男の痰壺

映画の感想中心です

ライド・ライク・ア・ガール

★★★★ 2020年7月31日(金) 大阪ステーションシティシネマ

f:id:kenironkun:20200802081952j:plain

女性で初めてメルボルンカップを制した実人物の話ってことで、メルボルンカップって日本で言えば天皇賞とか有馬記念みたいなもんですかね。よう知りませんが。

未だ女性の地位が確立されてない狭い世界で、ハミゴにされつつ打ち勝ってG1で勝つ。フェミニズム的な視座が予想されるが、そういった要素は希薄。あくまで秀でた騎手である彼女がジェンダー障壁を乗り越えて力量で打ち勝っていく。そこが気持ちいい。

 

実在人物であるから、レースに勝つ為の親爺の指南が納得である。馬場の読み方もだが、中段まで控えて神の啓示のように前方馬群に開いた隙間を擦り抜けて前に出る。競馬が好きな奴なら何百回も見慣れた展開だが、衒いのない実況みたいな描写が興奮を呼ぶ。キター!とかサセー!とかのあれですな。なんか久しく行ってない競馬場に行きたくなりました。といってもまだ無観客でしたっけ。

 

母親を早くに亡くした10人兄妹。一番末の弟がダウン症で、これを本人が演じている。普段明るい彼が内心を吐露するシーンが泣かせる。

親爺が久々のサム・ニール。これも好演です。

 

ジェンダー障壁を越えた成功譚ではなく、あくまで騎手が何を考えどう戦略を立てG1で勝てたかの肝から逃げてない。神の啓示の如く前方馬群が逸れて隙間が空きそこを捉える展開重視のアプローチが新鮮。ダウン症の末弟の本人登用も役者陣の厚みを弥増させる。(cinemascape)

 

kenironkun.hatenablog.com