男の痰壺

映画の感想中心です

映画2019

サタデー・フィクション

★★★ 2023年11月9日(木) シネリーブル梅田3 女スパイのアクションものなんだとしたら物足りない出来であり、じゃあそれ以外に何かあるのか、ということだが、ロウ・イエの頭には嘗ての演劇場や演劇人たちへの郷愁があったようである。で、女スパイを上海か…

ブレット・トレイン

★★★★ 2022年9月3日(土) MOVIXあまがさき11 基本ギャグ系は大概スベってると思うのだが、それでもやり続けることでスベりも又味わいと思えてくる。 走り続ける列車が舞台だが、CG依存の画は本物の重量感とはやっぱ雲泥の差だし、各地を通過するだ…

リンダ・ロンシュタット サウンド・オブ・マイ・ヴォイス

★★★ 2022年5月16日(月) シネリーブル梅田1 学生時代にリンダ・ロンシュタットのベスト版LPレコードを持っていて密かに聴いていた。そんなもん聴いてるのは恥ずかしいという思いがあったんでしょう。周りには言ったことはなかった。でも40年の時を経て…

悪なき殺人

★★★★ 2021年12月3日(金) シネリーブル梅田1 素晴らしく凡庸な邦題をつけられた作品だが、これは予想の斜め上を行く出来だと思います。 時間と空間という映画表現の最大の特質を十二分に利していると思われる。 状況を視点を変えて反復する。最近公開され…

ほんとうのピノッキオ

★★★ 2021年11月15日(月) 大阪ステーションシティシネマ7 「ほんとうの」ってなにがやねん。普通のピノキオやないかい。原題も単に「ピノキオ」やん、ええかげんなことすなよ配給会社。 ってことで、「本当は怖い童話」みたいな先入観を持ってた俺はかなり…

ドミノ 復讐の咆哮

★★★ 2021年1月14日(木) 新世界国際劇場 「パッション」以来6年ぶりのデ・パルマ作品ということなんだが、4つ巴の話の軸が定まらないまま流されていく感じだ。 相棒を殺された刑事、父をイスラム過激派に殺された元特殊部隊の男、イスラム過激派、CIA…

Swallow スワロウ

★★★★★ 2021年1月5日(火) 梅田ブルク7シアター4 何度か見ていた予告篇から受ける予断は、異物食がエスカレートしてリンチやクローネンバーグ的に不条理に振れていく展開であった。腹の中で釘や押しピンが人体を侵蝕しメタモルフォーゼが始まる、みたいな…

燃ゆる女の肖像

★★★★ 2020年12月23日(水) 大阪ステーションシティシネマ6 相手のことを見つめる視線。 前半は、その凝視する視線が映画のエモーションを規定する。サスペンスフルでさえある。 構成としては「ブロークバック・マウンテン」を想起させる。時代がそれを許さ…

バクラウ 地図から消された村

★★★★ 2020年12月20日(日) 梅田ブルク7シアター4 今年公開された2つの映画を容易に連想させる。 「ミッドサマー」と「ザ・ハント」で、どっちが先なのか知らんけど不運やなあと思う。 またかいなと思って0.5ポイントくらい値びいてしまうから。 【以下…

フェアウェル

★★★★★ 2020年10月9日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 現代社会において一族が集う機会は結婚式と葬式くらいなもんになっており、場合によっては何十年も会ってない親族が顔を合わせる。 数日間一緒にいて、その後散り散りに別れ滅多なことでは再び…

窮鼠はチーズの夢を見る

★★★ 2020年9月17日(木) 大阪ステーションシティシネマ12 ジャニヲタと腐女子で満ち溢れた劇場におっさん1人という濃密空間の異分子になる覚悟ってのは考えただけで怖気付いて萎えそうになるんですが、見たいもんは見たいねんからしゃーないやんけと開き…

ポルトガル、夏の終わり

★★★★★ 2020年8月29日(土) テアトル梅田2 ある老女優によって別荘に集められた一族郎党の1日の物語。まあ、ユペール御歳70近いので「老」としたが、映画の中で設定年齢はもうちょっと若い。冒頭、いきなりトップレスで泳いだりするもんだから、バーちゃ…

僕の好きな女の子

★★★★★ 2020年8月24日(月) 大阪ステーションシティシネマ8 又吉A面の「劇場」見逃して、俺の見るのはB面のこれかよ。と忸怩たる思いで気も乗らず見に行った。で、開巻数分、彼女との待ち合わせ場所に向かう男と彼女のラインが画面に。 正直、キッツイわ…

もち

★★★★ 2020年8月7日(金) テアトル梅田2 過疎の村で中学校が翌年から廃校になる。 これは、その学校に通う中学3年生の女の子が主人公の話。 って言われて見たい人がどんだけいるのか疑問であります。テレビのドキュメンタリーとかで、見慣れた手垢のついた…

ブラック アンド ブルー

★★★★ 2020年7月26日(日) MOVIXあまがさき3 冒頭、ジョギング中の黒人女性が、パトカーに止められいきなり羽交い締めにされる。 今年の5月に起こったジョージ・フロイド事件を連想させるのだが、この映画は2018年の作で事件を直に反映したもので…

