★★★★ 2020年3月14日(土) 新世界国際劇場
パスカル・ロジェ初見なのですが、なんやろか、一体どこがどうスゲーんっすか?って思った反面、全てが合理的に理に落ちる衒いのなさに奇襲戦法じゃない物語を真正面から呈示する覚悟のようなものを感じた。
【ネタバレです】
ホラーの体裁を纏っているが、煎じ詰めれば、この映画の中に超常的なものは何もないのです。夢オチと現実への帰還を再三繰り返されて、俺はカーペンターの「ザ・ウォード」を思い浮かべたりしたが、そのまま、混濁した迷宮世界に陥るのではなく、きっちり現実世界に帰還する。
それが、むしろ、後退ではなく昨今の時流から周回して新しい古典のような風格を醸し出している。
見てる間、なんだかなーと思いつつ、それでも、読後感の鮮やかさで加点しました。
妄想と現実の往還が果てなく続くかに思えた展開が現実に留まり世界が均衡を回復する。そこが地獄であっても姉妹の絆は外界の空気を呼び込むだろう。目新しい何かがある訳でもないことが却って真摯な思いを表象する。このように語られるべき物語に思えるのだ。(cinemascape)