男の痰壺

映画の感想中心です

おもひでのしずく (2006年3月13日 (月))

※おもひでのしずく:以前書いたYahoo日記の再掲載です。

 

駅の喫煙コーナーにて

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月曜の朝の7時。
駅の喫煙コーナー
煙草を吸う俺の周りには10人くらいの男女。
そこに、ピンクのダウンジャケットに黒のジーンズの若い女性が1人来た。
俺の斜め前で彼女も煙草を吸い始める。

俺はぼんやりと思索を巡らす。
今日1日のこと。
来週のこと。
来月のこと。
半年後のこと。
パズルのように想定される事象を組み合わせ解きほぐし思念をめぐらす。
5月末で出向を解かれるのだ。
そして、会社は解体される。
やっととのほっとする思いと同時に混乱と悲哀を想像すると気が重い。

ふと気がつくと、1人のおっさんが女性に近づいてきた。
そして、いきなり女性の腰に手を触れなでた。
俺の脳内に緊張が走る。
おっさんは言った。
「姉ちゃん、シャツ出てるで」

…おっさん、それはわざと出しとるんや
俺は腰をなでられた女性の表情を注視する。
緊張と恐怖と怒りと侮蔑…
しかし、俺が予想したそういう感情を女性の表情の中に見出せなかった。

彼女は笑っていた。
軽やかすぎるくらいに。

霧が晴れるように気持ちが軽くなった。