★★★★ 2019年11月9日(土) テアトル梅田2
シャレのようなタイトルであるし、家族ものってことでワイワイガヤガヤのコメディチックなものかと思ったら、予想外に、これは静謐に真摯に家族の在り様を描いたものであった。
2人の子持ちのチョンガー男と1人の子持ちの女の結婚であるから、親同士はともかく、子供たちは違う過程で育ったものが家族になるってのは、いろいろ軋轢が生じる。
それでも何がしかの絆みたいなもんが形成されゆく時代。
それと、並行して現在形の、今では独立した子たちが、父の死によって、葬式に参集する模様が描かれる。
ことさらに奇を衒った何かがあるわけでもないが、それでも子供時代の1つの謎が現在形で明かされるってのが、物語を牽引する。
それは、確かに現実に我が身に降りかかれば重いものだと思うが、まあ世間でよくあることだと思う。
でも、映画は、よくあることでは済ませようとしない。
それでいいわけないんだってことを、ひたすらに我々に提示しているようだ。
言うなれば、ド真面目なのです。
映画的なレトリック皆無の平明な描法を含め、俺は良いと思った。
家族5人を演じる面子が、またこいつらかよの面子がそろっているが、皆ちゃんと映画の世界の住人たりえている。
中でも窪塚の一気のもっていくカリスマが、久々に見た点を割り引いても素晴らしい。
自分の幸の為に他者を不幸にする男女の業を背負いつつ、それでも2人は懸命に新しい家族を作ろうとした。真摯な問い掛けがインモラルな時代を撃つ。やがて子達は反駁しながら新たな家族を再構築しようとするだろう。窪塚のカリスマが背骨を通して鮮やか。(cinemascape)