★★★ 2019年11月9日(土) プラネットスタジオプラス1
朝、家を出るときには、この映画はスルーしてギャスパー・ノエの「クライマックス」を見ようと思っていたのだが、電車の中で何気なくフェイスブックを開くとT氏がプラネットの「スエズ」の記事をシェアしている。あーと思った。
なぜなら、前に会ったとき聞いてしまったのだ。
「スエズ」っておもろいん?と。
当面のプラネットの上映日程から行けるとしたら、それしかなさそうだったからだ。
そのとき、氏はやにわにナポレオン三世がどうとかフランス革命がどうとか語りだし、延々と話がつきないのであった。挙句には世界史をもうちょっとお前も勉強せえとか言い出す始末で、ほとんど内容は素通りして聞いてなかったが、なんかタイロン・パワー主演の大甘メロドラマかと思っていたのが、けっこうポリティカルにオモロいんちゃうかと洗脳されてしまったのだ。
で、映画を見た結果、確かにそのへんの国際情勢がわからないと、チンプンカンプンでなんだかかったるい。延々とスエズ運河建設に漕ぎつけるまでの政治的な駆け引きの話で、そういうと面白そうだが、そこは所詮メロドラマなので、タイロンとスペイン貴族の娘アナベラをめぐってナポレオン三世とのあれやこれとかが絡んで、おいおい、あんだけの大工事をあの時代にやるってのは凄まじい人間が絡んで凄まじい数の交渉やドラマがあったはずやろうって思ってしまった。
で、肝心の運河建設だが、その工事を「黒部の太陽」並みの尺を割くわけでもなく、この映画の最大の見せ場は竜巻の来襲なのであった。
しかし、そこは凄い!ジョン・フォードの「ハリケーン」並みに凄いといっていいかもしれない。
でも、それってどっか違うやろって気もするのであった。
お仏蘭西に於ける色恋に尺割く位なら、国家間の意思が相克する歴史的プロジェクトの背景をもっと詳しくとも思うのだが詮無い話なんだろう。にしても最大の佳境が降って湧いた竜巻だとあっては何だかなの世界。ただ、それは『ハリケーン』級の見せ場ではある。(cinemascape)