3月に4日間入院したとき、談話室でお茶飲みながら無聊をかこっていると、別の入院患者と見舞いに来た数人の男たちの会話がきこえてきた。
「そりゃそやろ、今まで日本人に200円で売ってた◯◯が2000円の札つけてバカスカ売れとったんやからな、ボロい商売しとってんがな」
推測するに、彼らは飲食関係で、話題の遡上にのぼってるのは黒門市場らしい。
当時は、コロナの国内感染は発生していなく、メディアではクルーズ船の話題一色であったが、発動された入国禁止措置のおかげで、インバウンド需要が劇的に途絶えた時期だ。
日頃から日本の行く末に深い憂慮を覚え日夜ドブ色の脳細胞のシナプスが危険信号を発し続ける俺は、沈鬱な思いでひとりごつ。
「なにがインバウンドやーアホンダラ」
何か日本の食や衣やサービスや観光資源の価値が、ここ10数年で飛躍的に向上したかのような多くの言説と錯覚。
しかし、実態は単なる中国バブルのおこぼれにすぎないのであった。
バブルは、いつかはじけて消える。今回のコロナで、それがちょっと早まっただけだ。
ピンチはチャンス。危機こそ好機として、硬直した枠組みを一掃すべき。
学校の9月開始を提言する人たちは、こういう危機下に於いても日本の未来を見据え構造改革を断行し得る者たちだ。
そういった動きがあることに、俺は一抹の光明をおぼえるのであった。