男の痰壺

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マリッジ・ストーリー

★★★★★ 2019年11月30日(土) シネリーブル梅田1

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夫婦の離婚をめぐるあれやこれやを描いて、ほぼ夾雑物はない。

真っ向勝負の力作であって、このテーマを描いた傑作群の中でも新たなマスターピースになると思われる。

なんでかって言うと、だいたいそういのって尺を割いて幸せな時代ってのがカットバックされて対比されるのが常であって、大半を離婚が決まってから実際に法的手続きに至る部分のみで構成するのは、けっこうにチャレンジングだと思うから。

 

弁護士を立てることになってのすったもんだを軸にするのだが、相手側の些細な言動や行為が容赦なく拡幅されて、えーそこまで思ってないんだけどみたいな戸惑いは交渉の論理の前に押さえつけられる。

 

なんかうんざりして、やっぱ2人で話し合わないみたいなところから始まる終盤の2人芝居は苛烈であって、結局はお互い相手の癇に障るところを我慢していたわけだ。おだやかに始まった話し合いが罵り合いに転じていく。

わかるわーって思ったし、たぶん多くの結婚している人は俺と同じ思いを抱くんじゃなかろうか。

だって、結婚ってほんま我慢なんですわ。ちゃいますかな。

 

ヌーボーとしたひょろ長い奴のイメージしかなかったアダム・ドライヴァーが激烈な台詞の応酬をこなすのも驚いたが、スカヨハがはじめての弁護士との接見で長回しの芝居をこなすのにも感銘を受けた。

そして、一番びっくりしたのがローラ・ダーンだった。正直もう終わった人としか思っていなかったが、遣り手弁護士役をハイテンションで演じて魅力的だった。関係ないがYOUそっくりの声質・口跡なのも更にびっくらこいた。

 

纏う体裁が裁判の交渉論理の前に崩れ落ち本音が露呈される。そこに至る過程が過去時制を極力廃し進行形事象で畳み込まれチャレンジング。内省的とも言える夫婦2人を外堀から埋める作り込みギリの弁護士2人も好コラボを形成。致命的じゃないのが余韻を残す。(cinemascape)