERO』では拡散していたベクトルは1本化され、馬鹿馬鹿しいまでの絢爛とケレン三昧のCGで紡がれた物語がクライマックスでは3者の熱い想いが交錯する視線に1点集約される。50年代黒澤的描写をも散りば…

アイ,ロボット

★★★★ 2004年10月16日(土) 梅田ブルク7シアター1 再三描かれた機械支配の未来観の勃興期的前史に感慨を覚える。機械のアイデンティティと言うテーマは陳腐だが、奇を衒うことなくオーソドックスを貫いた正々堂々振りに押し切られた。CGの汚し具合やウィル…

エクソシスト ビギニング

★★★ 2004年10月27日(水) 梅田ピカデリー4 何もかも整合性をつけようとし過ぎるから、わけの解らない恐ろしさが薄まるのだ。悪魔バズズの最大の武器は人の心の弱みにつけ込む巧みな対話というオリジナルコンセプトを踏襲してるのに部分的に今風ケレン描写を…

コラテラル

★★★ 2004年11月12日(金) 梅田ブルク7シアター1 プロ中のプロが心許してしまうにしては、タク運ちゃんは単なる夢見野郎に過ぎず、それをトムに看破される件が実は最も物語ヴォルテージが昂揚するのに構造をも破綻させるというパラドックス。設計図の描き方…

血と骨

★★★★ 2004年11月19日(金) 梅田ブルク7シアター6 現場のポテンシャルがビシビシ伝わる気の入った演技のオンパレードと堂に入った美術には心底惚れたが、後半のクロニクルに並列的なエピソードの配置からは意外なほど何も見る者に訴求して来ない。かなわん親…

隠し剣 鬼の爪

★★★★ 2004年12月11日(土) 梅田ピカデリー4 謙虚に生きても世評や恫喝を己が信念のもと跳ね返す男の生き様。しかし、武士社会のロジックには従わざるを得ない…ここまではいい。しかし、仕事人みたく安易な解決の果てに辿り着いた安寧には安直さを感じた。役…

レディ・ジョーカー

★★★★ 2004年12月18日(土) 梅田ブルク7シアター4 何が何だかさっぱり解んねえ…のは確かだが仕方なかったのだろう。原作者の思惑との狭間で悩んだ挙句に確信的に総仕込みして破綻させたと見る。ドン詰まりのやるせなさだけは過剰な程に全編を被い、どいつも…

パッチギ!

★★★★ 2005年2月3日(木) 梅田ブルク7シアター4 『ガキ帝国』『岸和田』の男子祭り系譜と『のど自慢』『ゲロッパ!』の歌謡映画系譜を巧みにミックスさせた集大成と言えばそうだが加減が程良すぎる一方なおざりな感じもした。「朝鮮人になれる?」の真摯な問…

ボーン・スプレマシー

★★★★ 2005年2月23日(水) 梅田ブルク7シアター3 過酷な訓練で最高レベルに達した者のみが成し得る機転を効かせて急場を凌ぐということを徹底的に繰り返して見せる一貫したポリシー。それは一見らしくないデイモンだから際立つ。相変わらずのロケの良さもあ…

火火

★★★ 2005年3月14日(月) 梅田ガーデンシネマ2 演技を超え「生き方のポリシー」とでもいうようなムキ身をさらけ出す田中裕子視点1本被りでゴリ押せばメッセージ臭は払拭され稀代の女傑映画として屹立するものに成り得た筈。息子の死に直面した母親としての煩…

ハウルの動く城

★★★★ 2005年3月21日(月) 伊丹TOHOプレックス7 ハウルが何故に孤軍奮闘我が身を賭して闘うのか解らないのに出自等はけっこう描かれ、その辺が論理的世界観の構築から逃げムーディに媚びてるようにも感じたが、細密画の如き「動く城」が動く様には矢張り…

ミリオンダラー・ベイビー

★★★★ 2005年6月11日(土) 梅田ピカデリー1 他者のシナリオを律儀になぞるが、本質的には「物語」としてのロマンティシズムと同志愛とも言える役者達との共闘空間があれば良い。多分それがイーストウッドの純粋さであり限界でもある。それを映画と断言する輩…

エターナル・サンシャイン

★★★★★ 2005年6月15日(水) 新世界国際劇場 失われたものに対する記憶は切ない追憶としてなら永遠に煌めき続けるとしても、それを引き戻すにはリアルな現実に直面しないといけない。カウフマンの脳天気なだけじゃない現実認識と圧倒的構成力。演出と撮影も精緻…

オペレッタ狸御殿

★★★ 2005年6月2日(木) 梅田ピカデリー3 清順的趣向抜きで見せられたら稚戯に過ぎると思えたろう。懐旧趣味溢れるマイケル・パウェルばりの書き割り世界のロック歌謡ショーに戸惑うオダギリと一生懸命なツイィーちゃんが微笑ましい。薬師丸と高橋の歌唱力に…

フォーガットン

★★★ 2005年6月25日(土) 三番街シネマ2 絶対神なのか何か知らんが大風呂敷を広げておいて「愛は勝つ!」って大真面目に言われても、こちとら脳味噌スポーンってなもんで遣りきれない。ジュリアン・ムーアの独壇場な腺病質的演技全開の前半が結構緻密だっただ…

メリンダとメリンダ

★★★★ 2005年7月15日(金) 梅田ガーデンシネマ2 「Life is Comedy」そう言い切る者は実は人の一生なんて苦の連続だってわかってるのさ。明快に提示されたかに見えた悲喜劇論が、やがて境界を失い融合する相変わらずの闊達な語り口。熟達人のみが老成を許され…

運命じゃない人

★★★★ 2005年9月15日(木) 梅田ガーデンシネマ2 時制をズラし反復させるエクリチュールは超絶にロジカルで巧緻と思うがとりわけ斬新とも思わない。小技の効いた演出(足には参った)もあるが、根底に流れる野郎同士の「友情」ってのが打算も虚飾もなくただ当…

アビエイター

★★★ 2005年11月28日(月) トビタシネマ エキセントリックな人間を好んで描いてきたスコセッシの本道系譜上にあるものなのに、ムキ身のヒリヒリ感とは程遠い。ハリウッドの呪縛に捕らわれ既存文法の脂肪つきまくりの肥え太り映画。公聴会シーンが若干劇的だが…

クラッシュ

★★★★ 2006年4月21日(金) ナビオTOHOプレックス8 時代は絶望的な閉塞感に覆われていたとしても、我々は一縷の「希望」を見出せなければ生きてはいけない。性善説的人間観は安易にしても、敢えてそれを提示したハギスに深くシンパシーを感じる。ただブ…

マインドハンター

★★★ 2006年8月12日(土) 新世界国際劇場 そこまでやるかという納得性が欠如しているからシラける。混沌の彼方に物語を押し込めることもなく無理矢理に整合性を求めて自ら破綻した感じ。シンプルを突き詰めてこそ諧謔を見出すハーリン演出も結局はシナリオに…

マシニスト

★★★★ 2006年12月9日(土) 新世界国際劇場 何か呪術的なものを想像していたが、サイコパスの王道的展開が予想外だった。悪く言えば在り来たりとも言えるが、直球勝負で臨み気合い漲る演出には惹かれる。ベールも素晴らしいが女優2人(特にジェイソン・リー…

忍者

★★ 2007年4月7日(土) 天六ユウラク座 最初はモラトリアムなテキトー野郎だとしても、物語はその成長を促し何かが内部で変容していく様を抽出すべきで、その為にこそ魔裟斗・白田のニッポンカップルをこそ深く掘り下げて欲しかった。ただそれ以前に今更忍者…