男の痰壺

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決算!忠臣蔵

★★★★ 2019年12月3日(火) 梅田ブルク7シアター3

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あまり見る気をそそらない映画であったが、中村義洋の「殿、利息でござる」が案外に良かったのを思い出したのもあるし、モロ関西弁の予告編に惹かれたのもあるし、ダウナーな岡村の演技もちょっと興味があった。

それにしても、先般の「引越し大名」(未見)にせよ、時代劇に世知辛いお金にまつわる苦労譚的アプローチが連続するのは世相なんでしょうか。

映画界って、こういう同系の作品が連チャンするってよくありまんなあ。偶然なのかどうか知らへんけど。

 

「松の廊下」も「討ち入り」もない「忠臣蔵」ってコンセプトが効いていて、まあ見飽きた物語なのだから、そんなん端折っちゃえってことでしょう。展開のテンポが猛烈にいい。

金算段に疎い戦方と地味に金勘定ばっかりやってる勘定方との確執は、実はそんなに展開に寄与するわけではない。だって、所詮は出さんかい!と言われたら出すしかないからだ。そのへん、岡村はけっこう損な役回りを受けたもんである。

 

ひたすらアホみたいに浪費しまくる大石内蔵助はじめ戦方の連中の話に、忠臣蔵お約束のエピソードをまぶして飽きさせない展開で、そんななかでの役者のキャラ立ちも半端ない。

まあ、逆に言うと岡村だけくすんでおります。

硬軟での立役者は濱田岳と妻夫木じゃないでしょうか。

 

ふざけた賑賑しい展開の果てに、終盤でマジな心情や命を捨てることの重みもそれとなく匂いたつ。

そういうところが大層イカしてる。

 

松の廊下も討ち入りも廃し起結を欠いた頼りなさだが疑心暗鬼のモヤモヤは放蕩し放題のバカが苦労人集団の勘定方を駆逐するの図に置換される。立ちキャラ満載でドライブがかかった流れは、しかし定められた終焉に向かうしかない。想外の運命の過酷が立ち昇る。(cinemascape)

 

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