★★★★ 2020年7月4日(土) シネリーブル梅田1
ナッシュビルってそんなに遠いんかいな。
とか、思いながら見ていて、ずいぶん経ってから、えっこれイギリスの話なん、とか気づいた体たらくであります。
イギリスでカントリーシンガー目指す人ってどういう位置づけなんやろか。アメリカ人で演歌大好きボーイってほど、変人ではないんやろね。
まあ、前半見てるうちは、悪くないけど、ほとんど新味もないわな、と思ってました。
引きずり人生の中で、もがいて夢を叶えようと足掻く。それはそれで有るよなとも思うんですが。
この映画のいいところは、身を断ち切るような決断を彼女が自らの意思でするところだ。
一旦切り捨てると、夢見ていた幻想の成功もリアリティをもって真偽や可否が見えてくる。
憧れだったナッシュビルでのシークエンスは、そういう意味で鮮やかだった。
ラスト、そんなアホなな大団円。
とは思わなかった。全てを一旦捨てた者だけが手にすることできるものは確かにあると思うから。
渦中で足掻いてるうち見過ごしてしまった責任や感謝の思いを、坂道を転がり落ちる前に踏み止まり見据えようとする。さすれば憑物が落ちたような諦念の中で断ち切った筈の夢が違う姿で舞い降りてくる。ナッシュビルでの顛末は肝だろう。転機を描いて鮮やかだ。(cinemascape)