男の痰壺

映画の感想中心です

おもひでのしずく (2004年2月5日)

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。

 

X-DAY ~三度のアンダー・サスピション~

f:id:kenironkun:20200503163028j:plain

2004年2月某日。とある牛丼屋。
1人の男が自動ドアを開けて入って来た。そして店内を見渡す。
「よおーっ!ここだよ」
カウンター席で1人の男ががなりたてた。男は鷹揚に近づくと横の席に腰掛けた。
「遅いじゃんかよ、モーガン
「場所がわかんなくてよ」
「おかげで牛皿10皿喰っちまったじゃんかよ」
「兄さん、俺は特盛ね、ダブルで」
「何なんだよ…ダブルって」
「いいじゃんかよ。雰囲気だよ。でも、見てみなよ外、長蛇の列じゃあねえか」
「今日が最後だからな牛丼もよ…限定なんだってよ。なのにダブルったあどういう了見してんだよ」
「お前にだけは言われたかねえよ、ジーン」
「しかし、こないだは面白かったよな」
「ああ、トムとケン・ワタナベだろ…あいつらびびりまくって逃げて行きやがったな」
「格が違うってんだよ、オスカー俳優で大統領役者の俺たちの前じゃよ」
「でもよ、良かったよな…あのジャパニーズガール2人は」
「そうよ、なんてったってニッポンの女は最高だからよ。こういうのをニッポンの諺で漁夫の利ってんだよ。でな…相談ってのはよ、そろそろどうだ?2人でよ新しい企画ブチ上げようじゃねえか」
「何かあるのかよ」
「当然よ。ブームに便乗してニッポンで撮るのよ」
「3本立て続けに出たあとだからよ、今更って気もするぜ…」
「いや、まだいけるよ。現によ『メモリーズ・オブ・ゲイシャ』も再始動したって言うじゃんかよ」
「…」
「それが出来る前に撮っちまうのよ」
「…」
「『メモリーズ・オブ・ショーグン』」
「胡散臭すぎねえかよ」
「ショーグンは俺がするからな」
「むちゃ言うなよ。ショーグンってのは日本人じゃねえか。アメリカ人のお前にどうやってやれるんだよ」
「お前はテンノーの役やらしてやるよ」
「えっ…テンノーってショーグンとどっちが偉いんだ?」
「そりゃあテンノーにきまってるじゃねえかよ。どうだ」
「うむ…」

かくして新作『メモリーズ・オブ・ショーグン』は監督にフランシス・フォード・コッポラを迎えて始動した。