男の痰壺

映画の感想中心です

君がいる、いた、そんな時。

★★★ 2020年8月3日(月) テアトル梅田1

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こういう話が悪いとは言わないが、世界があまりに収縮しているんじゃなかろうか。

 

フィリピーナの母親と日本人の父親をもつハーフの少年が、クラスでクソガキどものイジメの標的になっている。

そこそこガタイもいいんだけどパワーでそのイジメを跳ね返すでもなく、易々諾々とイジメを受ける。彼は文学好きの内省的少年なのであった。

となれば、もう少し彼の内面を知りたいと思うのだが、映画はそこまで小器用でもない。小学生のくせに小説を書いたりしてるが、どんな小説なのかも描かれない。

ハーフとしてのアイデンティティも確立してほしいが、彼はフィリピンという出自をいいようには思っていない。日本に於いて、それは仕方ない。残念ながら彼らはそういう視線に晒されているのは事実なのだ。であるから、そこに風穴を空ける何某かを嘘でもいいから描いて欲しかった。西洋に尻尾を振ってきたくせに、クソのような純血に拘る日本という国へのアンチテーゼとして。

なーんちゃって、勢いで書きましたが、見てる間そこまで考えてたわけではありません。

 

この少年に、クラスメイトでハイテンションDJを放送室占拠でやってる浮きまくり少年と図書室の司書先生がからむ。

実は、この2人も心に傷持つ者であった。ってことなんですが、その傷は描き足りないし、さして物語に機能してるとも思えない。

 

クライマックスは深夜の校外放送。大音量でフィリピンの歌曲を少年が歌う。

これが、先述の少年のアイデンティティ確立挿話がないから、なんのことやらとなってるんです。

 

主演のマサマヨール忠君は、正直、演技ド下手です。DJ少年は坂本いろはちゃんという女の子だそうだ。この2人、素材としての可能性は高いと思います。

 

フィリピンとのハーフである少年の揺らぐアイデンティティが突っ込んで描かれないのでクライマックスがなんじゃらホイとなる。文学好きの彼が書く小説こそキーワードになり得た筈なのに。校内放送のハイテンションDJが浮きまくるクラスメイトに関しても同。(cinemascape)

 

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