★★★ 2019年10月5日(土) 新世界国際劇場
ショートフィルムがあまりに怖いと評判になって長篇デビュー。
ってどっかで聞いたよなって、老化で記憶もままならないとこを黙考して、やっと思い当たった。「ライト/オフ」ってのがあったよなって。
でも、15分だから怖いのであって90分に引き延ばせば馬脚が顕れる。
「ライト/オフ」もそうだったが、何か得体が知れないからこその恐怖は、早々にそいつが形を成して現れたとたんに半減する。
土台、蚤の市で買った古いポラロイドカメラで撮影されたら死ぬってあまりにも普通。呪いのビデオを見たら死ぬみたいなもんです。
でも、総体的に悪くはないと思いました。
主人公の女子高生が、イケイケの連中から距離をおいた孤独の風情を漂わせているのがいい。曇天のうら寂しい雰囲気も好み。
90年代の「ラストサマー」とかSEXにしか興味がなさそうな連中が餌食になるのと違って、今の時代はそこまで能天気でいられないんやろね。
早々に実体化しちまう展開が得体の知れぬ恐怖を雲散させて後は野となれ山となれの体たらく。しかし、イケイケ高校生活に溶け込めず孤独なカメラ趣味に閉じこもる主人公の寒い心象を表象するような曇天下の街並がいい。惨禍は生き方を変える契機かも知れない。(cinemascape)