男の痰壺

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金環蝕

★★★ 2019年10月6日(日) シネヌーヴォ

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 子供の頃にTV放映で見て、とんでもなくオモロイと思った記憶がある。

それは、多分に宇野重吉の歯抜けメイクが醸すいかがわしさと仲代のクールで怜悧な佇まいのガチ対決によるもんだったと思う。

何十年も経ってようやっとスクリーンで見る機会を得たのであったが。

正直、仲代も重吉も食傷の感があって、新味が激減していた。

 

ダム建設における利権をめぐっての暗闘の話であって、その対決構図は与党の総裁派閥と電力開発を担う公社の互いが推すゼネコンのどっちに発注するかっていうことなのだが、その先鋒が片や官房長官の仲代であって、一方が公社総裁の永井智夫ってことでは、役者の度量が違って、はなから結果が知れてる感じがする。

この対決が、前半を占めるのだが、入札の不正を粉飾するあれこれに、かなりに尺を費やすのがどうにもだれる。

総裁派の推す関西系のゼネコンの折衝役の副社長を西村晃が演って、関西弁で永井を篭絡しようとするあたりが絶妙であるのだが。

 

総じて、多くの芸達者が演技合戦の態をなして入り乱れるので、見惚れる部分も多々あるし、山本薩夫のグイ押しの語り口は絶好調とも言えるが、それでもなお冗長な感じだ。

後半になって、永井が退場し、金貸しの宇野が主戦に躍り出るが、ちょっと時期を逸した感があって、勝負は見えている。マッチポンプ議員の三國も参戦するが、どうにも手ごたえがない。

 

最近の「記憶にございません」みたいな腑抜けた綿飴映画に比べて、薄汚れてギラついた政治のダイナミズムが横溢しているので、本物を見た感は充足される。

しかし、これは、モデルであるモノホンの政治ってのが、浄化されてお子ちゃまの飯事になってしまったのもあるんやろね。

 

押し捲る薩夫節が冴え多彩な演者を縦横に使い切る闊達さだが、利権を巡る鬩ぎ合いが端から勝負見えてる感があり、入札操作に尺を費やしダレる。後半、主線上に登壇する重吉は四つに組む前にはたき込まれる。負け戦なりの描き方があったと思うのだ。(cinemascape)