新喜劇王

★★★★ 2020年7月18日(土) 新世界国際劇場 チャウ・シンチーは「少林サッカー」からしか見てないので、この映画のオリジナル「喜劇王」は未見。本作はシンチー自身によるそのセルフリブートである。 前作は主演もシンチーだったが、今作では女性に変更された…

レイニーデイ・イン・ニューヨーク

★★★★★ 2020年7月5日(日) MOVIXあまがさき6 撮影がヴィットリオ・ストラーロに代わってからの「カフェ・ソサエティ」と「女と男の観覧車」に何となく違和感を感じて、演出意図と撮影戦略が噛み合ってないような印象で、なんで撮影者変えたん、と思っ…

一度も撃ってません

★★★★ 2020年7月3日(金) 大阪ステーションシティシネマ10 結果、芳雄の遺作を撮っちまった阪本順治が、なら蓮司のもと思ったかどうか知らんけど、老人同窓会と化した出演者の顔触れもゲンナリであるし、阪本の最近のフィルモグラフィもてんでしっくりこな…

デッド・ドント・ダイ

★★★★ 2020年6月14日(日) MOVIXあまがあき2 全体的にダウナーな澱んだ空気が横溢してるので好悪わかれそうだ。 これは、ぜんぜん傑作でもないのに、ジャームッシュの総括的な役割を当てがわれてしまったトホホなジャンルムービー。 間延びしてるのが…

リチャード・ジュエル

★★★★ 2020年1月28日(火) TOHOシネマズ梅田5 冤罪もんってことになるのだろうが、よくある容疑者・検察・弁護士・マスコミの駆け引きが錯綜して虚実が混濁するような話ではない。 主人公が嫌疑をかけられた序盤で、サム・ロックウェルの弁護士が助手と…

ロマンスドール

★★★★ 2020年1月25日(土) 梅田ブルク7シアター2 現在の日本映画の監督で、新作が公開されえば、多少むりしてでも必ず見に行くってのが何人かいるような気がする。 タナダユキもその1人で、作品を全部見てるわけではないが、★4か★5しかつけたことがない…

ラストレター

★★★★★ 2020年1月21日(火) TOHOシネマズ梅田2 キャスティングを見たときに、守りに入ってるやんと思った。 松たか子と福山雅治ってのは無難だし、ましてや神木とすずに至っては食傷の感がある。庵野は遊びだろうしミポリンとトヨエツの「Love Letter」…

フォード vs フェラーリ

★★★★ 2019年1月13日(月) 大阪ステーションシティシネマ2 当初のマイケル・マンからジェームズ・マンゴールドに監督が交代したそうな。 どっちも傑作を撮ってることは撮ってるけど、ここんとこはロクなもんがない監督ってことに俺の中ではなっていて、でも…

カツベン!

★★★★ 2020年1月7日(火) 梅田ブルク7シアター4 あんまり評判は芳しくないみたいで、確かに何か新機軸を打ち出したかというと無いというしかない。コメディという分野で「ファンシイダンス」や「シコふんじゃった」みたいなソリッドな切れ味を叩きつけてく…

男はつらいよ お帰り寅さん

★★★ 2019年12月29日(日) MOVIXあまがさき11 いったいどんなもんになるんやろと期待と不安が半々であったが、まあ予想通りというか、でもやっぱそんなもんかよって感じだった。 故渥美清の映像をどう処理して新たな撮影分と組みあわせるのかという点…

パラサイト 半地下の家族

★★★★★ 2019年12月28日(土) TOHOシネマズ梅田9 【ネタバレです】 上映冒頭にポン・ジュノ自身の紹介映像が出て、これから見る人のために絶対ネタバラシしないでくださいとあった。そこまで拘るびっくり仰天のものではないが、大きく2度にわたってドラ…

決算!忠臣蔵

★★★★ 2019年12月3日(火) 梅田ブルク7シアター3 あまり見る気をそそらない映画であったが、中村義洋の「殿、利息でござる」が案外に良かったのを思い出したのもあるし、モロ関西弁の予告編に惹かれたのもあるし、ダウナーな岡村の演技もちょっと興味があ…

殺さない彼と死なない彼女

★★★★★ 2019年11月27日(水) 梅田ブルク7シアター5 女子向け映画が隆盛を極めている感があって、正直、食指動くわけないし、おじさんが1人で見に行くってのは敷居が高いんですが、それでも映画を見るにジャンル横断主義を掲げる俺やないかと自らを鼓舞し…

ブライトバーン 恐怖の拡散者

★★★ 2019年11月24日(日) MOVIXあまがさき9 どうもなあな出来だと思う。 【以下ネタバレです】 それまで人間として育てられた少年が、何かの契機で覚醒するのだが、そのことに対してのアイデンティティの確執はほとんどない。 スーパーマンの裏返しと…

アイリッシュマン

★★★ 2019年11月25日(月) シネマート心斎橋2 以前、スコセッシはフィルムへの拘りを語る作家だった。 はずであるが、そういう拘りの人なら、当然にスクリーン投影の映画館主義であってもいいはずなのに、NET配信映画になびいた。 かわりに、明後日の方…