男の痰壺

映画の感想中心です

宮本から君へ

★★★★ 2019年9月27日(金) 梅田ブルク7シアター2

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原作漫画は未読だし、TVドラマも未見なので、この映画のテイストが原作と違うのかは判断できません。

が、劇場で予告篇を何度か見て見たいなとは思っていた。

そこから受ける印象は、ハイテンション野郎が恋焦がれる女に猛アタックみたいな感じで、それはそれでオモロそうって思ったのだが、真利子哲也の監督作だと知ったとき、俺は思った。

とうとう、日和ったなと。

 

云わば、孤高の作風である。彼の映画は3本見てるが、定型の感情表現は決してしない。媚びるということを絶対しない男だと思っていた。

で、映画の印象だが、予告篇サギとでも言おうか、やっぱり変わってなかったっす。

 

もちろん、主人公たちは、これまでの真利子作と違って激烈に感情表現するのだが、その裏側に隠匿した何かを常に宿している。

それが、瘧のように打ち震えて爆裂する。その瞬間をもっとも大事にしている。

そういう意味で、これは初期作「イエローキッド」に近いテイストだと思う。

 

男と女の恋愛から結婚に至る過程で、もっともしんどい部分を徹底的に突き詰めて逃げていない映画なので、見ていてしんどい。

女にあんな態度されたら俺なら、さよか、ほなさいならとなりそうなのだが、宮本はそれを飲んで溜めて発酵させる。そして、それを確実に内実化させて受け入れる。

しんどい作業で、今どきの早々に割り切ってしまうことを是とする淡泊世代への強烈なアンチテーゼなのじゃないか。

なーんて思ったりする。

 

ベッドシーンが1か所あるが、ここも十分に攻めてる。挿入してピストンってんじゃなく前戯ってのが新鮮。蒼井優もさすがにオッパイは映せなかったのだろうが、それでも納得の踏み込みだった。

一方、ロマンチックなシーンも回避していない。雨の海岸で雷を見に行くのだが、素晴らしい情緒だ。

撮影が、俺の昨年のベスト作「きみの鳥はうたえる」と今年の現段階のベスト「さよならくちびる」の四宮秀俊。文句なく今の日本映画の牽引者のひとりだろう。

 

一貫しているのは素晴らしい。ただ、もうほんの少し日和るってのも悪くはないと思うんだけど。